80年代にアイドルグループ「レモンエンジェル」のメンバーとして歌手デビューした櫻井智(さくらい とも)さん。
その後、「マクロス7」等の声優、舞台女優等の多彩な活動を経て、2016年に声の不調を理由に一時引退宣言をしましたが、2019年5月末に復帰宣言をし、ツイッター等を通して現況報告されています。
昨日観劇に来て下さった皆様
ありがとうございました😊
終演後ロビーに伺い
来て下さった方にご挨拶できて良かったです😊
今日も明日も、
ロビーに伺いますので、
お時間がありましたら
楽屋口近くに居て下さると
わかりやすいです😊それでは皆さま、
楽しい休日を💕劇場IN〜 pic.twitter.com/bL5Sy3XV9C
— 櫻井智 (@TOMO_SAKURAI_) August 10, 2019
櫻井智さんは「レモンエンジェル」解散後も歌手活動も継続し、各種アルバムをリリースしています。
今回は、櫻井智さんがリリースしたアルバムの中から、アイドル声優というイメージとは関係なく聴くことの出来る良質なポップアルバムを3枚紹介したいと思います。
なお、櫻井智さんは、現在「櫻井」の表記で活動されていますが、当時は「桜井」という表記をしていた時期もあったため、以下のアルバム紹介の際には、アルバム表記通りに記載します。
【桜井智】 おすすめアルバム3選~声優アイドルの歌姫~
櫻井智さんが「レモンエンジェル」で活躍していた頃、私は学生でリアルタイムでした。
アイドルの出演する歌番組は結構見ていましたが、彼女たちがテレビで歌っているシーンは全く記憶になく、Youtube等で当時の歌唱シーンを見ても全く過去の記憶と合致する部分がないので、一般的にはかなりマイナーなアイドルグループだったように思います。
ただ、当時「くりいむレモン」は見たことがあり、かなり衝撃を受けたので、そのイメージキャラクターという意味で売り出された「レモンエンジェル」という名称は薄っすらと記憶に残っています。
あとは、投稿写真等でよく目にした写真に「レモンエンジェル」という文字が書いてあったのも何となく覚えています…
櫻井智さんの名が知れたのは、一般的には「マクロス7」でミレーヌの声を担当した辺りからで、櫻井智さんは、そのかわいらしいルックスと声でアイドル声優として一時代を築きました。
おすすめアルバム
櫻井智さんは、アイドル声優として、その作品の内容にあったアニメ声で歌う曲ももちろんありますが、オリジナルアルバムで歌う曲では、かわいらしい声をデフォルメすることなく、自然体の優しい歌声を聴かせてくれます。
飯島真理さんが「超時空要塞マクロス」でリン・ミンメイ役として歌った曲を櫻井智さんがカバーしたアルバム「MYLENE JENIUS SINGS LYNN MINMAY」では、飯島真理さん?と錯覚してしまうぐらいその歌声は似ています。
では、以下に3枚のアルバムを紹介します。
Cherry(1996年リリース)
- Prologue(作曲編曲:朝川朋之)
- Bye Bye 少女時代(作曲編曲:岩本正樹)
- My Town(作曲:飯島真理 編曲:保刈久明)
- Run Run Run(作曲:小松研多朗 編曲:保刈久明
- 朝食のご案内(作曲: 新居昭乃 編曲:保刈久明)
- 笑っちゃうけどスキ!(作曲:松原みき 編曲:保刈久明)
- あいたくてもあえない(作曲:飯島真理 編曲:清水信之)
- 最終東横線(作曲編曲:保刈久明)
- ダイアリィ(作曲:遠藤京子 編曲:岩本正樹)
- ひたすら前向きに(作曲:小路隆 編曲:保刈久明)
- カーテンコール(作曲: 編曲:朝川朋之)
1stアルバム「T-mode」はどちらかというと「マクロス7」のミレーヌを意識したかのような雰囲気がありましたが、この2ndアルバム「Cherry」では、全曲の作詞を桜井智さんが手掛け、作家陣に飯島真理さんや1979年に「真夜中のドア~Stay With Me」でヒットを放った松原みきさん等を迎えるなど、アイドル声優という殻を破るかの如く作成された意欲的なアルバムです。
アルバムジャケットはアイドル色満載ですが、荘厳なバイオリンのインストでスタートする「Cherry」の収録曲は、80年代末期付近のアイドルソング、軽快なロック、AORフレーバーを散りばめたバラード、谷山浩子さんのようなメルヘンチックな曲等、非常にバラエティに富んでいて、アルバム全体としては明るさを感じるような作風となっています。
収録曲中、飯島真理さんによって作曲された曲が2曲あります。飯島真理さんの初期のアルバムを何枚か聴かれたことのある方でしたら、クレジットを見なくてもどの曲が飯島真理さんの提供曲か想像がつくと思います。
桜井智さんの歌を多面的に感じたい方におすすめのアルバムです。
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12の旋律(1998年リリース)
- くちべに(作詞:朝倉薫 作曲:山口未央子 編曲:神津裕之)
- オルゴォル(作詞:朝倉薫 作曲:上田知華 編曲:神津裕之)
- オールド ポート ストーリー(作詞:朝倉薫 作曲:大堀薫 編曲:神津裕之)
- ロンリィ バースディ(作詞:朝倉薫 作曲:編曲:神津裕之)
- 黒い帽子(作詞:朝倉薫 作曲:山口未央子 編曲:神津裕之)
