2016年の夏に、final(ファイナル)から発売されたF3100、F4100、F7200という3つのFシリーズ。
本体の素材、ケーブル脱着の有無等によって、ラインナップが分けれていますが、今回は、その最上位機種であるF7200を簡単に試聴レビューしたいと思います。
final F7200レビュー
finalとは
私がイヤホンにハマりだした2007年頃、高級イヤホンと言えば、BA(バランスドアーマテュア)のSHUREのEシリーズ、アルティメットイヤーズの10PROぐらいでしたが、その後、オーディオテクニカのCK100、WestoneのWestone3、ゼンハイザーのIE8などたくさんのメーカーが高級イヤホン市場に参入し、BAに関しては、複数のBAユニットを積んだマルチドライバーが各メーカーのフラッグシップとなってきました。
こういった高級イヤホンの人気が高まってきた頃に出てきたのが、Final Audio Design(ファイナル・オーディオ・デザイン)のBAイヤホン。
現在は、ブランド名をfinalに変更していますが、finalは、BAイヤホンに関しては発売当初からシングルBAにこだわりを持ち、BAに関してはフラッグシップ機もシングルBAとなっています。
シングルBA、マルチBA共にメリット、デメリットがありますが、finalはシングルBAのメリットに着目して、究極のシングルBAイヤホンを目指す個性的な会社だと思います。
F7200の音質とハード面について
F7200の音質
今回の試聴にあたって、DAPはSONY NW-ZX2を使用し、試聴曲はFLACで取り込んだWinkの「淋しい熱帯魚」(Wink memories 1988-1996 Disc1)を中心に聴いてみました。
F7200のイヤーピースは、試聴機に付いていたシリコンイヤーピースで、たぶんサイズはMサイズだと思います。イヤホンは耳の穴へ深めに押し込みました。
音が出た瞬間、私が初めて購入した高額イヤホン SHURE E4CというシングルBAの音を思い出しました。
複数のBAユニットを積んだマルチBAは、どちらかというとBAというよりダイナミック型に近づいたような音質に感じることも多々ありますが、F7200はこれぞBAイヤホンという音。
F7200の音は、非常になめらかで、ボーカル、シンバル、ハイハット、ベース、ドラムのスネア・キック、シンセサイザーの音といった全ての音に統一感があり、音の質感にちぐはぐした感じは全くありません。
音の脚色もなく、実際に耳で聴いて覚えている楽器の音そのものに聴こえます。
空間はfinalがこだわっている部分なだけに、シングルBAとは思えない広さがあります。
上下左右、そして奥行きもかなり広いです。
音のバランスはフラットに感じました。
解像度・分解能は高く、細かい音もしっかりと聴き取ることが出来ます。
低音は締まった筋肉質の芯を聴かせますが、低音がドン!と鳴った後に出てくるズーンと胸に響くような風圧みたいなものはあまり感じられないため、皆さんが普段スピーカー等で聴いている低音の感じとは違うと感じるかもしれません。
しかし、ダイナミック、ハイブリッド、マルチBAでは感じ難い、本来のBAイヤホンの音を聴かせるという意味において、右に出るイヤホンはないと言っても過言でない程、その完成度は高いと思います。
なお、このF7200は、基本的な音質については誰が聴いてもあまり変わらないと思いますが、本体が非常に小さく、挿入深度を他のイヤホンには出来ないぐらい自由に調整することが出来きることから、音の厚み、音色の明暗、低中高音の音量バランス、空間の広さや深さなどについては、イヤーピースの選択を含め、セッティングによってかなり変わってくると思います。
F7200のハード面と装着感
雑誌やネットでの写真を見る限り、「細長いイヤホンだな」程度にしか思いませんでしたが、実際、手に取ってみると、思った以上に小さくて驚きました。
F7200本体は、爪楊枝2本分程度の太さで、その長さは、爪楊枝半分程度です。
カラーは非常に美しいシルバーで、アクセサリーのようにも見えます。
イヤホン本体が非常に小さく、耳の色々な位置にフィットさせることが可能なので、誰でもベストポジションを見つけること出来ると思います。
その反面、イヤホン本体の小ささにより、イヤーピースのみでイヤホン本体を支える形になるため、イヤーピースにシリコンを選択した場合は、若干装着感が不安定になる感じがしましたが、低反発系のイヤーピースを使えばそれほど気にならないと思います。
まとめ
このfinalのF7200は、シングルBAイヤホン最高峰と言っていい程、素晴らしい音質です。
ちょっと慣れが必要なフィット感に問題がなければ、何年経っても色あせない唯一無二のお気に入りのイヤホンとなりうると思います。