2016年7月20日に斉藤由貴さんの過去のアルバム「AXIA」、「ガラスの鼓動」、「チャイム」、「風夢」、「PANT」と「オリジナルアルバム未収録編」がUHQCDでリリースされました。
同時に同タイトルのハイレゾ配信も開始。
リアルタイムで買ったCD持ってるけど、どのぐらい音質がいいのかな?
音質にこだわる方や熱烈なファンの方は、既に持っているアルバムでもリマスターやハイレゾ音源、ボーナストラック等に惹かれて再発された音源を購入するかもしれませんが、そこまでこだわりはないけど何となく気になるという方は、余程の音質差がないと買い増しを躊躇するかもしれません。
CDというモノで買うかハイレゾというダウンロードで買うかも悩ましいところですね。
というわけで、どのぐらい音質差があるのか聴き比べてみました。
使った音源は、斉藤由貴さんの2ndアルバム「ガラスの鼓動」で、以下の3形態。
- 1986年に発売された初版CD
- ハイレゾ
- UHQCD
それと、HQCD仕様であるゴールデン☆アイドルも加えて、全ての形態に収録されている斉藤由貴さんの4thシングル「情熱」の聴き比べもしてみました。
ちなみに、HQCDやUHQCDというのはCDを高音質で再生出来るように記録する技術のことで、通常のCDプレイヤーで再生できます。
さて、これらの音質差ですが、結論から言うと初版CDとハイレゾ・リマスターCDの音質は全然違います。
使用する再生機器によっても感じ方は違うと思いますが、きっと初版CDの音に耳が慣れている方がハイレゾ音源を聴いたら、
ぉおーーースゲー!!背筋がゾクゾクする~(≧◇≦)
って感動すると思います。
ハイレゾの音質もピンキリですが、今回ハイレゾ化された斉藤由貴さんのアルバムは極上の仕上がり。
以下で具体的な違いについて解説します。
斉藤由貴「ガラスの鼓動」製品仕様の違い
アルバム仕様の違い
この2ndアルバム「ガラスの鼓動」は、斉藤由貴さんがNHKの朝ドラ「はね駒」に出演していた頃に発売(1986年3月21日)されたアルバムです。
- 千の風音
- 月野原
- 土曜日のタマネギ
- 初戀
- 情熱
- コスモス通信
- パジャマのシンデレラ
- お引越し・忘れもの
- 海の絵葉書
- 今だけの真実
- ささやきの妖精
本来の収録曲は10曲目までですが、UHQCDとハイレゾ版では4thシングル「情熱」のB面に収録されていた「ささやきの妖精」がボーナストラックとして収録されています。
音質仕様の違い
初版CDは特筆すべきものはありません。
UHQCDとハイレゾはアナログマスターからのリマスターで、どちらも同じリマスターが施されています。
ダウンロード販売されているハイレゾ音源の中には、CD相当の音源を元にデジタル技術を使って疑似的にハイレゾ化されたものもありますが、今回再発された斉藤由貴さんの6枚のアルバムは、当時録音に使用したアナログテープを元に、ハイレゾ化することを目的としてリマスタリングされた正真正銘のハイレゾです。
それをCDという入れ物に入れたのが、今回のUHQCD。
「ガラスの鼓動」のハイレゾとUHQCDの違いは、ハイレゾが96kHz/24bit、UHQCDが44.1kHz/16bitという記録スペックの差で、それぞれの数値が大きくなるほど元のアナログマスターの音質に近づいていきます。
2014年に発売されたゴールデン☆アイドルの仕様は、最新デジタルリマスタリングHQCD高音質盤と記載されています。
斉藤由貴「ガラスの鼓動」ハイレゾとCDの聴感上の音質差
試聴環境
試聴は、PC→ヘッドホンアンプ→ヘッドホンという形で行いました。
ヘッドホンとヘッドホンアンプは比較的フラットバランスでモニターライクなものを、CD音源はFLACにファイル変換したものを使用しました。
- PC TOSHIBA dynabook AZ67/TG
- ヘッドホン SONY MDR-Z1000
- ヘッドホンアンプ TEAC UD-505
- PC再生ソフト MUSIC BEE(排他モード)
初版CDとハイレゾの音質差
初版CDとハイレゾの音の違いは以下の通り。
<初版CD>
- 硬めで見晴らしの良いクリアな音
- 音のエッジ(輪郭)が立っていて、アタックが強めの音は耳を刺激する