- ガラスのマリオン(作詞:朝倉薫 作曲:上田知華 編曲:神津裕之)
- サファイアの夜(作詞:朝倉薫 作曲:河内日出夫 編曲:神津裕之)
- MARSEILLE BLEU(作詞:朝倉薫 作曲編曲:神津裕之)
- 夜の恋歌(作詞:朝倉薫 作曲:吉田雅彦 編曲:神津裕之)
- 異国の祭り(作詞:朝倉薫 作曲:編曲:神津裕之)
- ギリシャの旋律(作詞:朝倉薫 作曲:朝倉薫 編曲:神津裕之)
- 最期の旋律(作詞:朝倉薫 作曲編曲:神津裕之)
最初に紹介したアルバム「Cherry」はバラエティに富んでいましたが、「12の旋律」はそれとは対極をなすアルバムで、あるコンセプトを持って全ての楽曲が作られています。
そのコンセプトとは楽曲の持つ美旋律を聴かせること。そのために演奏で使用されている楽器は、チェロ、アコースティックギター、ピアノ、アコーディオンといったほぼ生楽器のみ。
収録曲は全曲バラードで、やすらぎや哀愁をまとった12曲の美しいメロディーがアルバム全編に散りばめられています。
アレンジがシンプルで曲の雰囲気も似通っていることから、桜井智さんはこのアルバムの収録曲を歌うに当たって、相当時間を使って自分なりの解釈をし、1曲1曲に細かな色・表情を付けていったような印象を持ちます。
斉藤由貴さん、渡辺満里奈さん、CoCoなど多くのアイドルに楽曲提供してきたシンガーソングライターの山口未央子さんや、今井美樹さんの「PIECE OF MY WITH」等を作曲したシンガーソングライターの上田知華さんが作家陣として参加されている点もポイントです。
歌詞の内容は切ない愛をテーマにしたものがほとんどですが、繊細で優しい桜井智さんの歌声を聴いていると、どの曲を聴いても女性の母性に包まれる気分になります。
個人的には、「12の旋律」が桜井智さんのアルバムの中でイチ押しで、音楽に癒しを求めている方におすすめのアルバムです。
朝倉薫さんが全曲の作詞をされていますが、朝倉薫さんは「レモンエンジェル」時代の多くの曲を作詞されていた方です。朝倉薫さんについては後述します。
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ACTRESS(1996年リリース)
- 恋はメレンゲ(作詞:朝倉薫 作曲編曲:神津裕之)
- 心にちょっと雨漏り(作詞:朝倉薫 作曲編曲:神津裕之)
- 月の魔力(作詞:朝倉薫 作曲:前田保 編曲:神津裕之
- 忘れかけたセレナーデ(作詞:朝倉薫 作曲:森下登喜彦 編曲:神津裕之)
- 千年の運命(作詞:朝倉薫 作曲編曲:神津裕之)
- 沈まない太陽(作詞:朝倉薫 作曲編曲:神津裕之)
- 胸の中の小鳥(作詞:朝倉薫 作曲編曲:神津裕之
- MIDNIGHT FLOWER TRAIN(作詞:朝倉薫 作曲編曲:神津裕之)
- 約束(作詞:朝倉薫 作曲編曲:神津裕之)
- ACTRESS(作詞:朝倉薫 作曲編曲:神津裕之)
桜井智さんは「レモンエンジェル」解散後、舞台女優と声優業を同時進行して行きました。
「レモンエンジェル」時代から親交のあった朝倉薫さん(※男性です)が1992年に設立した朝倉薫演劇団に立ち上げから参加した桜井智さんは、舞台女優としてのキャリアを重ねていきました。
朝倉薫さんは、70~80年代にかけて「おぎひろし」や「竹内緑郎」名義で作詞作曲、ミュージシャンとして活動しており、特に「竹内緑郎」名義で作詞し自ら歌った「江古田スケッチ」は、今でもなお江古田近辺で語り継がれているとのこと。
さて、この「ACTRESS」というアルバムですが、このアルバムは朝倉薫演劇団公演で桜井智さんが歌った劇中歌をセレクトしたものです。
バラエティの富んでいるという意味では、最初に紹介した「Cherry」と同様ですが「ホテル夕陽館」「裸月物語」「沈まない船」「桃のプリンセス」等の様々な演目の様々なシーンで歌われた劇中歌は、桜井智という個人ではなく劇中人物として歌われているだけに、その表情はさらに多彩です。
多くの楽曲は、歌謡曲寄りの分かりやすいメロディーで、しっとりとした歌謡曲が好きな方には、2曲目の「心にちょっと雨漏り」から4曲目の「忘れかけたセレナーデ」の流れは堪らないと思います。
劇中歌のベスト盤は、この他に「ACTRESS series Best Selection」という16曲入りのCDもありますが、よりメロディーの強い曲が収録されているという意味で、「ACTRESS」の方を紹介させていただきました。
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まとめ
アイドル声優のCDは、アニメを見ていた人にしか共感を得られ難いキャラクターソング的なものと思われている方もいるかもしれませんが、多くのアイドル声優と言われる歌手は、そういったものとは関係のないオリジナルアルバムをリリースしており、時代の流行に左右されない良質なポップアルバムであることも多いです。
もし、気になる声優さんがいたら是非オリジナルアルバムを聴いてみてください。
まだ復帰されたばかりの櫻井智さんですが、コンディションによっては新たなオリジナルソングを聴くことが出来るかもしれません。
人生経験をさらに積まれ円熟した櫻井智さんの歌声を是非聴いてみたいものです。