【秘話】斉藤由貴とAXIA~FUJIカセットの606作戦とは?~

昭和カルチャー全般
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こんにちは、まちろです。

 

私は昭和40年代生まれ。私と同じ昭和世代で音楽好きの方、たくさんカセットテープを持っていたと思いますが、どこのメーカーが好きでしたか?

TDK、SONY、maxell

この辺りでしょうか。

 

実際、この3メーカーがカセットテープ市場のビッグ3で、1980年代に入るとこの3メーカーで市場の約9割を占めていました。

その4番手につけていたのが富士フィルム。YMOをCMに起用したりと一時期は14~5%あったシェアも1984年には2.5%まで落ち込み、事業の存続すら危うい状況に陥ります。

 

そんな状況を打破したのがFUJI渾身の「606作戦」。

 

今回は、このFUJIの復活劇について斉藤由貴さんのアルバム「AXIA」の秘話も織り交ぜながら、少しお話ししたいと思います。

 

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FUJI「606作戦」と斉藤由貴「AXIA」

FUJIの606作戦とは?

「606作戦」

それは富士フィルムのカセットテープ事業存続をかけたプロジェクト名で、「606」という数字は昭和60年6月に新しいカセットテープを出すという意味。

 

1981年に発売されたソニーのウォークマン「WM-2」の大ヒットにより音楽を外に持ち出すという音楽の聴き方の多様化、再生機器とカセット自体の低廉化のより、カセットで音楽を楽しむという行為は女性や子どもといったより幅広い層にまで広がっていきました。

 

このように幅広い層にカセットは使用されるため、どのメーカーも漠然としたターゲット設定だった中、「606作戦」で最重要視されたのはターゲット設定。そのターゲットは今後の需要を支えてくれるという期待から中学生に絞られ、そこからすべては動き出します。

 

  • ブランド名の変更
  • 新たなデザイン
  • イメージキャラクターの設定
  • 性能の向上

 

ブランド名は「MARINE」「WINDY」「ASTY」といった候補を抑え、「価値あるもの」を意味する「AXIA」(アクシア)に。

ハーフ(※)のデザインは当時流行っていたスケルトンにポップな表記。
※テープの入ってるプラスティックのケースでシェルともいう

ボディの耐久性はより高められ(‐40℃の耐寒性能・110℃の耐熱性能)、磁性体はこれまでハイポジションに使われていたコバルトを添加し、ノーマルポジションのPS-1に採用。

イメージキャラクターは所ジョージ、リック・スプリングフィールドといった候補を抑え、中高生に人気があるということと今後の可能性を買われて、ミス・マガジンの斉藤由貴さんが選ばれました。

 

外部のコンサルタントもチームに加えたこの一大プロジェクトは見事に功を奏し、1987年にはシェアを14%にまで伸ばし、第4のメーカーとして富士フィルムのカセットは復活を遂げたのでした。

 

斉藤由貴と「AXIA」

斉藤由貴さんは1984年少年マガジン主催のオーディション第3回「ミス・マガジン」でグランプリを獲得し芸能界へ。

歌手デビューを控え、その方向性を模索するために斉藤由貴さんは様々な楽曲をスタジオで歌うことになります。

 

  • SWEET MEMORIES / 松田聖子
  • 夏の扉 / 松田聖子
  • 待つわ / あみん
  • 時をかける少女 / 原田知世
  • 悪女 / 中島みゆき

 

それを聴いた作詞家の松本隆さん、作曲家の筒美京平さんは、

「待つわ」がいいんじゃない?

ということで方向性が決まり、1985年に「卒業」という曲でアイドル歌手デビュー。

 

あみんの「待つわ」の持つ要素を元に楽曲をバリエーション展開し、それを集めて作られたのが1stアルバム「AXIA」でした。

ただ、1曲だけ違った経緯で作られた曲があって、それは銀色夏生さんが持ち込んだ曲。当時テレビで流れていた斉藤由貴さんのCM「青春という名のラーメン」を見て発想が湧いたのでとのこと。

この時、デビュー曲は松本隆・筒美京平コンビで!ということは決まっていたため、この曲はアルバムに収録されることになりました。

 

そのタイトルは「かなしいことり

 

「AXIA」というアルバムタイトルはアルバム先行で考えられたものではなく、上記でお話しした通りタイアップありきでつけられたもの。アルバムタイトル曲にも「AXIA」をということで、レコーディング担当ディレクターやチーフマネージャーが銀色夏生さんにお願いして楽曲タイトルが「AXIA~かなしいことり」と変更され、CMソングとして使われることになりました。

 

ファーストコンサートのタイトルまで「AXIA」にするというタイアップ色が色濃く出た歌手デビューでしたが、その戦略は大当たりで富士フィルムのカセットと共に認知度がグーンと上がっていきました。

 

終わりに

「AXIA」というカセットテープが発売された頃、私は高校生でメインターゲットからちょっと外れてましたけど、見事にこの戦略にハマって、当時はAXIAばっかり買ってました。

カセットテープの価格って大体横並びだったので、買う決め手になるのはデザインとお得感。

「AXIA」の3本か5本ぐらいのセット販売のやつにはかわいい斉藤由貴さんのカセットレーベルがついていて、もうそれが目当てでした。斉藤由貴さんのことが大好きだったので。

 

その前はYMOが大好きだったのでキャンペーンで当たるカセットブック?ってやつだったかな、それ欲しさにやっぱりFUJIのカセットをよく買ってました。CMでYMOの「磁性紀」っていう曲が流れて、カッコよかったな~。

 

私もカセットテープの使い始めはTDKやソニーが多かったんですが、こんな感じで富士フィルムのカセットは結構使っていた方だと思います。斉藤由貴さんが「AXIA」のCMを離れた後もスリムケースの使い勝手がよかったりで、記録メディアがMDに移行するまではメインは「AXIA」でした。

 

今回お話ししたようなカセットテープの秘話や当時発売された全てのカセットテープを振り返ってみたいというマニアックな方には、「カセットテープコンプリートブック」がおすすめです。カセットテープ関連の本はたくさんありますが、今のところこの本が一番情報量が多いと思います。重みのあるクリアシェルに黒いメタルテープTDK MA-Rの話なんかもとっても興味深いので、気になったらぜひ読んでみてください。

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