先日、シャッフル再生で音楽を聴いていた時、天地真理さんの曲になり、その歌声と曲調に惹かれ、何度も聴いてしまいました。
天地真理さんのCDは持っていなかったので、ゴールデン☆アイドルとGOLDEN☆BESTで迷いましたが、アルバム曲も聴いてみたかったので、「GOLDEN☆BEST 天地真理 コンプリート・シングル・コレクション・アンド・モア」を購入してみました。
天地真理さんは、かわいらしく笑顔でミニスカート、淡い恋を歌うポップな曲調という女性アイドルの原型と言うべき存在です。
現在の若い方々がこの時代の曲を聴くと、サウンドが古臭いため、カッコ悪いと思われるかもしれませんが、天地真理さんの力強くクリスタルなファルセットボイス(裏声)には、きっと耳を惹かれると思います。
今回は、「GOLDEN☆BEST 天地真理 コンプリート・シングル・コレクション・アンド・モア」を聴いて感じたことや、当時の天地真理さんの印象等について書いてみたいと思います。
天地真理 ベストアルバムレビュー
国民的アイドルだった天地真理の思い出
天地真理さんが全盛期の頃、私は幼稚園に通っていました。
私の母が天地真理さんの事を好きだったようで、台所には天地真理さんのプロマイドが入った写真立てが置いてありました。
幼かった私でしたが、初めて異性で可愛いと思った芸能人は、天地真理さんと麻丘めぐみさんでした。
自分が左利きという事もあり、どちらかというと麻丘めぐみさんの方が好きでしたが、曲で今でも覚えているのは、天地真理さんの曲ばかりです。
当時、天地真理さんをテレビで見ない日はなく、自転車などたくさんのグッズも売っていました。
子供向け番組もやっていたので、見ていたような記憶があります。
私の中の天地真理さんは、笑顔で明るい歌を歌うベレー帽を被ったお姉さんというイメージでした。
しっかりと覚えていたのは、「恋する夏の日」と数曲ぐらいでしたが、大人になってから動画サイト等で天地真理さんの曲を何曲か聴いて、知らなかったけど名曲がたくさんあったことに気づきました。
GOLDEN☆BEST 天地真理 コンプリート・シングル・コレクション・アンド・モア(DISC 1)
(収録曲)全シングルA面
- 水色の恋
- ちいさな恋
- ひとりじゃないの
- 虹をわたって
- ふたりの日曜日
- 若葉のささやき
- 恋する夏の日
- 空いっぱいの幸せ
- 恋人たちの渚
- 恋と海とTシャツと
- 想い出のセレナーデ
- 木枯らしの舗道
- 愛のアルバム
- 初めての涙
- さよならこんにちわ
- 夕陽のスケッチ
- 矢車草
- 愛の渚
- 夢ほのぼの
- 愛・つづれ織り
- 初恋の二コラ
- 私が雪だった日
- 夏を忘れた海(未発売バージョン)
まず、このCDの音質ですが、デジタルリマスターとSBMという仕様になっていて、非常にクリアで、かつ音に力強さがあります。
音に力強さがあると言っても、低音を過多にしたという感じではなく、音全体にしっかりとした芯があるという感じで、元のバランスを崩すようなリマスターではなく、各楽器の細かい楽器のフレーズもしっかりと聴き分けることが出来る解像度があり、非常に高音質だと思います。
ちなみに、SBMとはSony Bit Mppingのことで、16ビットCDでありながら、20ビットに近いサウンドを実現させる技術の事らしいです。
さて、全シングル曲を聴いてみての感想ですが、曲の構成や歌詞がシンプルで、ほとんどの曲が3分程度で聴きやすく、歌詞の多くには、青い空、夕陽、草原、並木、バス、木立などの言葉が入っていて、曲を聴いていると、その情景が目に浮かんできます。
現代のアイドルソングは、打ち込みの重いバスドラムと、数多くのシーケンスの音が音場を埋め尽し、ボーカルと楽器の音が50/50に感じる曲も多く見受けられますが、これに慣れてしまうと、天地真理さんが活躍した70年代の曲は、古臭く感じるかもしれません。
この当時の曲は、楽器にあまりエフェクト処理がなされていないせいか、音が生々し過ぎるきらいがありますが、楽器の数はそれ程多くなく、空間はスッキリとしています。
「楽器は歌手を引き立てるためのもの」というような考えのもとにレコーディングされているような感じで、しっかりと天地真理さんの声にスポットが当たっており、歌詞カードを見なくても、しっかりと歌詞が分かります。
これに緩急をつけた天地真理さんのファルセット歌唱が乗るので、より言葉が耳に残ります。
ファルセットとは裏声の事ですが、ファルセットで全音域の音程をブレさせず、かつ声量を保ったまま歌うことは至難の業。
