【シティポップ】70~80年代おすすめ名盤をたっぷり紹介!

昭和歌謡/J-POP
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今回はシティポップって興味があるけど、とりあえず誰のどんなアルバムを聴けばいいのか分からないという方に向けた記事です。

先々月(2018年2月)、「レコードコレクターズ」という本で70年代シティポップ特集をやるという情報を知って、シティポップってどういう範疇の音楽のことを指すのか興味を持ったので3月号を購入し、4月号では引き続き80年代特集だったのでこれも購入しました。

 

個人的にシティポップと言われてパッと思いつくのは、雑誌「FM station」の表紙、ドライブ、高層マンションから眺める夜景、ワインといったおしゃれな光景。

私は昭和40年代生まれですが、当時はあまりこういう類の音楽は聴かなかったので、アーティストで思い浮かぶのは、山下達郎さん、寺尾聡さん、稲垣潤一さん、山本達彦さん、その他数名ぐらいです。そもそもシティポップという言葉を知ったのは、ここ最近で、上記に挙げたアーティストの曲は、自分の中では単にニューミュージックとカテゴライズしていました。

「レコードコレクターズ」では、各号100枚ぐらいのアルバムが紹介されていますが、音楽配信サイトや動画配信サイト等を使って、聴くことの出来るアルバム収録曲は全て聴いてみました。その中で、気に留まったアルバムやアーティストをおすすめという形で紹介したいと思います。

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70年代のシティポップとおすすめアルバム

70年代のシティポップとは

「レコードコレクターズ」には、シティポップの源流、シティポップの生まれた背景などが事細かに書かれていて、勉強になるのと同時に専門的な見解と文字の洪水で、途中から何だか分からなくなってしまいました…

という訳で、とにかくアルバムレビューを見ながら聴きまくりました。紹介されているアルバムを聴いてみて、なるほど一つのジャンルとして成立する特徴的な音楽だなと納得。

シティポップの定義は人それぞれだと思いますが、私はおしゃれなアレンジや歌詞、歌謡曲のような泥臭くないメロディー、強いグルーブ感だと思っています。具体的には、オンコードやテンションノートと多用した不思議で浮遊感のある音の響き、気分をウキウキさせてくれるようなソウル・ファンクの跳ねるリズム、時折スラップを絡めながら動き回るベースライン、軽快でキレのあるギターカッティング、時折見せるブルース・ジャズのアンニュイな雰囲気、といったところです。

70年代の歌謡曲は歌が中心で伴奏は歌の引き立て役といったようなアレンジ、ミキシングがされているのに対し、シティポップは楽器もガンガン主張してきて、聴いているとボーカルのみならず自然とカッコいい音を出す各楽器にも耳が向いてしまいます。似た傾向にありながらも、それぞれの持つ細かい個性やこだわりがアルバムにオリジナリティを与えています。

あと、何となくですが、歌と楽器が同程度の勢いで耳に飛び込んでくるタイプと比較的歌にスポットを当てる(歌に耳が惹かれる)タイプの2パターンがあるようにも感じました。

シティポップおすすめアルバム<70年代>

基本的には、山下達郎さんや荒井由実さんの作り上げるようなアルバムがシティポップの王道パターンだと思いますが、以下ではそれとはちょっと違ったアプローチをしていたり、声に特徴のあるアルバムなどを紹介したいと思います。

今回、参考にした「レコードコレクターズ」は、私のようなシティポップ初心者には非常に読みづらかったので、出来るだけ簡潔にアルバムの雰囲気を紹介するため(時折、私の思い出話も入りますが)、以下にはアルバムに参加したメンバーの事やアーティストの履歴などには、ほぼ触れていませんのでご了承ください。

南佳孝 / 摩天楼のヒロイン

「レコードコレクターズ」で紹介されている多くのアルバムは、私が上記に挙げたようなシティポップの特徴を持つものが多いのですが、このアルバムに関しては大分毛色が違います。

シャンソン、タンゴ、ロック、ブルースなど様々な音楽的要素があちこちに散りばめられ、アルバム全体を通して非常にドラマティックなので、ノリ良く聴き流すというより映画を見るようにじっくり聴きこむタイプのアルバムのように感じます。

