ハードロック名盤として、今回紹介させていただくのはYngwie Malmsteen(イングヴェイ・マルムスティーン)の3rdアルバム「Trilogy」(トリロジー)です。
当時、ハードロック嫌いだった私をハードロックの世界へ導いてくれたのは、Yngwie Malmsteenでした。
ハードロックが好きになりたての頃、英語表記の読み方が良く分からず、Yngwieを「イングウェイ」と言ったり、AlcatrazzのボーカリストGraham Bonnet(グラハム・ボネット)を「グラハム・ボンネット」と言ったりして、友人によく訂正されました(>_<)
私はYngwie Malmsteenが好きで、何度かLIVEを見に行きましたが、Yngwie Malmsteen以外にバンド内に要となるメンバーがいると、バンドとしてのまとまりや一体感が出てLIVEの見どころも多くなります。
そういった意味で、ジョーリンターナーがボーカリストだった時のLIVEが個人的には最高でした。
Yngwie Malmsteenとギターテクニックについて
Yngwie Malmsteenとは
Yngwie Malmsteenは、スウェーデン出身のギタリスト兼ソングライター。
スティーラーというバンドでデビューし、脱退後に加入したアルカトラズで人気を博し、アルカトラズ脱退後はソロとなり、現在でもソロで活躍しています。
ソロでなくバンド名義になったりと複雑なのですが、いずれにせよ、Yngwie Malmsteenの自己中心的なものなので、あえてソロ活動と書かせていただきました。
Yngwie Malmsteenは、基本的に自分の思い通りに事を進めたいタイプで、自分の意見とメンバーの意見が合わない場合、協調するより、そのメンバーを解雇してしまう度合いの方が強いです。
よって、メンバーはかなり流動的で、時には自分一人で多重録音をしてアルバムを出してしまうこともあります。
音楽性は一貫していてアルバム毎に傾向が変わることはありません。
Yngwie Malmsteenの大ファンの方なら、傾向が変わらないので安心して聴くことが出来ると思いますが、Yngwie Malmsteenは好きだけど、大ファンという訳ではないという方にとっては、アルバム毎に同じようなギターフレーズや曲調が多数あるため、お腹いっぱいと思われることもあるかもしれません。
Yngwie Malmsteenのギターテクニック
Yngwie Malmsteenは、ジミ・ヘンドリックスやディープ・パープル等のハードロックとクラシックの影響を受け、そのギターは激しくも非常に美しい旋律を奏でます。
元スコーピオンズのULI JON ROTHのようなハーモニックマイナーという哀愁漂う音階を多用し、無駄のないピッキングや正確なスィープ奏法等を用いて、ものすごい速さでギターを弾きまくります。
1987年の交通事故により右手に後遺症が残りましたがリハビリで克服し、4thアルバム「オデッセイ」では変わらぬ高速フレーズを披露してくれました。
アルバム「Trilogy」について
Yngwie Malmsteenがソロになってから現在まで、ライブアルバムを除くと21枚のアルバムをリリースしています。
私がハードロックに目覚めたきっかけは、Yngwie Malmsteenのファーストアルバム「Rising Force」に収録されている「Icarus’ Dream Suite Op.4」というインストの曲でした。
ハードロックはうるさいものと思っていた私にとって、この曲は非常に繊細で美しいメロディー、正確な速弾き、ディストーションが掛かっているのかいないのか分からないぐらいクリーンなギターの音…衝撃でした。
しかし、今回紹介させていただくのは、このファーストアルバムではなく、サードアルバム「Trilogy」です。
「Trilogy」をおすすめする理由
現在まで数多くのアルバムをリリースしている中からこのアルバムを選んだのは、Yngwie Malmsteenのアルバム全曲に渡る作曲センス、ギターのバッキングやソロの構成、曲に合ったボーカル、サウンド(音質)面の良さといったトータルバランスに長けているためです。
他のアルバムでも良いアルバムはあるのですが、上記に挙げた何かが欠けていたり、アルバムをリリースするごとにYngwie Malmsteenの手癖による同じようなフレーズのオンパレードになってしまったりするため、初期の色々な意味でバランスの取れた「Trilogy」を選びました。
個人的には、4thアルバム「Odyssey」(オデッセイ)、7thアルバム「The Seventh Sign」(ザ・セブンス・サイン)、8thアルバム「Magnum opus」(マグナム・オーパス)もボーカルの良さと楽曲センスの良さがあり、おすすめなのですが、Yngwie Malmsteenを聴いたことがない方でしたら、やはり「Trilogy」をまず初めに聴いてみてください。
アルバム参加メンバー
このアルバムではベーシストがおらず、Yngwie Malmsteen自身がベースを弾いています。
そのため、曲の所々にベースの速弾きが見られます。
ボーカルは、マーク・ボールズという方で、音楽雑誌「BURRN!」の1999年のベストボーカリストに選ばれるほどの実力の持ち主で、後にハードロックバンド「ROYAL HUNT」のボーカリストになったこともあります。
ドラムはアンダース・ヨハンソン、キーボードはヤンス・ヨハンソンで、この2人は兄弟です(アンダースが兄)。
彼らは、「シルバー・マウンテン」を初め、色々なハードロックバンドに所属しており、彼らの所属したバンドを追って聴いてみるのも面白いと思います。
ちなみにキーボードのヤンス・ヨハンソンは、2016年の6月に19年ぶりに復活したリッチーブラックモア率いるRAINBOWのキーボーディストとして参加しています。
アルバム「Trilogy」の楽曲構成とアルバム全体の雰囲気
収録曲は以下の通りです。
- You Don’t Remember, I’ll Never
- Liar
- Queen In love
- Crying(インスト)
- Fury
- Fire
- Magic Mirror
- Dark Ages
- Trilogy Suite Op:5(インスト)
ミドルテンポの派手な曲で幕を開け、その後ハイテンポ、インストといった具合に曲順も良く練られています。
現在のYngwie Malmsteenは、あまり作り込まれたリフを弾くことは少ないのですが、このアルバムは、曲ごとにギターリフや曲の始まり方などよく考えられています。
さっきこんな曲聴かなかったっけ?ということはなく、1曲1曲丁寧に作り上げられた印象があります。
圧巻なのは最後の曲「Trilogy Suite Op:5」で、ギターの速弾きから始まり、途中から正確な3連符を弾きまくります。
ギターとキーボードとソロ掛け合いを経て、アコースティックギターのバラード、そしてドラムタムの速い連打とシンクロしたギターフレーズをきっかけに、イカすギターリフがスタート。
この曲でYngwie Malmsteenが弾くベースは、Mr.Bigのベーシスト Billy Sheehan(ビリー・シーン)の如く、かなり高速です。
まとめ
Yngwie Malmsteenのアルバムは、後になればなるほど、手抜きなんじゃないかと思われてしまう作品も多くみられます。
ただ、そういったアルバムの中にも、皆さんの琴線に触れる珠玉の名曲が何曲か入っていることも確かです。
もし、Yngwie Malmsteenを気に入られたなら、「Trilogy」を切っ掛けとしてファーストアルバムから順に聴いてみてください。
Yngwie Malmsteenの作曲、サウンドプロデュースに対する考え方の変化が、アルバムを追うごとに分かります。