【泰葉】「TRANSIT」レビュー~名曲「フライデイ・チャイナタウン」収録アルバム~

昭和歌謡/J-POP
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1981年9月21日に「フライディ・チャイナタウン」でデビューした泰葉さん。

ファーストアルバム「TRANSIT(トランジット)」は、その約2か月後にリリースされました。

泰葉さんは音楽以外のことで話題になることも多いですが、何らかのきっかけで泰葉さんの音楽に触れ、シングルを中心としたベスト等の楽曲を聴かれたなら、是非次に聴いていただきたいのは、このファーストアルバム「TRANSIT(トランジット)」です。

当時、「フライディ・チャイナタウン」を聴かれた方は、そのカッコいい雰囲気から寺尾聡さんのシングルやアルバム曲を思い浮かべた方も多いと思いますが、その編曲を担った井上鑑さんは、「TRANSIT(トランジット)」でも手腕を振るっています。

今回は、「TRANSIT(トランジット)」というレコードの仕様、アルバムの雰囲気などについて書いてみたいと思います。

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「フライデイ・チャイナタウン」収録の1stアルバム「TRANSIT」

「TRANSIT(トランジット)」は、1981年11月1日にリリースされました。

アルバムの仕様

アルバム表面は、黄色の背景に筆記体をデザインしたyasuhaの文字。

アルバムタイトルは、上部に小さく白字で書かれています。

裏面は、シングル「フライディ・チャイナタウン」のジャケットの別バージョンのような佇まいの泰葉さんが映っています。

有名人の娘、秀逸なメロディーセンス、おしゃれなアレンジと話題性十分なファーストアルバムのわりに、帯には何のキャッチコピーも書かれていません。

封入されているパンフレットは二つ折りになっていて、歌詞や演奏者等のクレジットが記載されています。

このパンフレットは、緑の背景に小さな白字で記載されているため、少々見づらい感じです。

レコード盤は、特に特別な加工や装飾はなされていません。

アルバム収録曲

アルバム収録曲は以下の通りで、作曲は全て泰葉さんです。

作曲クレジットとして、海老名泰葉とフルネームで記載されています。

(A面)

  1. 恋1/2(作詞:荒木とよひさ 編曲:井上鑑)
  2. モーニング・デート(作詞:荒木とよひさ 編曲:井上鑑)
  3. ありきたりな筋書き(作詞:山尾潤子 編曲:矢野立美・海老名泰葉)
  4. Bye-Bye Lover(作詞:荒木とよひさ 編曲:矢野立美・海老名泰葉)
  5. 空中ブランコ(作詞:山尾潤子 編曲:若草恵)

(B面)

  1. LOVE MAGIC(作詞:荒木とよひさ 編曲:井上鑑)
  2. フライディ・チャイナタウン(作詞:荒木とよひさ 編曲:井上鑑)
  3. ミッドナイト・トレイン(作詞:荒木とよひさ 編曲:若草恵)
  4. アリスのレストラン(作詞:荒木とよひさ 編曲:矢野立美・海老名泰葉)
  5. Remember Summertime(作詞:荒木とよひさ 編曲:矢野立美・海老名泰葉)

演奏者のクレジットには、当時、井上鑑さんも参加していたバンド「PARACHUTE(パラシュート)」の林立夫さん、斎藤ノブさん、今剛(こん つよし)さんや、元SHOGUNの芳野藤丸さんなどの名前が記載されています。

B面4曲目の「アリスのレストラン」では、スキャットで”しばたはつみ”さんが参加しています。

作風について

このアルバムをジャンル分けするなら、ニューミュージック&シティポップという類になると思います。

メロウ、アップテンポ、バラードなどの楽曲が緩急つけた曲順で並んでいます。

井上鑑さんの編曲による楽曲は、キレのあるリズム、テンションノートを使ったおしゃれな雰囲気のあるコード感、キメの多いフレーズなど、いかにもシティポップという感じで、井上鑑ワールド全開です。

それに対して、矢野立美さん、若草恵さんアレンジの楽曲は、おしゃれな感じがするのは同様ですが、あまり余計な肉付きがなく、泰葉さんの作り出すメロディーの世界観を純粋に膨らませた感じがあります。

おしゃれな感じと楽曲がグッと心に迫ってくる所以は、アレンジも一役買っていますが、やはり一番は泰葉さんの声量のあるパワフルで伸びのある声とメロディーセンス。

泰葉さんのメロディーの箱の中の中心にはジャズがあり、そこに歌謡曲などのエッセンスが加わっているような気がします。

A面4曲目の「Bye-Bye Lover」のスキャットでのギターソロとの掛け合い、B面4曲目のスウィングジャズ風の「アリスのレストラン」などから、そんな泰葉さんの側面を垣間見ることが出来ると思います。

A面3曲目の「ありきたりの筋書き」、B面ラストの「Remember Summertime」は、3rdシングル「水色のワンピース」を想起させるような秀逸なバラード、A面ラストの「空中ブランコ」は、アルバム唯一のマイナー調(悲しげな曲調)のバラードで、恋人との関係を憂う大人の女性の雰囲気をボサノバのアレンジで表現されており、どれも是非触れていただきたい楽曲です。

B面2曲目の「フライディ・チャイナタウン」は、泰葉さんの楽曲の中で一番有名で、時々、「フライディ」は、Friday(金曜日)でなくてFly-dayといった話を耳にしますが、個人的には歌詞の文脈から、仕事終わりの金曜日の夜に羽を伸ばすといった様子も感じ取れるので、ダブルミーニングのような気がします。

余談ですが、B面3曲目の「ミッドナイト・トレイン」を初めて聴いた時、歌謡曲っぽいアレンジで、どことなく私の大好きな河合奈保子さんの「ラブレター」という楽曲に似てるなと思いました。

どちらもアレンジは若草恵さんで、リリースされた時期も同じぐらいなので、たまたまそんな感じになったのかな…というか他の方が聴いて、そもそも似た雰囲気を感じ取るか分かりませんが💦

まとめ

現在(2019.5)、泰葉さんのアルバムでCD化されているのは、この「TRANSIT(トランジット)」のみですが、1994年にCD化されて以来再販されていないため、高値で入手困難な状況にあります。

今のところレコードには高値は付いていないので、最近のレコードブームで安価にレコードプレイヤーも入手できる環境の元、是非中古レコード店なので見かけたら手に入れて聴いてみてください。

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