ごちゃごちゃと余計な音が入っておらず、シンプルで生々しい楽器の音が歌と共に心に訴えかけてくるよう。

ラストの「午前七時の悲劇」は、南佳孝さんのアンニュイでブルージーな歌声にしびれてしまいました。

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シュガー・ベイブ / ソングス


山下達郎さんを中心としたバンドで、曲によってボーカルが大貫妙子さん、村松邦男さんに変わります。

このアルバムがリリースされたのは1975年。この頃、私は小学生の低学年でシュガー・ベイブの存在は全く知らず、ずっと後になってからこのアルバムに収録されている「DONW TOWN」や「SHOW」を知りました。

「DONW TOWN」は、フジテレビの「おれたちひょうきん族」でEPOさんの歌うバージョンで知りましたが、この曲はEPOさんのオリジナルだと思っていました。「SHOW」は、日本テレビの中山秀征さん、松本明子さん、飯島直子さんらが司会を務める「DAISUKI!」で知りました。

このアルバムがリリースされた時、酷評が結構あったようですが、1975年に流行っていた曲は布施明さんの「シクラメンのかほり」、岩崎宏美さんの「ロマンス」、風の「22才のわかれ」、細川たかしさんの「心のこり」などの昭和歌謡ど真ん中の曲で、それを思うとこの「ソングス」というアルバムが世間に受け入れられ難かったのは頷ける気がします。

このアルバムに収録されている曲はポップソングで、それまでの歌謡曲とは全く違うメロディー構成・展開になっていて、歌謡曲が身に染みている人がこのアルバムを聴くと、着地すべきところに音が着地しなかったり、サビに向かってエネルギーが増していかないような展開に何となく腑に落ちないというか、拒否反応を起こしたのではないだろうかと想像します。

多様な音楽が受け入れられている現在では、当時このアルバムが好きだった方のみならず、その他多くの方々に名盤として素直に受け取られていると思います。

洗練されたサウンドと当時の歌謡曲とは全く違うメロディーラインを山下達郎さんの艶やかでウニョ~ンと伸びる歌声や大貫妙子さんの独特の乾いた歌声がなぞっていく「ソングス」というアルバムは、個性の塊のようなアルバムです。

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荒井由実 / 14番目の月

「レコードコレクターズ」では1st~4thまでの4枚のアルバムが紹介されています。私は「14番目の月」を挙げましたが、本当はどのアルバムでも良くて全部おすすめです。

おすすめの理由は、シティポップのサウンドをベースにしながらも比較的ボーカルにスポットを当てたアレンジと、それまでの70年代歌謡とは異なるメロディーでありながらそれほど受け入れ難いような複雑なものではないこと、心に染み込むような歌詞など。ボーカルにフォーカスと書きましたが、もちろん、中にはサウンドも前に出てくるような曲もあってカッコいいです。荒井由実さんの曲を聴いていると、これから訪れる80年代の音楽はこうなるという匂いがプンプンします。

私が初めて購入した荒井由実さんのレコードは、松任谷由美さんになってからの「守ってあげたい」。薬師丸ひろ子さんの「ねらわれた学園」を見て、主題歌であるこの曲が気に入りました。

ただ、松任谷由実さんの独特の声がちょっと苦手で、その時はそれ以外の曲は聴きませんでしたが、その後、松任谷由実さんの人気が上がってきて、あちこちで流れてくる松任谷由実さんの曲を聴いていたらいつの間にか慣れてしまって、改めてそのメロディーやサウンドの良さに気づかされました。

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佐藤奈々子 / ファニー・ウォーキン

1曲目は軽快でいかにもシティポップという感じ、その他はメロウでジャジー、ブルージーといった雰囲気です。

気に留まったのは、佐藤奈々子さんの力強い吐息歌い?で、ささやくような感じの歌い方なんですが、伊藤つかささんのようなフワフワした感じではなく、歌声にビシッと芯が通っていて、この歌声に惹かれました。

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大貫妙子 / Sunshower

ゴージャスな感じのシティポップで幕を開けるアルバム。サウンドもさることながら、大貫妙子さんの朴訥な歌い方もシティポップにマッチしていて、心地よさを感じます。

2曲目の「くすりをたくさん」は、身近にある疑問を歌にした面白い曲。

何となくですが、荒井由実さんなどを含め、シティポップを歌う女性ボーカルの方は昭和歌謡のような大きなビブラートや感情を表現するための大きな抑揚といった手段を使わず、ストレートな歌い方をしているような気がしました。

