以前、DENONとYAMAHAのAVアンプ試聴レポを書きましたが、今回は試聴の末購入したYAMAHAのAVアンプRX-A1080とYAMAHAのトールボーイスピーカーNS-F330についてレビューしたいと思います。
RX-A-1080の発売日は2018年8月。
2019年にはニューモデルがリリースされなかったため、RX-A1080はヤマハのミドルクラスAVアンプの現行機種です。
そろそろ新商品が出そうだし、どっちを買えばいいのかな?
モノ全般に言えることですが、商品のモデルチェンジが近づくとこんな悩みが出てきますよね。
AVアンプについて言うなら、
自分の目的が新商品でしか達せられないならニューモデル、そうでなければお買い得の型落ちモデル
そんな基準で選べば良いと思います。
それ程一般的でなかったDVDが、DVDを再生できるSONYのプレイステーション2というハードの大ヒットと映画「マトリックス」のDVDソフトのバカ売れにより普及し始め、同時にAVアンプも普及価格帯で販売されるようになってから、私はヤマハやパイオニア等のAVアンプを使い続けてきました。
かつてのAVアンプと現行のAVアンプを比べてみると、サラウンドコーデックや機能面での進化はもちろんのこと、音質面では当時フラッグシップモデル級の音がミドルクラスのAVアンプでといった具合に、高音質化の技術が普及価格帯辺りまで下りてきています。
RX-A1080の購入を迷われている方で、サラウンドチャンネル数に問題がなければ、買いの逸品です!
多機能で高音質のRX-A1080は超ハイコストパフォーマンスの神AVアンプ
ここでは、RX-A1080のどこが神なのか、機能面や音質面について深堀していきます。
特に音質面については、音楽の2チャンネルと映画のサラウンド再生音、Bluetooth・WiFi・バイアンプ・ヘッドホンで聴いた場合の音質など色々な角度からレビューしたいと思います。
YAMAHA RX-A1080で出来ることとRX-A2080,RX-A880との違い
RX-A1080で出来ること
RX-A1080の特徴と出来ることは、ざっくり言うと以下の通り。
- 7.1チャンネルのサラウンド再生
- シーンに合わせて自動でサラウンドを切り替えるSURROUND AIにより、音場効果選択に頭を悩ませる必要がない
- FM / AMラジオチューナーが搭載されており、Wi-Fi環境がなくてもラジオが聴ける
- Wi-Fi経由で世界中のラジオ番組、radiko、ストリーミング音楽配信(Amazon Music、Deezer、Spotify)を聴くことができる
- BluetoothやWi-Fiといった無線ネットワークを使い、スマホやパソコンの音楽ファイルを再生できる
- フロントスピーカーをバイアンプ接続することができ、更なる高音質を狙える
- ハイレゾ音源の再生ができる
- ハイレゾでない音源でもミュージックエンハンサーというアップサンプリング機能によりハイレゾ相当の音質で音楽を聴くことができる
- YPAO用マイクを使って、各スピーカーの音質、音量バランス、距離などを自動でスピーカー設定してくれる
ファームウェアのアップデートは、公式ページからUSBメモリにダウンロードする方法と、Wi-Fi経由でする方法の2通りあります。
Wi-Fiに接続されているなら、RX-A1080のフロントパネルにアップデートのインフォメーションが表示されるので分かりやすいです。
RX-A1080とRX-A2080,RX-A880との違い
ヤマハのAVアンプの中で、特に音質にこだわったシリーズはAVENTAGE(アベンタージュ)と名付けられています。
現行のAVENTAGEのラインナップは、以下の5機種。
- RX-A780
- RX-A880
- RX-A1080
- RX-A2080
- RX-A3080
RX-A1080の購入を考えている方は、RX-A880やRX-A2080といった直近の上下機種で迷うかもしれません。
大雑把に違いを言うと、スピーカー出力チャンネル数、シャシーの作り、YPAOの精度、D/Aチップの差。
上記のラインナップですが、ちょうど真ん中のRX-A1080から音質のグレードがアップします。
実際にそれぞれ聴き比べてみましたが、RX-A880まではシャープでHi-Fi、RX-A1080からは豊潤で上質なアナログチックの音質といった質感です。
チャンネル数は、RX-A880とRX-A1080が7.1、RX-A2080が9.1。
