かつて、ポータブルアンプ(以下、ポタアン)とデジタル・オーディオ・プレイヤー(以下、DAP)の接続はアナログ接続が主流でしたが、現在はその立場が逆転し、デジタル接続が主流となっています。
アナログ接続の場合は、DAP側が内蔵DAC(デジタル・アナログ・コンバーター)をキャンセルするか否か、DOCKケーブルの質等によって、ポータブルアンプを通して聴く音も違ってきましたが、ポタアンとデジタル接続した場合は、接続元がどんな機器であっても同じ音になるのでしょうか?
今回はその検証をしてみたいと思います。
デジタル接続時のDAPはただの箱なのか
ポタアンとスマホ・DAP等をデジタル接続した場合、単にデジタルデータを送信するだけなので、どのDAPを接続しても出音は同じという意見の方と、デジタル接続でもDAP内部の〇〇といった回路を経由する、もしくはDAP内部に使用されている部品の材質によっても最終的な出音は異なる等、色々な意見が散見されます。
私は電気回路についてはさっぱり分かりません。
なので、色々意見がある中、色々な機器を接続して実際に聴いてみて、私がどう感じたのかを書いてみます。
検証環境
試聴曲
淋しい熱帯魚 (アーティスト)WINK (アルバム)Wink memories 1988-1996 Disc1
この曲は、使用する機器によって、音の明暗、音場の広さ、低中高音の音量バランス、音のキレや艶に変化を感じやすいため選曲しました。
ファイル形式はFLACです。
ポータブルアンプ
SONY PHA-2
このアンプは、音に厚みとパワーを出す傾向にあります。
音色はどちらかと言えば暖色系(温かみのある音)で、音のエッジをきつく出す感じではありません。
GAIN設定は「Nomal」です。
ヘッドホン
SONY MDR-Z1000
このヘッドホンはモニターヘッドホンで、音の違いを比較的聞き分けやすいため、チョイスしました。
接続プレイヤー
以下の4つの機器を使用します。
- DAP(SONY NW-F887、SONY NW-ZX2)
- タブレット(SONY Xperia tablet Z2)
- PC(TOSHIBA Dynabook AZ67/TG)
再生ソフトやケーブルは純正(付属)のもの、PCに関してはSONY MEDIA GOを使用します。
なお、タブレットについては、デジタル出力をするために、iBUFFALO USB(microB to A)変換アダプターを使用します。
試聴検証
上記4機種を何度も聴き比べました。
その結果、大小は異なれど、全て音質は異なりました。
違いは、音場の広さ、空間の明暗、ボーカルの質感、低音の重みでした。
まず音場ですが、NW-ZX2以外は、横に広く、スカッとした感覚があります。
NW-ZX2は、音場の広さ的には同じようなものですが、音に厚みがあり、空間を音で埋めている感覚があります。
次に空間の明暗ですが、NW-ZX2以外は明るめです。
一番明るく感じたのはタブレット(SONY Xperia tablet Z2)でした。
NW-ZX2は決して暗くはないのですが、それ以外と比べると温かみのある感じです。
そして、ボーカルですが、PCとNW-ZX2はまろやかで音のエッジのキツさはなく、特にNW-ZX2はより艶やかさを感じます。
NW-F887とタブレット(SONY Xperia tablet Z2)は、明るめの音色です。
NW-F887はエッジがきつくないのに対して、タブレット(SONY Xperia tablet Z2)はエッジが若干キツめで、ボーカルのサシスセソが刺さるまではいきませんが、少し気になりました。
低音については、NW-ZX2が他の機種よりもズーンという低い位置(胸の近く)まで響く感じがありました。
まとめ
一番違いが分かりやすかったのは、タブレット(SONY Xperia tablet Z2)とその他の機種、NW-ZX2とその他の機種でした。
最初に書きましたが、私は電気回路等については全く分かりません。
ただ、今回使用したタブレットを仮想スマホとするなら、ポタアンに使用する母艦としてスマホと音楽専用再生機のどちらを使うかによって、音質の差は感じやすいかもしれません。
使用するイヤホン、ヘッドホンによっても違いの差が出ると思いますが、もし聴き比べをするなら、是非イヤホンでなくヘッドホンで、かつモニタータイプを使用した方が聴き分けやすいと思います。