この歌い方が、楽器と同様のキレやアンニュイな雰囲気を生んでいるように思えます。

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ハイ・ファイ・セット / ラブ・コレクション

ハイ・ファイ・セットは、フォークグループ「赤い鳥」の解散後、山本潤子さん、山本俊彦さん、大川茂さんで結成されたグループ。

私は、ハイ・ファイ・セットは「卒業写真」など荒井由実さん作詞曲の歌を歌うグループというイメージしかなかったのですが、このアルバムではハイ・ファイ・セットはの持ち味である爽やかなコーラスに軽快なシティポップサウンドが乗り、躍動感あふれる仕上がりになっています。

「フィーリング」など抒情性あふれるメロディーの曲もあり、このアルバムを聴いていると、サーカスの「Mr.サマータイム」や「アメリカン・フィーリング」などが頭に浮かんできます。

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吉田美奈子 / Twilight Zone

このアルバムはちょっとダークな雰囲気があります。

私が惹かれたのは、吉田美奈子さんのドスの効いたような地声と胸に共鳴するようなファルセットで、リスナーをこのアルバムの独特の世界に引き込む歌の魔力のようなものを感じました。

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いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー / アワー・コネクション

いしだあゆみさんと言えば、昭和歌謡を代表するかのような「ブルー・ライト・ヨコハマ」が真っ先に思い浮かぶと思いますが、このアルバムではいしだあゆみさんのちょっと演歌調の歌い方が排除され、比較的サラッとした歌い方をしています。

1曲目の「私自身」は、少しダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」のようなしゃべりで幕を開ける軽快でおしゃれなシティポップで、あまりのカッコよさにK.O.されてしまいました。

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大橋純子&美乃家セントラル・ステイション / クリスタル・シティー

大橋純子さんというと、「たそがれマイラブ」や「シルエット・ロマンス」しか知らないという方も多いと思いますが、私もその一人で、それ以前の活動については大分後になってから知ったクチです。

ソロでデビューし、この美乃家セントラル・ステイションを経て、再びソロとなって上記のヒット曲を飛ばしたわけですが、元々、大橋純子さんはソウルフルな方向でやりたかったようで、「たそがれマイラブ」の話をもらった時に、その曲調がこれから美乃家セントラル・ステイションと共にやって行こうとする自分の方向性と違うので相当迷ったとのこと。

このアルバムでは、まさに都会を思わせるようなおしゃれなサウンドに大橋純子さんの音域の広いパワフルなボーカルが乗り、聴いていてテンションが上がります。

他のシティポップ女性ボーカリストと違うのは、胸をざわつかせるような豊かなビブラートと艶やかな声で、この人に歌謡曲を歌わせたら凄いことになるだろうと想像に難くないところだと思います。

大ヒットした「たそがれマイラブ」等も良いですが、このアルバムのような自分のやりたい音楽をのびのびと楽しんでやっている大橋純子さんに大きな魅力を感じます。

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原田真二 / フィル・ハッピー

私のようなザ・ベストテン世代だと黒柳さんがビーバーちゃんというニックネームをつけたかわいらしい原田真二さんの容姿と、スウィートな声でおしゃれな曲を歌う人という印象が強いと思います。

この頃、立て続けにシングルをリリースしましたが、やっぱり印象深いのは「キャンディ」。せつない曲調で、歌謡曲とは違うおしゃれな旋律がとても印象的でした。

当時はド派手でドラマティックな曲が世間を賑やかしていて、原田真二さんはいつの間にか見なくなったという感じでしたが、このアルバムを聴いて、もっと原田真二さんの曲を聴いておけば良かったなと思いました。

このアルバムを聴くと、声に可愛らしさを残しながら、パワフルで音域も広く、心の叫びを吐露するかのような時折見せるシャウトに魅了されると思います。洋楽と邦楽のメロディーのいいとこ取りしたような旋律はどの曲にも散りばめられていて、聴き終わった後の満足度は非常に高いアルバムです。