あとはどこまで細かい部分にこだわるかに寄りますが、RX-A1080より上の機種になるとアンプやケーブルのグレードを上げていかないと、その音質差は分かりづらくなってくると思うので、予算の関係上、NS-F330やF350辺りのスピーカーを検討されているなら、音質・機能と価格のバランスの取れたRX-A1080が、AVENTAGEシリーズの中で最もコストパフォーマンスの高いモデルだと思います。
RX-A1080の外観・付属品・操作性
RX-A1080の外観
RX-A1080本体の大きさは、
- 重量・・・約15㎏
- 寸法・・・(幅)435×(高さ)182×(奥行き)439mm
本体背面にあるWi-Fi(Bluetooth)アンテナを立てると高さが260mm程度になります。
奥行きは440mm程度ですが、機器を接続して飛び出すジャックの部分も考慮して設置場所を確認するようにしてください。
本体のフロントパネルを開くと各種ボタンが現れますが、この辺りはリモコンで操作するので、ほぼ使わないと思います。
フロントパネルを開くのは、以下のことをする時ぐらい。
- YPAO用マイクで測定する時
- 一時的にAUX入力端子を使いたい時
- ヘッドホンを使う時
- USBメモリー内の曲を再生する時
背面の各種接続端子は、ちょっと見づらいと思いますが、以下の図を拡大して確認して見てください。
レコードプレイヤーを接続するためのPHONO端子も付いています。
あと、スピーカーは全部で9個接続することが出来ます。
7.1チャンネルなのに何で?と思うかもしれませんが、これはフロントプレゼンススピーカーとサラウンドバックスピーカーの両方を繋ぐことは出来るが、この2つは同時に鳴らないということ。
どちらのスピーカーが鳴るかは、使用するDSPによって自動的に選択されます。
RX-A1080に同梱されているもの
RX-A1080本体に付属しているものは、
- リモコン
- リモコン用単4電池2本
- AMアンテナ
- FMアンテナケーブル
- YPAO用マイク
- 電源コード
- 取扱説明書2冊(スタートアップガイドと詳細が書かれたもの)
だんだん世の中はペーパーレスになって来て、
細かいことはWEBで!
みたいな製品も多くなってきている中、これを読めば全部使い方が分かるという分厚い取説が付いてくるのはナイスな部分。
YPAO用マイクの測定時間は速く、かつて私が使っていたパイオニアVSA-AX5i-Nと比べたら爆速。
取説には計測時間は約3分と書いてありますが、もっと速いと思います。
リモコンは薄型ですがちょっと重めで、英語表記のたくさんのボタンが付いています。
そのため、取説を見ないとリモコンの使い方自体がちょっと分かりづらい感じもあります。
私は、ほとんどリモコンを使っていません。
なんでかというと、
ヤマハのリモコンアプリがメッチャ使いやすいから(*´▽`*)
このアプリについては後述します。
RX-A1080の操作性
RX-A1080の操作性ですが、これは非常に快適です。
初めのスピーカーセッティング等で付属のリモコンを使った後は、YAMAHAのアプリをインストールすることでリモコンいらずの楽ちん操作。
RX-A1080に使うアプリは、「AV Controller」と「Music Cast」の2つ。
この2つがあれば、付属のリモコンで出来ることは全て出来ます。
2つのアプリは機能的に重なる部分もありますが、主に「AV Controller」はサウンドやサラウンドの選択等の本体操作、「Music Cast」はWi-Fi(Bluetooth)で接続した機器やAmazon Music等のサブスクの操作に使います。
<AV Controllerの画面>
サラウンド設定等は数値を入力することなく、タッチ操作で音場の広さを変更することが可能です。
<Music Castの画面>
地味に嬉しいのは、パソコンに取り込んだ音楽ファイルをWi-Fi経由で再生する時、「Music Cast」の操作画面で、読み仮名通りのアイウエオ順に並んでくれること。
こういったアプリを使うと、多くは漢字表記のものは漢字コード順に並んでしまってスクロール検索しづらいので、ひらがな・カタカナ・漢字を混ぜてアイウエオ順に並んでくれるのはありがたい機能です。
RX-A1080&NS-F330の音質
RX-A1080のSURROUND AIとサラウンド再生音
AVアンプにはDSPと呼ばれる沢山のサラウンド効果を選択できるようになっています。
購入当初は面白くてアレコレ変更すると思いますが、使っていくうちに一々DSPを変更するのが面倒になって、
大体こういう傾向の映画はコレ!