しかし、天地真理さんは、声楽科で鍛えたせいか、ファルセットで全音域をしっかりと歌っており、ファルセット特有のクリスタルな輝きに力強さが加わった稀有な歌声を聴かせてくれます。
次の音符に移行する際、音を持ち上げず、スパーっと音が移行する音の立ち上がりの良さも、聴いていて非常に心地よいです。
感情表現も素晴らしく、楽しい曲は気分を高揚させ、悲しい曲はグッと心に入り込み、優しい曲は心を癒す…
天地真理さんの曲を聴いていると、歌詞の中の短編ドラマが頭に浮かんできます。
天地真理の名曲
全シングルの中で、気に留まった曲について少し書いてみたいと思います。
水色の恋
天地真理さんのデビュー曲ですが、とても優しい感じのする曲。
疲れた時に心の薬となる名曲だと思います。
恋する夏の日
天地真理さんの曲で一番馴染み深い曲は「恋する夏の日」かなと思います。
テレビで見る「恋する夏の日」は、時間の都合等によりテンポが速かったりする場合がありましたが、改めてCDを聴いてみて、「やっぱり、このテンポがいいな~」と思ってしまいました。
イントロの歪んだギターがカッコいいです。
若葉のささやき
マイナー調(悲し気な)の曲ですが、跳ねるリズムと天地真理さんの若干明るく歌う感じが、曲をドマイナーな感じにしない不思議な魅力を感じる曲です。
天地真理さんの太陽のような明るい表情と曲が好きな方の方が多いのかもしれませんが、私は「若葉のささやき」の他、「想い出のセレナーデ」等のマイナー調の曲が大好きです。
ファルセットで歌われる天地真理さんのマイナー調の曲は、悲しみをフワッと包んでくれるような優しい感じがします。
想い出のセレナーデ
小学生の頃、浜田朱里さんの「想い出のセレナーデ」が好きになってレコードを買いました。
「想い出のセレナーデ」は、ずっと浜田朱里さんのオリジナル曲だと思っていましたが、後になって、天地真理さんのカバーだと知りました。
原曲、カバーに関わらず、自分が初めて聴いた時の印象で曲のイメージが定着してしまうので、ずっと「想い出のセレナーデ」は浜田朱里さんの方が良いと思っていましたが、大人になってから、しっかりと聴き比べをしてみると、どっちのバージョンも大好きになりました。
もしかすると、天地真理さんの歌う原曲の方が好きになってしまったかもしれません。
浜田朱里さんの方は、「想い出のセレナーデ」の中の主人公を演じているような感じ、天地真理さんの方は、感情の誇張はなく、主人公に自身を投影しているような印象を受けます。
木枯らしの舗道
全シングル曲の中で、この曲だけだと思いますが、3拍子の曲です。
マイナー調で、歌いだしのところで、菅原洋一さんの「今日でおわかれ」を思い出しました。
拍子の裏で入るオープンハイハットが、リズムに変化を与えていて面白く、サビの印象的なメロディーと相まって、耳に残る曲です。
このCDパンフレットには、各シングルのオリコン順位も載っていますが、「木枯らしの舗道」辺りから順位が下がってきています。
この曲の付近から淋し気な曲が続いたので、明るく爽やかな天地真理さんが好きだった方々に受け入れられなくなっていったのか、アイドルとして飽きられてくる時期だったのかは分かりませんが、個人的には「木枯らしの舗道」を含め、「想い出のセレナーデ」以後の曲の方が好きなので、残念でなりません。
愛のアルバム
マイナー調の曲で、階段を上るかのようなイントロのトランペットのメロディーにグッと引きつけられ、サビの「喜びと哀しみを一つに織りなして」という部分を、スパーっと歌いあげる天地真理さんの声に惹かれてしまいます。
初めての涙
多くの楽曲は、森田公一さんが作曲していますが、この曲は宮川泰さんの作曲によるもので、マイナーとメジャーが交錯するムード歌謡を彷彿させるような曲です。
私は宇宙戦艦ヤマトの音楽が大好きなので、そのせいか、少し「大いなる愛」を連想してしまいました。
夢ほのぼの
わらべ歌のような曲で、この曲を聴いていたら、NHKみんなのうたの淋し気な絵と共に歌が流れてくるイメージが湧いてきました。
愛・つづれ織り
ジャケット写真が随分アダルトな感じなシングルですが、さわやかな感じの曲です。
シングルでは初めてだと思いますが、英語の歌詞が入っています。
ちょっと今までの天地真理さんの歌詞の雰囲気と違うなと思って、作詞家のクレジットを見たら、松本隆さんでした。
歌詞に日付と天気が入っていて、この部分は語るように歌っています。
シンプルな曲ですが、歌詞が耳に残る曲です。
初恋のニコラ
カバー曲ですが、哀愁漂う曲調とサビがどんどん盛り上がって行く感じが気持ちの良い曲です。