シングルの「てぃ~んず ぶるーす」、「キャンディ」が収録されていて、2007年に再発されたCDには、ヒットを放った「シャドー・ボクサー」や「タイムト・ラベル」も収録されています。

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SHOGUN / ROTATION

SHOGUNと言えば、松田優作さん主演ドラマ「探偵物語」のオープニング、エンディング曲が有名ですが、この2曲はこのアルバムに収録されています。あのサウンドが好きなら、ドンピシャのアルバムです。

SHOGUNは他のシティポップバンドに比べて、物凄くリズムがタイトでキレがあり、そこにホーンセクションが入って、もうノリノリ。海辺をドライブしながら爽快に聴くというよりは、海辺に車を停めて、踊りまくるといったシチュエーションに合うような気がしました。

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BUZZ / レクヰエム・ザ・シティ

BUZZは日産スカイラインCM「ケンとメリー~愛と風のように」で知られる小出博志さんとと東郷昌和によるフォーク・デュオ。

シティポップ的なアプローチはなされていますが、どちらかというとフォークミュージック的な印象で、その歌声や曲調から、チューリップやフォーク時代のオフコースのような雰囲気も感じます。これらのバンドを好きな方には聴いていただきたい1枚です。

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※2012年発売の紙ジャケ使用は、現在入手困難となっています

小林泉美&フライング・ミミ・バンド / オレンジ・スカイ

小林泉美さんはテレビアニメ「うる星やつら」の主題歌「DANCING STAR」等を歌っていた方で、その他、「うる星やつら」の音楽には作曲・編曲で関わっています。

アイドルのような可愛らしい声がトロピカルムード漂うシティポップサウンドに乗り、緩急のあるリズムと共に、夏をイメージさせるようなアルバムになっています。

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古井戸 / Side By Side

古井戸は加奈崎芳太郎と仲井戸麗市さんのフォークデュオ。

このアルバムでは、フォークソングのメロディーを主体としながらも、アコースティックを中心としたサウンドで、おしゃれでジャジーなアレンジが施されれています。

メロディーの心地よさと、ふんわりしたおしゃれ感を味わいたい方におすすめです。

このアルバムはCD化されていないのか、探しても見つかりませんでした。

ムーンライダース / ヌーベル・バーグ

ヌーベル・バーグは、ロック、テクノ、シティポップを混ぜたような物凄くバラエティに富んだアルバム。

歌詞が日本語で、時には可愛らしいようなメロディーもあったりで、今まで紹介してきたアルバムの中で一番個性的です。

全体的には70年代のプログレッシブロックバンドの雄を集めたASIAのような雰囲気を感じました。

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山本達彦 / Sudden Wind

メロウな感じの曲が多く、シティポップの軽快なアレンジを聞かせるというより、歌にスポットが当たっており、男性版ユーミンのような印象も受けます。

とてもメロディーが綺麗で、山本達彦さんのクールな声で歌われる楽曲は、歌謡曲ではなく、やはりシティポップ。1曲目の「突風」は美しく物悲しい旋律で、いきなり心を鷲掴みに。

80年代に入ると「マティーニ・アワー」というアルバムをリリースしますが、こちらは超おしゃれなバリバリのシティポップとなっているので、こちらも是非。

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※現在、CDは入手困難な状況です

越美晴 / おもちゃ箱 第1幕

シティポップらしいおしゃれで軽快な曲や、かわいらしい曲、キャンディーズの「その気にさせないで」のような大人っぽい歌謡曲調の曲などが収録されています。

越美晴さんの声は、アイドルのような可愛らしさがあり、上下の激しいメロディーをファルセット(裏声)を使いながら飛び回るさまは、まさにおもちゃ箱をひっくり返したような楽しい気分にさせてくれます。

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※現在、CDは高値となっています

80年代のシティポップとおすすめアルバム

80年代のシティポップとは

80年代に入ると、70年代のシティ・ポップ王道路線を行くアーティストもいれば、これまでとは少し違った要素を取り込んで、都会を感じさせる音作りをするアーティストも出てきました。

松田聖子さんなどに見られるように、シティポップを担うアーティストによって提供された楽曲がヒットしたことにより、歌謡曲とシティ・ポップの垣根がグッと下がってきました。

