SE215speを購入してしばらく経つと、せっかくリケーブルできるのだから、ちょっと試してみたいと思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
現在、SHUREが採用しているMMCX仕様のリケーブル製品は、各価格帯ごとにかなり多くの種類が揃っており、初めてリケーブルをする方にとってはその選択が非常に難しいと思います。
今回は、初めてリケーブルをするという方に向けて、私が何本か使用してみたリケーブル製品のうち、使い勝手が良く、リケーブルの効果を感じられるものを2本紹介したいと思います。
SE215speに対して初めてリケーブルされる場合は、本体価格を超えるケーブルを購入するのに抵抗があると思いますので、価格は1万円以内のものをセレクトしてみました。
なお、ここで紹介するケーブルはアンバランス仕様なのでご了承ください。
ZEPHONE ELシリーズ
今回紹介させていただくケーブルは、ZEPHONE(ゼフォーン)というメーカーのEL-14(Orange Owl「オレンジ オウル」)とEL-21(Blue Seagull「ブルーシーガル」)です。
この製品の紹介前に、リケーブルに対する注意点を書いておきます。
リケーブルの意味
リケーブルを検討されている方は、おおよそ以下のような理由からだと思います。
- 音質を変えたい
- 音質を良くしたい
- ケーブルの取り回しをよくしたい(ケーブルの太さ、ワイヤーの有無等)
- ケーブルをファッショナブルなものにしたい
1つだけ注意していただきたいのは、「音質を良くしたい」という理由で購入を検討されている場合。
リケーブルすることにより音の線の太さ、音の明暗、音場の広さといった音の質感を変化させたり、若干の欠点を補うことは出来ますが、どんなに高額なケーブルを購入したとしても、イヤホン本体の性能を超える音質にはなりません。
つまり、SE215speに5万円のケーブルをつけても、SE846のような音質には絶対にならないということです。これを踏まえた上で、リケーブル製品の購入を検討してください。
ZEPHONE EL-14・EL-21の質感
EL-14は名前の通りオレンジ、EL-21はブルーのケーブルです。
EL-14は約6千円、EL-21は約9千円とやや開きがあります。
どちらにも共通している部分は、低価格ながらプラグやケーブル分岐点回り作りがしっかりとしていて質感が良いということと、耳に掛ける部分にクセが付いているという点。
耳掛け部分にはワイヤーは入っていない形状記憶で、一々調整せずともイヤホンケーブルを耳に引っかけるだけなので手軽です。
純正ケーブルとの音質の違い
試聴環境は以下の通りで、音声ファイルの形式はflacです。
- 使用イヤーピース:純正シリコン(大)
- DAP:SONY NW-ZX2
- 試聴曲:河合奈保子「けんかをやめて」、BABYMETAL「ギミチョコ!!」
純正ケーブル
ドラム、ベースの音の芯が太く力強いです。アタックもしっかりしており、ドラムのキックは「ボワッ」ではなく「ドン」という感じです。
低音に迫力がありますが、ボーカルやコーラスは埋もれることなく、ボーカル等にかけられたエコーなどのエフェクト音も分かります。
シンバル・イハットといった高音域に関しては、低音の力強さに埋もれてちょっと聴こえづらい感じがします。
空間については、上下左右とも広くもなく狭くもなくといった感じです。
「けんかをやめて」は重いドラムのフィルから始まるバラードですが、純正ケーブルではちょっと低音が強すぎるきらいがあります。
ボーカルに付随する余韻はクリアに聴こえますが、その周りに暗めの空気をまとった芯の太い低音が居座っているので、闇の中にぽっかりとボーカルが浮かび上がっているような印象を受けました。
「ギミチョコ!!」左右に振られたギターのバッキングが図太く、ザクザク鳴る感じが気持ちいいです。ツーバスは重さを保ちながらキレがあり、「けんかをやめて」のような低音過多な印象はありませんでした。
純正ケーブルでは、芯が太くともぼやけない輪郭を持った低音の質感の良さを一番感じました。
ZEPHONE EL-14(Orange Owl)
音の持つ重さはそのままに、全体的に音が締まり、クリアで明るめの音色になります。
音が締まったおかげで空間が広がり、シンバルやハイハットといった高域部分や低音の陰に隠れていた細かいパーカッションの音などを聴き取りやすくなりました。
「けんかをやめて」はバランスが良くなったのに対し、「ギミチョコ!!」はギターの音が締まったせいで、バッキングのザクザク感は減少しました。
ZEPHONE EL-21(Blue Seagull)
純正ケーブルと比べて、音色に統一感が生まれました。
純正ケーブル聴く「けんかをやめて」は、ボーカル周辺が明るく低音周辺が暗めの音という感じでしたが、EL-21にリケーブルすると全体的な音色が、明るすぎず暗すぎずといった自然な感じになります。
低音の芯(太さ)は、純正ケーブルよりは細く、EL-14よりは太いといった感じです。
ボーカルは、純正ケーブルとEL-14での質感の違いはあまり感じませんでしたが、EL-21にリケーブルすると、音色は明るすぎず暗すぎずといった自然な音色になるということに加え、音に厚みが出てまろやかになり、純正ケーブルとEL-14では若干乾いてカサついていた歌声に艶が乗るようになりました。
音場の広さについてはあまり違いを感じませんでした。
「ギミチョコ!!」のギターのバッキングは、純正ケーブルでは分厚く、EL-14では細身になりましたが、EL-21ではその中間の太さになりました。
まとめ
ZEPHONE EL-14(Orange Owl)にリケーブルすると、すっきりした見晴らしの良い音になるので、現在SE215speの音が暗く、低音が強すぎると思っている方にはおすすめです。
ZEPHONE EL-21(Blue Seagull)にリケーブルすると、全体的なバランスがとれ、ボーカルにも艶が乗ってくるので、SE215speの質がワンランクアップした印象です。
やはり価格差分の性能差はあります。
爽やかにさらっと音楽を聴きたい方はEL-14、音楽をじっくりと聴き込みたい方はEL-21が良いと思います。