今回は、YAMAHAのアコースティックギター(フォークギター)LL6とLL16の音の違いについて書いてみたいと思います。
YAMAHA LL6とLL16は、初心者向けアコギからランクアップしたいと思われている方のターゲットとなるギター。
LL6とLL16だけでなく、LS6 / LJ6 / LS16 / LJ16もじっくりと弾き比べてきたので、その違いも記載しておきます。
生ギターは、同じ型番でも1本1本音が異なる場合があったり、その日の自分のコンディションによっても音が違って聴こえることがあるため、同じ型番のギターを日にちを置いて何店舗かで試奏しました。
結論から言うと、いつ・どのお店で弾いても、音の印象は変わらなかったので、YAMAHA LLシリーズの音は、個体差を感じさせない明確なキャラクターを持ったギターと言えます。
【YAHMAHA アコギ】LL6とLL16の違い~LS,LJも含めてチェックしてみた~
YAMAHA LL6とLL16の仕様の共通点
まず、共通点から見てみると、
- AREという技術が使われている
- ピックアップが付いている
- トップが単板
- LS、LJという種類もある
AREとは、Acoustic Resonance Enhancementの略で、新品のギターでも長年鳴らし込まれたギターのごとくバランスの取れた熟成感のあるサウンドが得られるというヤマハ独自の木材改質技術のこと。
ピックアップはパッシブタイプ、つまり電池の要らない仕様で、エンドピンがジャック差込口を兼ねています。
LL6とLL16ってエレアコなの???
なんて思われる方もいると思うので、一応書いておきますが、どんな種類であれ、ピックアップが付いていて、アンプから音を出すことが出来るので、エレアコと言ってもいいです。
ただ、主にアクティブタイプのピックアップを搭載した通常のエレアコと比べると、チューナー、ボリュームやトーンコントロールは付いていない、ハウリング対策は万全でない等の理由から、エレアコとしても使えますよレベルと思っておいてください。
例えば、THE ALFEEみたいなバンドをやるには、LLシリーズのギターだと、ハウリングに悩まされる場面が多々あると思います。
【ハウリング】
ギターのピックアップがアンプから出た音も拾ってしまい、ピーっという非常に耳障りな大きな音が出る現象
ギター表面の板(トップ)は、どちらもイングルマンスプルースという素材の単板。
単板とは、つなぎ合わせ(合板)でなく、一枚の板で作ったという意味で、音の振動が伝わりやすく、結果、大きな音が出るという効果があります。
LL6とLL16には、同じ価格でLSとLJというボディ形状違いのモデルがあります。
見た目だけでなく、音も結構違います。
音質については後述します。
YAMAHA LL6とLL16の仕様の相違点
主な相違点は、
- サイド&バックがローズウッドの合板(LL6)単板(LL16)
- 指板がローズウッド(LL6)エボニー(LL16)
- カラーバリエーションの数
LL16は、ボディの表板(トップ)・裏板(バック)・表裏板に挟まれた板(サイド)、全てが単板仕様で、音の鳴りを重視した高級ギターで見られる仕様になっています。
指板に素材の違いはありますが、見た目と指のすべり心地などに差異は感じませんでした。
YAMAHA LL6とLL16の音の違い
価格は、定価で言うと、LL6が6万円、LL16が10万円。
この価格帯を狙う方は、初心者向けギターからのステップアップとして検討している方も多いと思われるので、YAMAHAの入門者向けギターFGシリーズとの音の違いも書いておきます。
FGシリーズは、最上級モデルのFG850を使いました。
ざっくり言うと、
- FG850:耳慣れたフォークギターの音
- LL6:大音量と煌めく音に新世代のアコギを感じる
- LL16:LL6との差は正直ビミョー
まず、FGシリーズですが、これは昭和のフォークソングブームでギターを弾いてきた方は、試奏して一番違和感のない馴染みのある音だと思います。
若干、従来の入門者向けフォークギターよりも音量が出ている気もしました。
次にLL6。6弦から1弦に向かってジャラ~ンと弾けば、一発でFG850との音の違いが分かります。
FG850より音量がアップし、きらめきを帯びた音質、ベールを一枚剥がしたような音の明瞭感。
FG850を弾いた後にLL6を弾くと、FG850の音が暗く聴こえます。