そのおかげで、シティ・ポップサウンドが身近になり、70年代当時は前衛的で一部の評論家に批評を受けたサウンドは、80年代では違和感はなくなってきました。

80年代は新しいサウンドが多く開花し、それらは受け入れられていきましたが、そのキッカケとなったのは、Yellow Magic Orchestra(YMO)の功績も大きかったと思います。

シティポップおすすめアルバム<80年代>

「レコードコレクターズ」4月号では、山下達郎さんのような王道シティポップも紹介されていますが、松田聖子さん、南野陽子さん、渡辺満里奈さんといったアイドルのアルバムなど、幅広いアルバムが紹介されています。

あまりに幅広いアルバムが紹介されているが故に、これは違う、これも入れるべきなど、人によって大分意見が分かれそうな気がします。

ここでは、前回の70年代シティポップのところで紹介したアーティストの80年代のアルバムは、あえて入れてないので、70年代のところで挙げたアーティストで気に入った方がいたら、そのまま80年代のアルバムも追って行ってみてください。

個性はそのままに、時代に合った音を駆使した素晴らしいアルバムに仕上がっています。

寺尾聡 / Reflections(リフレクションズ)

80年代シティポップと言われて真っ先に頭に浮かんだアルバムがこの「Reflections」で、当時、ほとんど歌謡曲しか聴いたことがなかった私にはそのカッチョイイサウンドに衝撃を受けました。

シングル「ルビーの指輪」が大ヒットしたこともあり、「Reflections」はバカ売れ。当時こういった類のレコードを買わなかった友人でさえ「Reflections」は持っていて、まさに一家に一枚「Reflections」という感じでした。

1曲目の「HABANA EXPRESS」のキレキレのリズム、楽器がシンクロするキメフレーズ、そして胸に響くような魅力的な低音ボイスなど、アルバムを通して、おしゃれ、大人、シティ…そんな言葉が頭に渦巻くアルバムです。

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東北新幹線 / THRU TRAFFIC

鳴海寛さんと山川恵津子さんのユニットで、唯一のアルバム。

全体的にメロウ(ゆったりとしたテンポで柔らかい雰囲気)で、テンションノートたっぷりのカッコ良くておしゃれな雰囲気満載です。

鳴海寛さんは山下達郎さんのバンドのギタリストとして、山川恵津子さんは作曲編曲等のスタジオワークを中心として活躍された方。山川恵津子さんはかなり幅広い歌手に作品を提供しており、特にアイドルへの楽曲提供が多く、岡本舞子さん、渡辺満里奈さんなどのファンの方々にはお馴染みの方だと思います。

鳴海寛さんの軽やかな声と山川恵津子さんの可愛らしい感じの声が交互に、又は同時に響き渡り、聴いていてとても心地よいアルバムです。

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早瀬優香子 / SO・UTSU

「あばれはっちゃく」のマドンナ役など、子どもの頃から女優として活躍していた早瀬優香子さんの1stアルバムで、アイドルポップのような雰囲気があります。

可愛らしい声で言葉をポツポツと切りながら囁くように歌う独特の歌唱法で、ちょっと山下久美子さんの声に似た感じもします。歌というよりつぶやいているような曲から吉川晃司さんの「モニカ」のような派手なベキベキ?サウンドのノリの良い曲まで、従来のシティ・ポップの枠にとどまらない個性的でバラエティに富んだアルバムです。

このアルバムには収録されていませんが、シングル「椿姫の夏」を動画サイト等で是非聴いてみてください。一風堂の「すみれSeptember Love」に似た曲調と歌声にハマったら、とことんハマると思います。

今年(2018年)タワーレコード限定で復刻されていますので、気に入ったら早めにゲットしてください。

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児島未散 / Best Friend

アイドルのような可愛らしく爽やかな歌声を持つ児島未散さんの1stアルバム。耳になじみやすいメロディーとシティ・ポップのキレのあるサウンドで、アルバムジャケットのイメージ通りの爽やか、カッコいい、時にはしっとりというアルバム構成になっています。

作曲には林哲司さんが絡んでおり、オメガトライブのサウンドを想像していただくと分かりやすいと思います。アイドル的な雰囲気のあった頃の竹内まりやさんが好きな方には特におすすめです。