- 全体的に音が薄め
<ハイレゾ>
- 滑らかまろやかな音
- 音に厚みと重みがある
- チャンネルセパレーションがすこぶる良い
- 音場の奥行きが深く立体感がハンパない
初版CDとハイレゾの違いを大雑把に言うと、初版CDはCDが出始めた頃の典型的なデジタルチックな音、ハイレゾはアナログレコードからノイズを完全に取り去った音という印象です。
この違いは、ハイレゾ音源の再生環境があるなら、音質の違いに疎いという方でもハッキリと分かるぐらい明瞭で、初版CDの音しか聴いたことのない方がハイレゾ音源を聴いたら、背中に氷を入れられたぐらいゾクッと来ると思います。
斉藤由貴さんは、感情を込めた緩急のある歌い方が特徴で、斉藤由貴さんが音に力を込めた部分や楽器がフォルテになる部分は、初版CDではチクチクとした刺々しさを感じます。
ハイレゾはこういった部分でも刺激はなく、常に滑らかまろやかです。
分かりやすいのは音の厚みと重みで、人間の体に例えるなら初版CDは骨格、ハイレゾはやんわりとした肉体を見ている感じ。
収録曲である「月野原」のコントラバス、「土曜日のタマネギ」のアカペラの「ブン」という部分、「海の絵葉書」のタムの音の差は顕著で、ハイレゾは胸に響いてくるような低音の重みがあります。
ハイレゾは初版CDよりもチャンネルセパレーション(左右の音の分離)が良く、中央にボーカルがどっしりと定位。
ボーカルの音像(音の面積)も大きいことから、斉藤由貴さんの歌声が間近でとっても生々しく聴こえます。
空間表現にも大きな差があります。
ハイレゾはCDよりも情報量が非常に多く、CDでスパッとカットされてしまった音の余韻も拾っていることから空間に深い奥行きがあり、前方に意識が吸い込まれるような気分になります。
という訳で、神音源はどっち?と聞かれたら迷わずハイレゾと答えますが、初版CDは余韻や肉といった部分をハイレゾよりも削られているせいもあり、分析的に音を聴き分けるという意味においては、初版CDの方が分かりやすいかもしれません。
ハイレゾとUHQCDの音質差
ハイレゾとUHQCDについては同じマスターテープから同じリマスターが施されているので、ある程度のハイレゾ再生機器持っていて、かつ音質に敏感な方でないと分かりづらいかもしれません。
基本的な音質については大きな違いはありませんが、ハイレゾが96kHz/24bit、UHQCDが44.1kHz/16bitという記録スペックからくる空間表現に差が出ます。
ゴールデン☆アイドルの音質~「情熱」で聴き比べ~
初版CDとハイレゾ、UHQCDの音質差は上記の通りですが、ゴールデン☆アイドルはこれらとはまた違った音質です。
一言で言うと、ゴールデン☆アイドルは初版CDのようなデジタル臭さを排除し、アナログレコードに近い音質を目指してリマスタリングしたという感じ。
それならハイレゾやUHQCDみたいな音なのかというと、まろやかな音色という意味では似ていますが、それ以外は全くの別物。
顕著な違いは、意図的に低音を強く出すイコライジング、音の力強さを出すために音圧を上げている点。
こういったリマスターは、かつて初期のデジタル臭い音から音質アップを感じさせるためによく取られた手法でした。
ただ、その弊害として他の音源よりも解像度が低く感じられ、もし重低音系のイヤホンやヘッドホンで聴いたら、音圧が強すぎて人によっては聴き疲れするかもしれません。
ゴールデン☆アイドルは他のアイドルのCDもリリースされていますが、ゴールデン☆アイドルだからといって音質は同じではなく、それぞれ違いがあります。
斉藤由貴さんのゴールデン☆アイドルに関しては、こういった特徴があるので、好みが大きく分かれるかもしれません。
まとめ
冒頭でも書きましたが、こういった聴感上の音質は、再生する機器やそれぞれの感性に大きく左右されるので、また別の感想を持つ方もいると思いますが、少なくとも音の明暗、音の強さ、空間の立体感の違いは顕著なので分かりやすいと思います。
ハイレゾと再販されたUHQCDは、妙な小細工をせず、純粋にマスターテープの音に近づけるべく、丁寧にリマスターされた音なので、最高音質でゾクゾクしたいならハイレゾ、音質も妥協できないがモノとして持っていたいならUHQCDでイッチャッテください(^^♪