みたいに数種類しか使わなくなります。
SF映画でも大迫力のバトルシーンや静かな会話のシーンなど様々ですが、シーンが変わるごとにシーンに合わせたDSPに手動で変更することなんてことは、まずしないでしょう。
こんなことを自動でやってくれるのが、SURROUND AIというヤマハ独自の機能。
映画の途中でDSPが切り替わるなら違和感があるんじゃ…
そんな疑問を持つかもしれませんが、
DSPがいつ切り替わったのかなんて全く分かりません(*´▽`*)
DSPの切り替わるポイント、切り替わり方といった点にメーカー側が最も注意を払って設計したようで、ホント秀逸です。
自分で好みのDSPをアレコレ選ぶより、SURROUND AIをオンにして映画鑑賞をした方がすっごく自然で、どのシーンも感動的な音質になります。
そして、各スピーカーから出る音のつながりも滑らかで、全く不自然さを感じません。
AVアンプによっては、迫力重視だったり、細かい音のエッジ(音の輪郭)を立ち気味にして
こんな音も聴こえる~スゴイ
っていう演出をするものもありますが、YAMAHA RX-A1080は至ってニュートラル。
迫力満点なのにこもった音にならず、細かい音もハッキリと聴こえるのにキンキンした音にならない。
こういったチューニングがヤマハの目指す音作りだと思います。
RX-A1080のCD再生音
CDを聴く時もDSPを使うことが出来ますが、通常の2チャンネルで聴きたい場合は、何のDSPも使わずに入力信号を出力する「ストレートモード」か「ピュアダイレクトモード」を使います。
「ストレートモード」と「ピュアダイレクトモード」の音はかなり違います。
「ピュアダイレクトモード」は、前面ディスプレイ等の余分な回路を全て停止し、音楽再生に必要最低限の機能のみで音楽を再生するモードで、非常にクリアで音が締まり、解像度(音の鮮明度)も上がります。
ヤマハのスピーカーNS-F330との組み合わせの音ですが、比較的小さい口径のウーファーなのに、
何でこんなに重い低音が出るのーー!
そんな解像度の高い引き締まった良質の低音に感動しました。
高音部は不自然に強調することなくバランスよく出ています。
ボーカルを中心とした中音部は、肉厚で生々しく、音場のセンターに浮かび上がります。
映画鑑賞に関しても、重低音で床をビリビリ言わせたくないなら、サブウーファーなしでも十分迫力満点の低音を体感出来ます。
RX-A1080のBluetoothとWi-Fiの再生音
Bluetooth規格はVer.4.2、対応コーデックはSBC・AAC。
それに対して、Wi-Fi経由でメディアサーバーの音楽データを伝送した場合は、384kHz/32bitまで対応しています(ただし、サンプリング周波数が384kHzの場合は192kHzにダウンサンプリングされる)。
Bluetoothの対応コーデックにaptX HDやLDACが含まれていたなら、Wi-Fiとの音質差は縮まったと思いますが、RX-A1080とNS-F330の組み合わせでBluetoothとWi-Fi経由での音を聴き比べると、その差は歴然。
Wi-Fiの音は、Bluetoothのモヤッとした感覚がなくなり、瑞々しい音場が眼前に広がります。
なので、無線で音楽を聴く時はメディア共有機能のあるプレイヤー(再生ソフト)を使うのがおすすめ。
この再生ソフトについては、取説ではWindows Media Playerを使ったセッティング方法がかかれています。
ちなみに、私はSONYのMEDIA GOを使っています。
フロントスピーカーのノーマル接続とバイアンプ接続音の違い
サラウンドは5.1チャンネルでいいということであれば、余ったアンプ出力をフロントスピーカーに繋ぐことが出来ます。
つまり、既にLRで繋がれたフロントスピーカーに、さらにLRで結線するということ。
これをバイアンプ(バイワイヤリング)接続と言います。
スピーカー側もバイアンプに対応していないとバイアンプ接続は出来ませんが、NS-F330はバイアンプ接続に対応しています。
これによって、ウーファーまたはツィーター/ミッドレンジ端子それぞれがアンプからの信号で直接駆動するので、電気的干渉が低減し、高域・低域共によりクリアな音質になるとのこと。
ということで、実際にノーマル接続とバイアンプ接続で聴き比べてみました。
その前に、一つ留意していただきたいことがあります。
それは、アンプのエージング(鳴らし込み)
RX-A1080は、エージング必須だと思います。