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来生たかお / 遊歩道

1982年にリリースされた来生たかおさんの8thアルバム。

来生たかおさんはどちらかというと歌謡曲歌手への楽曲提供も多いせいか、シティ・ポップという言葉がピンとこないかもしれません。しかし、そのサウンドはやはりシティ・ポップ。

取り立てて「遊歩道」がシティ・ポップ色が強く出ているという感じはしませんが、全9曲収録さているうちの5曲を坂本龍一さんがアレンジしているところが、このアルバムの一番の特徴だと思います。

このアルバムに収録されている自身のシングル「疑惑」は、中森明菜さんが歌ってもおかしくないようなマイナー調(悲しげな曲調)の秀逸な曲なので、ぜひ聴いてみてください。

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西松一博 / 貿易風物語

昭和初期のタンゴやワルツのリズムを用いたノスタルジックな歌謡曲にテクノをスパイスにしたような感じのするアルバムで、初めて聴いた時、YMOの「Fire Cracker」や高橋幸宏さんのアルバム「音楽殺人」のようなテイストを少し感じました。

王道シティ・ポップとは異なるアレンジが施された「貿易風物語」というアルバムは、山下達郎さんのように高音が艶やかにスパーンと伸びていく西松一博さんの声と相まって、非常に個性のあるアルバムに仕上がっているので、シティ・ポップの中で変化球的アルバムを探している方には、是非聴いていただきたい一枚です。

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ラジ / 午後のレリーフ

ラジ(※女性の方です)は、1973年にフォークデュオでデビューした後、ソロデビューしました。この「午後のレリーフ」は、ソロデビュー後の6thアルバム。サウンドは従来のシティ・ポップですが、1984年にリリースされたこともあり、より洗練された音になっています。

「レコードコレクターズ」4月号ではこのアルバムが紹介されていますが、個人的におすすめしたいのはこのアルバムではなく、1979年リリースの「Quatre(キャトル)」と、1980年リリースの「真昼の舗道」です。


ラジのアルバムにはYMOの面々が関わっており、先に挙げた2枚のアルバムはシティ・ポップサウンドとテクノサウンドのブレンド具合が巧みで強い個性を放っています。

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中原めいこ / ロートスの果実

「君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね」のヒットで知られる中原めいこさんですが、この曲以外は知らないという方に聴いていただきたくて、このアルバムを選びました。

「ロートスの果実」には、5th~7thまでのシングル(「エモーション」「君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね」「スコーピオン」)が収録されていて、全体的には「君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね」のようなトロピカルサウンドを意識したアルバムになっています。

「君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね」の作詞は、中原めいこさんと森雪之丞(もり ゆきのじょう)さんとの共作となっていますが、それ以外の曲は全て中原めいこさん自身が作詞作曲しており、特にマイナー調の曲を聴いていると、時折、八神純子さんや久保田早紀さん顔が思い浮かんできます。

キレのあるギターカッティング、華やかなホーンセクション、スラップを使いながら軽快に動き回るベースといったシティ・ポップサウンドに重厚感を加えたようなアレンジが、中原めいこさんの作り上げるキャッチーなメロディーをより引き立てています。

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AB’S / AB’S-3

SHOGUNの芳野藤丸さんやスペクトラムの渡辺直樹さん、岡本敦男さんらによるバンドで「エイビーズ」と読みます。

シティ・ポップにも色々なタイプがありますが、この「AB’S-3」は、爽やかスッキリというよりは、ドッシリとした重みを持ったファンキーなリズムに、渋い歌声が乗るという感じ。一糸乱れぬリズムから繰り出されるグルーブに、聴いていて胸が熱くなります。

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ラ・ムー / Thanks Giving

ラ・ムーは、アイドルだった菊池桃子さんが脱アイドル宣言をするのと同時に結成されたバンド。突然アイドルからバンドのボーカリストに転向した菊池桃子さんをリアルタイムで見ていた方と、後追いでラ・ムーに辿り着いた方とでは、ラ・ムーの音楽の印象は、大分違うかもしれません。