従来のフォークギターとは違う新世代の音
いい意味で、軽い違和感を覚えました。
ペグ(糸巻)もゴールドで、高級感があります。
最後に、LL16。LL6比で言うと、一番違いを感じるのは音量。
LL16なんかは、ストロークでガンガンかき鳴らすと、ボディの鳴りが凄すぎて、ちょっと音が暴れる感覚すらありました。
ただ、その音質差は微妙なところで、分かる人には分かるというレベル、そんな印象でした。
LL6とLL16の差は、オーディオマニアが音質を追求していく感覚に似ていて、この価格差と音質差にどこまで価値を見出せるかが鍵。
LL16には、より豪華な装飾を施したLL16Dというモデルもあり、見た目の高級感も追及するなら、こちらのモデルもアリです。
初めにお話しした通り、LL6とLL16にはピックアップが付いていますが、ピックアップが付いていることによってギターの生音が劣化するという印象は全くなかったので、この点は気にしなくて大丈夫。
実際にアンプに繋いで音を出してみたところ、生音と変わりない高クオリティの音質で、ちょっとしたライブでは十分使えます。
YAMAHA LL6・LJ6・LS6(LL16・LJ16・LS16)の違い
LL6とLL16には、それぞれLJ・LSというバリエーションがあって、価格は同じです。
違いは本体の形状で、それに伴って音も結構違います。
まず、ボディー形状ですが、LS(スモール)LJ(ミディアムジャンボ)LL(ジャンボ)という風に、LSからLLに向かっていくほどサイズが大きくなっていきます。
LSとLJは、持ち変えた時に大きな違和感はありませんが、ここからLLに持ち変えると、その大きさの違いに気づくでしょう。
昭和のフォークブームの時は、LLの大きさが一般的で、この頃からフォークギターを弾いている方は、LLでも違和感はないと思いますが、初めてアコギを買うという方にとっては、ちょっと弾きづらさを感じるかもしれません。
次に音の違いですが、LL6とLL16の差よりもLL・LJ・LSの差の方が顕著で、演奏スタイルによっては、単にボディ形状だけで選ぶと、後々後悔なんてことも…
音の違いをざっくり言うと、
- LS:音の粒立ちがハッキリしている(アルペジオ主体向き)
- LJ:音の粒立ちの明瞭さと音量を兼ね備えている(オールラウンダー)
- LL:シリーズの中で一番音量が出ている(ストローク主体向き)
どのシリーズも十分な音量が出ていて、きらめく音色という点においては共通しています。
LSからLLに向かうにつれ、より音量が出て、音の鳴り(響き)も増すため、
- 3フィンガーといったアルペジオが主体の方は、音の響きで各弦の音が濁らず、より明瞭に聴こえるLS
- ストロークでパワフルにかき鳴らすスタイル主体の方は、大音量のLL
こんな選択すると、より満足度が高いと思います。
ただ、一番バランスの取れたモデルはLJで、演奏スタイルを選ばない、弾きやすいボディ形状ということから、もしギター選びで迷ったら、LJで決まり。
最後にカラーバリエーションを書いておきます。
カラーもギター選びには重要なポイント。
もし、店頭になかったら、取り寄せてもらうことも可能なので、あらかじめどのカラーがいいか想像しておいてください。
- LL6:ナチュラル、ブラウンサンバースト、ブラック、ダークティンテッド
- LJ6:ナチュラル、ブラウンサンバースト
- LS6:ナチュラル、ブラウンサンバースト
- LL16:ナチュラル、ブラウンサンバースト
- LJ16:ナチュラル、ブラウンサンバースト
- LS16:ナチュラル、ブラウンサンバースト
まとめ:【YAHMAHA アコギ】LL6とLL16の違い~LS,LJも含めてチェックしてみた~
最後に、今回の内容をまとめておきます。
- LL6とLL16は、どちらも入門者向けギターを越えた音量と音の煌めきを持っている
- LL6とLL16の差はマニア向け
- LL・LJ・LSは、ボディの大きさと演奏スタイルによって選択すると良い
- どのシリーズもエレアコとしても使える
もし、どれがおすすめ?と聞かれたら、個人的にはLJモデルを推します。
LJは、
各シリーズの美味しいところを全部兼ね備えた究極モデル
そんな印象を持ちました。
あくまでも個人的な感想なので、一つの指針として捉えていただければ幸いです。
出来れるだけ店舗で試奏して、自分の感性で楽しみながらギター選びをしてみてください。