今回は、レコードのノイズを除去したいけど、あまり時間とお金をかけたくないといった方に向けた話です。
レコードのプチプチ・チリチリといったノイズを除去・低減する方法は多々ありますが、出来る限り簡単で時間をかけずに洗浄した場合、どの程度ノイズが減るのでしょうか?
その検証に当たり、レコードクリーニングで、よく話題になる「水の激落ちくん」と「レコクリン」を使用し、クロスで汚れと水滴を拭き取るだけで、どの程度のノイズが除去できるのか、どちらの方がよりノイズを除去できるのか、その違いを聴き比べてみました。
なお、音飛びの対処法も最後の方にに書いておきました。
水の激落ちくんvs レコクリン
今回使用するのは、洗浄液として、ホームセンター等で売られている「水の激落ちくん」、ディスクユニオン公式クリーナーの「レコクリン」、汚れや水分を拭き取るものとして、ディスクユニオンで売られている「レコクロス」です。
「水の激落ちくん」は、近所のホームセンターで購入し、500mlのボトル入りで258円(税込)でした。
「レコクリン」と「レコクロス」は、新宿のユニオンレコードで購入しました。
「レコクリン」は、200mlで1512円(税込)、「レコクロス」は、50枚入りで648円(税込)でした。
クリーニング方法
テーブルを汚さないように、新聞紙を敷き、念のためレコードの入っているビニール袋をレコード盤の下に敷きました。
使用したレコードは、もう30年近く前に購入したもので、久しぶりに見てみたら、盤面の淵辺りに手あか(指紋)のようなものが、あちらこちらに付いていて、状態はあまり良くない感じです。
まず、今回拭き取りに使用する「レコクロス」ですが、触った感じは家の掃除をする時に使用するクイックルワイパーシートのようなものとほぼ変わりません。
ただ、よく見ると、「レコクロス」の方が若干きめが細かい感じです。
「レコクロス」を広げると、レコード盤面に近いぐらいの大きさになります。
クリーニングをする時は、何度か折って、このぐらいの大きさにしました。
初めに、「レコクリン」でクリーニングしてみます。
クリーニングは、Youtubeにアップされているディスクユニオン公式ページで紹介されているものと全く同じやり方で行いました。
まず、「レコクリン」を10円玉程度の大きさ5つ分垂らします。
「レコクリン」は、下に向けてもドバーっと垂れて来ず、ボディーを押すと少しずつ出てくるため、垂らす加減は調整できます。
これを「レコクロス」で、盤面に沿って少しずつ軽めの力で拭いていきます。
「レコクロス」で盤面を拭いていると、レコードの溝をガッチリと掴んでいる感覚があります。
1周拭き終わったら、「レコクロス」の面を替え、もう一度同じ工程を繰り前しますが、2度目は1度目よりも少し力を入れて拭いていきます。
写真だと分かりづらいですが、クリーニングに使用した「レコクロス」には、うっすらと黄ばんだような汚れが付いていました。
次に、新しい「レコクロス」を取り出して、先程と同じ程度の大きさに折り曲げ、時折面を替えながら、2周程度拭いていきます。
1周目の拭き取りでも、かなり水分が拭き取れ、それほど多くの面は使用しないので、拭き取りに使用した「レコクロス」は、次回も使用することが可能です(ユニオンレコードの店員さんにもそのように教わりました)。
次に、「水の激落ちくん」ですが、盤面に5か所程度吹きかけ、クリーニングは「レコクリン」の時と違って1回のみにして、同様の拭き取りをしました。
「水の激落ちくん」はスプレー方式なため、そこそこ飛び散るので、新聞紙は大きめに広げておいた方が良いかもしれません。
ノイズ低減の程度の違い
では、実際に聴いてみます。
テストA(レコクリンの効果)
クリーニング前の音。
「レコクリン」でクリーニングした音。
テストB(水の激落ちくんの効果)
クリーニング前の音。
「水の激落ちくん」でクリーニングした音。
検証結果
「レコクリン」で2度拭きした場合と、「水の激落ちくん」で1度拭きした場合でのノイズ低減の差ですが、皆さんはどう感じられたでしょうか?
どちらも完全ではないにしろ、ノイズがかなり低減されていることが分かると思います。
ちなみに、テストAでクリーニングしたものを、さらに「水の激落ちくん」でクリーニングしてみたら、よりノイズが低減されました。
このように、一度のクリーニングでノイズが気になるようなら、もう1~2回程度クリーニングを繰り返すと、さらなる効果があるかもしれません。
かつて、レコードをクリーニングするため、レコード盤面を水で濡らし、家庭用洗剤を薄めた水に使わなくなった歯ブラシを浸し、盤面をこすり、普通のタオルで水分を拭き取り、天日干し、若しくはドライヤーで乾かしたりしましたが、ほとんど効果はありませんでした。
一番やって欲しくないのは、盤面の水滴をティッシュで拭き取ること。
これをすると、かえってノイズが増えました。
たぶん、ティッシュの繊維が盤面に付着したためと思われます。
音飛びの対処法
クリーニングしても音が飛ぶ場合、諦める前にちょっと以下のようなことを試してみてください。
音が飛ぶのは何曲目か確かめて、その溝を光を充てる角度を変えたりしながらよーく見てください。蛍光灯の室内で構いません。
すると、小さな点やレコードの溝とは違う薄っすらとした線が入っていると思います。
この部分を爪楊枝の先で軽くこすり、再度レコクリン等で洗浄し聴いてみてください。
見るからに大きな傷でない限り、この方法で音飛びの解消することもままあります。
まとめ
ノイズの除去にこだわる方は、精製水を使用し水道水は使わない、歯ブラシはデンターシステマを使用する、盤面の水滴は布を使わずケルヒャーのような窓の水滴を吸い取る機器を使用するなど、様々な方法でクリーニングをされています。
これらの効果はあると思いますが、そこまでやる気になれないという方は、完全ではないにしろ効果は期待できるので、上記のような方法を試してみてください。
個人的な感覚としては、どちらクリーニング液にするかということよりも、クロスなどの水滴を拭き取る手段の方が重要に感じました。