活動期間は約1年程度で、リリースされたアルバムは、この「Thanks Giving」1枚のみですが、コーラスの黒人女性2人をバックに従え、ファンクやR&Bの上質なリズムを聴かせてくれるバンドでした。

当時はバンドに転向したにもかかわらず相変わらず声量のない歌唱法と、今まで見たことのない菊池桃子さんのぎこちない動きから、ラ・ムーは評価されるどころか失笑の対象としてネタになるような風潮がありました。

しかし、インターネット環境により、色々なジャンルの音楽を浴びるほど聴くことの出来るようになった現在では、甘くフワッとした歌声と完璧なリズム隊で構成されるラ・ムーの音楽に唯一無二の個性を感じることと思います。

現在(2018年)、「Thanks Giving」はCD、アナログレコード共に高値で入手困難な状態ですが、mora等の音楽配信サイトではダウンロード購入が可能です。

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山口未央子 / 夢飛行

シンセサイザーを多用したサウンドで、寺尾聡さんのアルバム等を担当した井上鑑さんなどがアルバムに参加していることから、テクノ歌謡やテクノシティ・ポップという雰囲気が漂っており、山口未央子さんの耳に残る独特のメロディーも癖になるアルバムです。

途中から職業作曲家に転向しますが、80年代アイドルで言えば、岡田有希子さん、斉藤由貴さん、CoCo、吉田真里子さん、川越美和さん、渡辺満里奈さん、高井麻巳子さんなど、多数の歌手に楽曲提供をしています。

気になったらアルバムクレジット等を確認して、山口未央子さんの作り出すメロディーを味わってみてください。

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80年代シティポップおすすめアルバム番外編

「レコードコレクターズ」4月号で紹介されている80年代シティ・ポップアルバムは100タイトル程度あり、その中で耳に留まったアルバムは70年代シティ・ポップ以上にありました。

そのため、紹介文を載せるアルバムを上記程度に厳選しましたが、それ以外でも是非チェックしていただきたいアルバムを以下に書いておきます。時間のある時に聴いてみてください。

  • 尾崎亜美 / POINTS
  • 安部恭弘 / スリット
  • 稲垣潤一 / リアリスティック
  • 木村恵子 / AMBIVA
  • 矢野顕子 / グラノーラ
  • 長谷川孝水 / 日々の泡
  • 佐野元春 / Someday
  • 大瀧詠一 / ロングバケーション
  • 竹内まりや / ヴァラエティ
  • 松原みき / ポケットパーク
  • EPO / ダウンタウン
  • 杉真理 / Stargazer
  • 村田和人 / ひとかけらの夏
  • タイム・ファイブ / Gentle Breeze
  • ケン田村 / Fly By Sunset
  • テストパターン / アプレ・ミディ

「レコードコレクターズ」には紹介されていませんでしたが、是非聴いて欲しいのは、泰葉(やすは)さんの曲。井上鑑さんもアレンジに関わっており、寺尾聡さんの「Reflections」のようなカッコよくキレキレのサウンドに、上から下まで力強く、艶やかで声量のある歌声に圧倒されることと思います。気になったら「フライデー・チャイナタウン」「水色のワンピース」辺りを聴いてみてください。

まとめ

70年代シティポップと言われる多くのアルバムには、山下達郎さん、松任谷正隆さん、細野晴臣さん、松本隆さん、坂本龍一さんなど、そうそうたるメンバーが参加しており、グルーブを伴った完璧なサウンドになっています。

80年代シティ・ポップは、シンセサイザーの存在感や録音技術の向上などから、70年代よりも、より多様化し、もはやシティ・ポップという枠ではくくれない印象を持ちました。

当時は、シティ・ポップという言葉はほとんど聴いたことがなく、こういった音楽の事をニューミュージックと呼んでいましたが、読んで字のごとく、80年代は新しい音楽が次々に飛び込んでくる刺激的な時代でした。

「レコードコレクターズ」4月号では、上記に挙げたアルバム以外にも、まだまだたくさん紹介されていますので、ご自身の琴線に触れるアルバムに出会うべく、是非「レコードコレクターズ」に目を通してみてください。

★レコード・コレクターズ(70年代シティポップ特集)はこちら

★レコード・コレクターズ(80年代シティポップ特集)はこちら

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