今回は、大場久美子さんの1stアルバム「春のささやき」について、その仕様や気づいたことなど色々書いてみたいと思います。
シングルバージョンと大分ミキシングが違っていたり、ナレーションが入っていたりと、アルバムならではの魅力が詰まった作品です。
レコードとCDの音質差などもチェックしてみました。
大場久美子 1stアルバム「春のささやき」レビュー
大場久美子さんのアルバムでCD化されているのは、この1stアルバムと4thアルバム「kumiko アンソロジー」(ベスト盤)のみで、現在(2019年7月)では高値となっています。
ここではLPレコードについてレビューしたいと思います。
レコードの仕様
ジャケットの中には、歌詞の書かれた紙が1枚入っています。
裏面には、1stアルバムならではの初々しい大場久美子さんが写っています。
この歌詞カードには一部誤植があって、4曲目「今は片想い」のナンバリングが、③となっています。
その他、誤植ではありませんが、シングル盤の歌詞カードで、ひらがなで書いてある文字が、アルバムでは漢字になっていたりと、探せば色々な違いが見つかりそうです。
収録曲とアルバムの雰囲気
このアルバムは、1st~3rdシングル曲のAB面と新曲4曲で構成されており、収録曲は以下の通りです。
(A面)
- 大人になれば(作詞:浜口庫之助 作曲:萩田光雄)
- 恋させて(作詞:八坂裕子 作曲:萩田光雄)
- あの人のイニシャル(作詞:小林和子 作曲:萩田光雄)
- 今は片想い(作詞:小林和子 作曲:萩田光雄)
- 追いかけないで(作詞:岩谷時子 作曲:鈴木邦彦)
(B面)
- あこがれ(作詞:岩谷時子 作曲:鈴木邦彦)
- 夏の恋風(作詞:小林和子 作曲:萩田光雄)
- 太陽がまぶしくて(作詞:岩谷時子 作曲:鈴木邦彦)
- 枯葉いろのマント(作詞:岩谷時子 作曲:鈴木邦彦)
- 電話をください(作詞:小林和子 作曲:萩田光雄)
アレンジは、全曲萩田光雄さんが担当しています。
「大人になれば」「恋させて」というマイナー調(悲し気な雰囲気)の曲でスタートし、その後は、大場久美子さんがニコニコしながら歌っている姿が目に浮かぶようなポップソングが続き、ラストの「電話をください」というマイナー調のせつなソングで幕を閉じます。
全曲ではありませんが、曲間に以下のような言葉から始まる大場久美子さんによるナレーション(ポエム)が入っています。
(A面)
1曲目終了後「雑踏の中で突然スキップがしたくなりました…」
3曲目終了後「雲が好き…」
4曲目終了後「小さな小さな小人さん…」
(B面)
1曲目終了後「夢を見たのです…」
3曲目終了後「線路に沿った細い道を歩いて帰るのです…」
5曲目終了後「ロウソクの火が今日は何故だか眩しいの…」
大体30秒前後ですが、B面のラストは2分ほどのナレーションとなっています。
大場久美子さんの話し口調はとってもかわいいので、コメットさんのセリフ回しに萌えた方にはぜひ聴いていただきたい部分です。
シングルバージョンとの違い
シングル盤しか聴かれたことのない方が、このアルバムに収録されているシングル曲を聴くと、全曲録り直したかのような新鮮味を感じることと思います。
シングル盤は、どの音の音量も均一化されたようなフラットなバランスなのに対し、アルバムバージョンは、中低音部が強調され、力強い印象です。
ハイハットやバイオリンの高音部が引っ込み気味に聴こえる反面、シングル盤ではそれ程前に出てこなかった楽器の音がよく聴こえます。
エレキギターの音がシングル盤では左だったものが、アルバムバージョンでは右だったりと、楽器の定位も変更されています。
リバーブ(エコー)も強めにかかっており、全体的にゴージャスな雰囲気になっています。
これだけ雰囲気が違うと、演奏、歌共に録り直ししたように感じますが、基本的にはミックスが変わっただけで、録り直しはされていないように思います。
ただ、「あこがれ」のボーカルパートだけは歌い直しがされているようで、シングル盤は、歌詞をしっかりと歌おうと緊張していたのか、パキパキとした硬い感じの歌い方でしたが、このアルバムバージョンでは、肩の力を抜いてリラックスした歌い方になっています。
”出てきてちょうだい 私 ここよー”の「よー」の部分を聴き比べると、その違いがよく分かると思います。
LPとCDの音質の違い
レコードとCDの音質比較をするに当たり、レコードは、サンプリングレート48kHz、ビット深度16bitで、flacにデジタル化したものを使用しました。
CDは「大場久美子 ゴールデン☆ベスト」と「Big Artist Best Collection Kumiko Oba」を使用しました。
試聴機器として、パソコンにSONYのポータブルアンプPHA-2をデジタル接続、音楽再生ソフトはSONYのMEDIA GO(ASIO)、ヘッドホンはSONYのモニターヘッドホンMDR-Z1000を使用しました。
CDは全ての音が鮮明で音の輪郭がクッキリしており、音の芯で音楽を聴かせる感じです。
付帯音(レコードに記録されていない余計な音)は感じられず、音と音の間にスッキリとした空間があり、そこにヒヤッとした冷たい空気のようなものを感じます。
レコードの方は、それぞれの音像(音の面積)が大きめで、音の余韻が音場いっぱいに広がるため、隙間のない音の壁が耳に迫ってくる感じがします。
レコード針がレコードをトレースする音、取り切れていない汚れに起因するノイズ、微弱なモーターやベルトの回転する音といった付帯音も、こういった音質になっている一因かと思います。
まとめ
大場久美子さんのアルバムは、ほとんどCD化されていないため、そのアルバム曲に触れる機会は余りないと思いますが、大場久美子さん独特の語り掛けるような歌い方で歌われる楽曲は中毒性があり、一度ハマると抜け出せなくなるような強烈な魅力があります。
大場久美子さんのレコードは比較的安価で、中古レコード屋さんでもよく見かけるので、気になったら、是非入手してみてください。
近年のレコードブームで、手頃なレコードプレイヤーも多数発売されています。
大場久美子さんの声は、CDのすっきりした音で聴くよりも、アナログレコードの厚みのある音で聴いたほうが生々しく感じるかもしれません。
なお、1stアルバムに関しては、入手困難となっているアルバム以外にも、上記に挙げた「大場久美子 ゴールデン☆ベスト」と「Big Artist Best Collection Kumiko Oba」で全曲聴くことが出来ます。
試聴も出来るので、気になったら聴いてみてください(^^♪
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