箱出しから数日間は、店頭で試聴した時と違い、
モコモコっとした曇った音で愕然💦
でも、ある程度使い込んでいったら曇りが晴れて音が締まり、店頭で試聴した時と同じような音質になってきました。
感覚的に最低50時間ぐらいは鳴らした方がいいんじゃないかなと思います。
さて、バイアンプ接続の音ですが、確かに音の分離が良くなってクリアになります。
イメージ的には、ポータブルプレイヤーで聴くアンバランス接続とバランス接続の違いのような感覚。
何度も聴き比べましたが、バイアンプの分離の良い音もいいけど、ノーマル接続の一体感のある音も捨てがたい…
つまり、ノーマル接続でも十分音が良いので、この辺は気分や好みに応じてセッティングしてみてください。
ちなみに、RX-A1080とNS-F330の結線には、AmazonのオリジナルケーブルとPosttaのバナナプラグを使いました。
どちらも安価ながらコスパの高い製品だったので、ケーブルとバナナプラグ選びで迷っているならおすすめです。
Posttaのバナナプラグを使用する際は、直径2~3mmの小さなマイナスドライバーが必要になるので、その点注意してください。
ヘッドホンリスニングの音
最後にヘッドホンで聴いた時の音質も書いておきます。
私はヘッドホンで音楽を聴く時は、TEACのヘッドホンアンプUD-505を使っていますが、さすがにこれと比べると2チャンネル再生の音は解像度といった点で劣ります。
ただ、こういったヘッドホンリスニングに特化した製品と比べなければ、不満のない十分な音質だと思います。
それよりもスゴイと思ったのは、映画のサラウンド再生。
以前使っていたAVアンプでもヘッドホンでサラウンドが楽しめる機能が装備されていましたが、全くサラウンドで聴いている感じがしなかったので、RX-A1080でも期待してませんでした。
でも、RX-A1080のヘッドホンサラウンドの効果は絶大!
サラウンドをONにすると、左右だけでなくズドーンっと奥行きが出て、その前方の深い空間に体が吸い込まれそうになります。
後方はリアにスピーカーを設置した程の距離はありませんが、確かに後ろから聴こえます。
リアでヘリコプターの音が鳴っているシーンなどでは、プロペラの回転が後頭部を撫で回します。
RX-A1080には、夜間など小音量でも聴きやすくなるようYPAOボリューム&アクティブDRCという機能がついていますが、これを使って近所迷惑にならないか、奥様に
夜中にうるさい(。-`ω-)
なんて言われることを気にしながらスピーカーで聴くより、ヘッドホンサラウンドを使った方が120%楽しめます!
追記
先日、お問い合わせメールにて、こんな質問をいただきました。
「本体の電源がスタンバイ状態の時でも、本体に接続したHDMI端子(AV1~7)を切り替えること(スタンバイスルー)は出来ますか?」
取説で調べたところ、設定により可能との記載がありました。
YAMAHA RX-A1080のまとめ
最後にRX-A1080の特徴・魅力をまとめておきます。
- 7.1チャンネルのサラウンド再生
- シーンに合わせて自動でサラウンドを切り替えるSURROUND AIが極上
- Wi-Fi経由で世界中のラジオ番組、radiko、ストリーミング音楽配信(Amazon Music、Deezer、Spotify)を聴くことができる
- BluetoothやWi-Fiといった無線ネットワークを使い、スマホやパソコンの音楽ファイルを再生できる
- フロントスピーカーをバイアンプ接続することで、さらなる高音質の高みへ
- USBメモリやWi-Fi経由でハイレゾ音源の再生ができる
- ハイレゾでない音源でもアップサンプリング機能によりハイレゾ相当の音質で音楽を聴くことができる
- YPAO用マイクを使って、各スピーカーの音質、音量バランス、距離などを自動でスピーカー設定を最適化
- ヘッドホンサラウンドが素晴らしい
- リモコン要らずの快適アプリでストレスフリーな操作性
発売から約2年経ち、当時約14万円だった価格も現時点(2020年2月)では10万円を切っています。
始めにお話しした通り、音質にこだわったAVENTAGEシリーズは、このRX-A1080から音質がグッとランクアップ。
比較的低価格なスピーカーNS-F330と組み合わせても、十分その高音質を堪能できます。
というわけで、RX-A1080はAVENTAGEシリーズの中で最もバランスの取れた、
ハイコストパフォーマンス神機!
ポチって後悔なしです(^_-)-☆