今回は、1983年1月31日にリリースされた河合奈保子さんの5thアルバム「あるばむ」の内容について書いてみたいと思います。
>>タワーレコード限定 河合奈保子全アルバム再販(2019.12.25~)
河合奈保子「あるばむ」レビュー
「あるばむ」がリリースされた1983年は、河合奈保子さんが20歳を迎える年で、これまでのキラキラした10代のアイドルから、今後様々な楽曲を歌いこなす大人の歌手として世間に周知するようなアルバムでした。
その序章として、前年の9月に「けんかをやめて」、12月に「Invitation」というしっとりとしたバラードのシングルがリリースされました。
この2曲は「あるばむ」にも収録されていますが、各B面の曲(「黄昏ブルー」「木枯らしの乙女たち」)は収録されていません。
「あるばむ」は、竹内まりやさん、来生たかお&えつこさんによる楽曲提供ということも話題になりました。
アルバムの仕様
「あるばむ」は、河合奈保子さんのアルバムでは、初の二つ折り見開きになっていて、このアルバムを手にした時、すごく豪華な印象を持ちました。
ジャケットを開くと、これから20歳を迎える河合奈保子さん直筆によるポエムが書かれています。
封入パンフレットも見開きになっており、ジャケットやパンフレットには、清楚で気品あふれる河合奈保子さんが写っています。
レコード盤面中央には、写真同様の雰囲気を持つ河合奈保子さんが描かれています。
パンフレットには、来生えつこさんと、音楽評論家の八木誠さんのコメントが書かれています。
来生えつこさんのコメントの中に、「あまり小細工などせずに、素直なままで」という一文がありますが、これは河合奈保子さんに対する当時のファンの共通の願いだったように思えます。
パンフレットの中には歌詞がプリントされていますが、B面最後の曲「恋ならば少し」の歌詞は、来生えつこさんの手書きとなっています。
そこには、河合奈保子さんやアルバム製作スタッフに当てたと思われるコメントも添えられています。
リリース当時の「あるばむ」には、プレゼント応募はがきが付いていて、クロスワードパズルとアンケートに答えて応募すると、バンダナやマフラーがもらえるといった内容でした。
ちょっと記憶が曖昧なのですが、確かこの懸賞に応募して、「NAOKO」と書かれた赤いバンダナを当てたような記憶があります。
しかし、このクロスワードパズルの問題を見ると、物凄く時代を感じます(;^ω^)
収録曲とアルバムの雰囲気
収録曲は以下の通りで、B面に関しては、全て作詞は来生えつこさん、作曲は来生たかおさんとなっています。
(A面)
- Invitation(詞・曲:竹内まりや)
- ダブル・デイト(詞:竹内まりや 曲:林哲司)
- 追跡(詞・曲:竹内まりや)
- 砂の傷あと(詞:竹内まりや 曲:林哲司)
- けんかをやめて(詞・曲:竹内まりや)
(B面)
- 浅い夢
- ささやかなイマジネーション
- 惑いの風景
- オレンジ通り5番街(振り向いてアベニュー)
- 恋ならば少し
アレンジ(編曲)は、大村雅朗さんがA面1,3曲とB面の全曲、清水信之さんがA面5曲目、林哲司さんがA面2,4曲目となっています。
まず、A面ですが、1曲目の「Invitation」と5曲目の「けんかをやめて」というしっとりした曲で始まり終わるという構成になっています。
その間にある曲はバラエティに富んでいます。
2曲目の「ダブル・デイト」は、これまでの河合奈保子さんを象徴するかのような可愛らしさを感じさせるポップソングで、竹内まりやさんの7thシングル「イチゴの誘惑」(詞:竹内まりや 曲:林哲司)に似た雰囲気を持つ曲です。
3曲目の「追跡」は、後にアイドル岡田有希子さんの作詞作曲を担当することとなる竹内まりやさんの片鱗を垣間見れるような曲で、岡田有希子さんの曲で言えば、「哀しい予感」ような曲調です。
4曲目の「砂の傷あと」は、タイトルに「傷」とあるので、一見マイナー調の曲のように思えますが、明るく壮大な空を思わせるようなポップソングです。
次にB面ですが、1曲目の「浅い夢」、4曲目の「振り向いてアベニュー」は、来生たかおさんのオリジナル曲のカバー、その他は新たに書き下ろされた曲という構成になっています。
ちなみに、来生たかおさんの「浅い夢」は、来生たかおさんのデビューシングルで、1stアルバム「浅い夢」に、「振り向いてアベニュー」は、3rdアルバム「By My Side」に収録されているので、気になったらオリジナルバージョンも聴いてみてください。
来生たかおさんの曲は、大まかに言うと、ゆったりと時間が流れるような優しい感じの曲と、声に出さずに心で泣くような切ない曲のパターンがありますが、このアルバムでは、おおらかで優しい感じの曲が大半を占めています。
3曲目の「惑いの風景」は、B面唯一のマイナーソングで、後の河合奈保子さんのシングル「疑問符」を思わせるような曲となっています。
余談ですが、久しぶりにパンフレットを熟読していたところ、気づいたのが、B面の5曲目と6曲目のBacking VocalにクレジットされているAmy(エイミー)。
Amyは、1983年3月にギタリストの松原正樹さんプロデュースにより「瞬間少女」という曲でデビューした女性シンガーです。
「あるばむ」のB面5曲目の「恋ならば少し」のギタリストとして松原正樹さんが参加されているので、Amyがデビューする前に、「あるばむ」のレコーディングに参加させたのだろうと思われます。
まとめ
収録曲はバラエティに富んでいて、20歳を迎えるしっとりとした河合奈保子さんのイメージに合った曲調、アレンジで、聴いていてとても心地のよいアルバムです。
現在のアイドルは、20歳を超えても、10代と変わらない可愛らしいパフォーマンスをしてくれていますが、当時のアイドルは、大体20歳を迎える頃になると、お化粧が濃くなったりとアダルトな雰囲気になって行きました。
私はそれが嫌で、20歳を超えてもまだまだ可愛らしいアイドルでイケるじゃん!そのままでいて欲しい!なんて思っていました。
幸い、河合奈保子さんの場合は、大人へのステップとして妙なアダルト路線に行かなかったのでホッとしていたことを、この「あるばむ」を聴いていると思い出します。
>>タワーレコード限定 河合奈保子全アルバム再販(2019.12.25~)