私は河合奈保子さんが大好きなのですが、河合奈保子さんも、この曲をライブで歌っていたので、とても印象に残っています。
私が雪だった日
天地真理さんが全盛期の時、私は幼過ぎてあまり記憶がなく、天地真理さんについて起こった出来事などはよく分かりません。
ただ、そんな私でも、この曲を聴くと、今まで天地真理さんが芸能活動をしていく中で、色々な苦悩があったんだろうなと感じ取れます。
天地真理さんが全盛期の時は、確か白雪姫というキャッチフレーズみたいなものが付いていたと思いますが、このシングルの「雪」という言葉は、その白雪姫を指しているのだろうと思います。
そう置き換えて歌詞を見ていると、今まで芸能活動をしていた天地真理さんの告白の様に聞こえます。
そういうこともあり、聴いていてグッとくる曲でした。
夏を忘れた海
未発売であることがもったいないぐらい良い曲です。
「夏」というと天地真理さんの爽やかで明るいイメージが湧きますが、この曲はタイトルに「夏」という言葉が入っているにもかかわらず、淋し気な曲調です。
恋愛の曲のようですが、私は、夏をイメージした全盛期の天地真理はもう終わりましたといった感じに聴こえてしまい、「私が雪だった日」の次に流れる曲ということもあり、またまた胸にグッときてしまいました。
GOLDEN☆BEST 天地真理 コンプリート・シングル・コレクション・アンド・モア(DISC 2)
話が大分長くなってきましたので、DISC 2に関するコメントは止めておきます。
どういう意図でこれらの曲が選曲されたのか分かりませんが、どれも耳に残る名曲ばかりです。
特に、最後のライブ音源である「また逢うためにさようなら」は、当時の音源とは思えないぐらい高音質で、レコードと全く変わらない素晴らしい天地真理さんの歌を聴くことが出来ます。
CDパンフレットには、DISC 2に収録されている曲がどのアルバムに収録されているかの記載が分かりづらかったので、それだけ記載しておきます。
(収録曲)アルバム収録曲
- 一枚の写真(11th アルバム「小さな人生」)
- レイン・ステイション(11th アルバム「小さな人生」)
- 家なき子(11th アルバム「小さな人生」)
- ある恋の感想(11th アルバム「小さな人生」)
- 明日また(11th アルバム「小さな人生」)
- 明日への愛(11th アルバム「小さな人生」)
- 小さな人生(11th アルバム「小さな人生」)
- 一杯のレモンティー(13th アルバム「童話作家」)
- ひまわりの小径(3th アルバム「虹をわたって」)
- 恋の風車(8th アルバム「恋と海とTシャツと」)
- ある雨の日の情景(8th アルバム「恋と海とTシャツと」)
- サルビアの花(8th アルバム「恋と海とTシャツと」)
- あなた(8th アルバム「恋と海とTシャツと」)
- 牧場の乙女(6th アルバム「恋する夏の日」)
- 明日への出発(8th アルバム「恋と海とTシャツと」)
- 渚の誓い(8th アルバム「恋と海とTシャツと」)
- さよならは心をこめて(7th アルバム「空いっぱいの幸せ」)
- 素晴らしい青春(8th アルバム「恋と海とTシャツと」)
- わたしの場合(11th シングル「想い出のセレナーデ」B面)
- ブランコ(12th シングル「木枯らしの舗道」B面)
- 君よ知るや南の国(14th シングル「初めての涙」B面)
- ひとかかえの愛(未発売曲)
- また逢うためにさようなら(9th ライブアルバム「天地真理オン・ステージ」よりライブ音源)
まとめ
CDパンフレットの裏面に、全シングルのジャケット写真が載っています。
可愛らしい天地真理さんの写真が並んでいますが、「さよなら こんにちわ」「夕陽のスケッチ」では髪型を大胆に変え、素敵なお姉さんになっています。
「矢車草」から「夢ほのぼの」辺りまでは、再度可愛らしい感じの天地真理さんに戻りましたが、「愛・つづれ織り」以後は、かなりアダルトな感じです。
天地真理さんが休業宣言をした頃だったかはっきりとは覚えていませんが、母が「真理ちゃんは人気があり過ぎて疲れちゃったみたいだね」と言っていました。
今、動画サイトで天地真理さんを見ると、特に「想い出のセレナーデ」以後は、少し心ここにあらずといった感じで、芸能界復帰直後に「as A person」を歌う華原朋美さんと少し重なって見えてしまいます。
現在、歌以外の事で時々話題になる天地真理さんですが、天地真理さんの残してくれた楽曲は今でも全く色褪せず、聴くたびに心に響いてきます。
少しでも興味を持たれたなら、是非、天地真理さんの曲を聴いてみてください(^^♪