三木聖子と石川ひとみの「まちぶせ」~2人の歌手の違い~

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「まちぶせ」は三木聖子さんのデビュー曲で、石川ひとみさんにカバーされ、大ヒットをした曲です。

どちらの「まちぶせ」も個性があって大好きですが、なぜ石川ひとみさんの歌う「まちぶせ」がヒットしたのでしょうか…

今回は、三木聖子さんと石川ひとみさんの「まちぶせ」を振り返って思うことを色々書いてみました。

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三木聖子と石川ひとみの「まちぶせ」~2人の歌手の違い~

「まちぶせ」という曲が紹介される時、石川ひとみさんと三木聖子さんという二人の歌手についても語られることが多いと思います。

作詞作曲は荒井由実(松任谷由実)さん、編曲はどちらも松任谷正隆さんで、違いはあれど、曲の雰囲気に大きな違いはありません。

三木聖子さんの「まちぶせ」はオリコン最高47位、石川ひとみさんの「まちぶせ」はオリコン最高6位で、TBSのザ・ベストテンは最高3位にランクインしました。

荒井由実さんは、「まちぶせ」を生み出すに当たって、フランソワーズ・アルディ(Françoise Hardy)の「さよならを教えて」(原題: Comment te dire adieu)を翻案したという話もありますが、歌詞を含めてそのエッセンスはあると思います。

石川ひとみと三木聖子について

石川ひとみさんと三木聖子さんは3歳違いで、三木聖子さんの方が年長者。

三木聖子さんは女優としてデビュー、石川ひとみさんは歌手としてデビューしています。

三木聖子さんの「まちぶせ」はデビュー曲、石川ひとみさんの「まちぶせ」は11枚目のシングルです。

石川ひとみさんは「まちぶせ」がヒットするまで、2枚目のシングル「くりみ割り人形」のオリコン最高42位という順位が自身の売り上げ記録でした。

石川ひとみさんは当時、子どもに人気だったNHKの人形劇「プリンプリン物語」で主役のプリンプリンの声を担当し、認知度は高かったと思いますが、なかなかヒット曲が出ず、「まちぶせ」のリリースを最後に引退する予定だったそうです。

石川ひとみと三木聖子の歌い方の違い

三木聖子さんの「まちぶせ」は、デビュー曲であるということ、「まちぶせ」の歌詞は、三木聖子さんの実体験をモチーフに荒井由実さんが書いたということもあって、三木聖子さんは「まちぶせ」を歌うに当たって相当気合が入っていたと思います。

サビの「胸の奥でずっと…」の「お」と「く」の間ぐらいで声がひっくり返るような部分がありますが、他のシングルやアルバム曲を聴いてもこういった部分は全く出てこないため、これは三木聖子さんの歌い方のクセというより、やはり強い思い入れや気持ちの表れだと思います。

石川ひとみさんの「まちぶせ」は、この曲が最後の曲なら悔いはないと思いで歌っただけあって、歌手としてのキャリアの集大成のような渾身の歌声で歌われています。

天性の高い歌唱力と相まって、まるでミュージカルの劇中歌のような起伏のある感情表現が印象的で、最後のサビの「胸の奥でずっと」の「と」の終わりの部分の声のかすれ感じに背中がゾクゾクっとした方も多かったのではないでしょうか?

二人の「まちぶせ」が発表された年のヒット曲

三木聖子さんの「まちぶせ」は1976年6月25日、石川ひとみさんの「まちぶせ」は1981年4月21日にリリースされました。

当時ヒットしていた曲を何曲か挙げてみます。

三木聖子の「まちぶせ」が発表された当時のヒット曲

  • およげ!たいやきくん(歌手:子門真人)
  • 木綿のハンカチーフ(歌手:太田裕美)
  • 横須賀ストーリー(歌手:山口百恵)
  • なごり雪(歌手:イルカ)
  • 山口くん家のツトム君(歌手:斉藤こず恵)

石川ひとみの「まちぶせ」が発表された当時のヒット曲

  • 長い夜(歌手:松山千春)
  • ブルージーンズ・メモリー(歌手:近藤真彦)
  • 白いパラソル(歌手:松田聖子)
  • もしもピアノが弾けたなら(歌手:西田敏行)
  • ハイスクール・ララバイ(歌手:イモ欽トリオ)

「まちぶせ」を求めた時代

「まちぶせ」に限らず楽曲がヒットするには、曲のクオリティーがとか、歌が上手い下手とかというよりも、時代が欲しているタイミングでリリースされることが重要だと思います。

「まちぶせ」は、そのメロディーと歌詞から、いかにも歌謡曲という作風。

三木聖子さんが「まちぶせ」を歌った1976年は、「まちぶせ」のような哀愁漂う歌謡曲はポピュラーで、それ故に、そういった作風の楽曲群から一歩前に出るのは難しい時期だったのかもしれません。

1979年近辺からはYMOやニューミュージックブーム、80年代に入るとアイドルブームといったように、日本の音楽界は転換期を迎え、世間はこれまで耳にしたことのないような新鮮な音楽で満たされて行きました。

こういった状況がピークを迎えようとしている1981年にリリースされた石川ひとみさんの「まちぶせ」は、かえって新鮮で多くの人の耳に留まったことと思います。

石川ひとみさんが「まちぶせ」をリリースした頃、私は中学生で、石川ひとみさんってルックスはアイドルなのに歌唱力はアイドルのそれでなく、かつ、楽曲の雰囲気も他のアイドルソングのようにキャピキャピキラキラしておらず、石川ひとみさんという人と「まちぶせ」という楽曲に他とは違う強い個性を感じました。

まとめ

三木聖子さんと石川ひとみさん、どちらの歌う「まちぶせ」もとても素晴らしく、比べてどちらが良いというものではありません。

石川ひとみさんの「まちぶせ」がヒットしたのは、ちょうどその時代が「まちぶせ」のような楽曲を欲していたこと、キャリアを重ねて歌唱力と表現力に磨きのかかったベストコンディションの石川ひとみさんが歌ったこと等、様々な要因が絡み合った結果だったような気がします。

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