2018年1月30日にSATOLEX(サトレックス)から、「Tumuri DH303-A1」というハイレゾ対応イヤホンが発売されました。
価格は6000円台で、サトレックス初のリケーブル対応(MMCX)、SHURE掛け(コードを耳に掛ける)をするタイプです。
従来のサトレックスのイヤホンには「Tubomi(つぼみ)」という名称が付いていましたが、今回は「Tumuri(つむり)」というかわいらしいネーミング…かたつむり??
試聴程度にする予定でしたが、音を出した瞬間、ピンとくるものがあり、色々いじりまわしたくなったので、購入してみました。
数少ないMADE IN JAPANの製品を細かく見て行きたいと思います。
サトレックス Tumuri レビュー
Tumuriの付属品
付属品は、取扱説明書とイヤーピースのみで、収納ポーチは付属していません。
取扱説明書には使い方等については書いておらず、箱の方に簡単な説明が書いてあるので、すぐに箱を捨てず、確認してみてください。
Tumuriのイヤーピースと遮音性
イヤーピースのサイズは、XS,S,M,Lの4つのタイプが付属しています。
サイズの違いが出やすいLサイズで、他社製品と比べてみました。
左から、SONYトリプルコンフォート、JVCスパイラルドット、SATOLEXのTumuriです。
Tumuriに付属しているイヤーピースは、高さは低め、開口部は大き目で、JVCのスパイラルドットに非常に似ていますが、スパイラルドットよりも傘の部分が肉厚で、若干高さが低めです。
イヤーピースとノズルの形状により、遮音性は高くも低くもなくと言ったところです。
Tumuri本体
SATOLEXの文字が書かれたイヤホン本体の表面は、光の当たり具合によってキラキラと光ります。
こういったSHUREタイプ(耳掛け式)のイヤホンは、その形状から容易に左右の区別がつきますが、MADE IN JAPANの精神が宿っているのか、本体裏にはLRのプリント表記、本体のL側ケーブル接続部には小さな突起が付いており、左右の区別がさらに分かりやすくなっています。
耳掛け部分には針金が入っており、好きな形に曲げることが出来ます。
コードスライダーは付いていません。
イヤホンコードは細めですが、従来のサトレックスのモノよりもしっかりとした印象で、フニャフニャする感じはありません。
ノズル(イヤーピースを被せる部分)は太く短めです。
MMCXコネクト部分は硬めでガッチリとはまっているため、ケーブルの脱着には少し力を入れる必要があります。
赤丸を付けた部分にポート(空気孔)があり、低音の質・量感を調整していると思われます。
Tumuriのフィット感
イヤホン本体は小さく、耳のくぼみに収まる形状になっているため、イヤホン本体自体のフィット感に大きな違和感は感じ難いと思います。
Tumuriは、イヤホン本体のノズルが短く太目、付属しているイヤーピースの高さも低めなので、耳の穴の入り口を塞ぐような浅めのフィットとなります。
付属のイヤーピースは、開口部が広く、高さが低めなので、耳の穴との接地面積が低いことや、傘の部分が肉厚で耳の穴に吸い付くような感覚はないので、人によっては、音を出しながら、ベストポジションを探って行く作業が必要かもしれません。
Tumuriはフィット感が少しでも甘いと、かなり音が軽く感じられるので、イヤーピースの選択には細心の注意を払ってください。
フィット感は個人差があると思いますが、もし付属のイヤーピースが合わなければ、JVCのスパイラルドットや、SONYのハイブリッドイヤーピース辺りを試してみてください。
これらのイヤーピースなら音質変化は最小限に留まります。
Tumuriの音質
SONYのNW-ZX2に直差し、以下の曲を中心に、それぞれのチェックポイントを確かめながら聴いてみました。
- 淋しい熱帯魚(Wink)
- 卒業(斉藤由貴)
- ギミチョコ(BABY METAL)
- La Vie En Rose(手嶌葵)
「淋しい熱帯魚」は全体の音のバランスと解像度、「卒業」はサシスセソの刺さりの有無、「ギミチョコ」はバスドラム連打のキレとギターバッキングの重さ、「La Vie En Rose」はウッドベースの鳴り方を確認しました。
大まかな印象は以下の通りです。
- 明るめの音色
- フラット気味の音量バランス
- シンバル・ハイハットといった高音とボーカル等の中音は繊細で清涼感がある
- ボーカルの刺さりはほとんどない
- ベースやバスドラムのキックは締まっていて芯のしっかりしたアタック感の強い音
- 音場(空間)は上下左右共に広く奥行きも感じられる
- 解像度(音が鮮明に聞こえる度合い)は価格なり
このTumuriというイヤホンは、これまでのサトレックスのイヤホンの音とは大分印象が異なります。
中高音に関しては同じような感じですが、低音のボワつきは一切なく、重い芯を聴かせるタイプです。
低音はかなり低いところまで出ている印象はありませんが、元々力強い低音が含まれている曲では、量感のあるしっかりとした芯の太い低音が出ています。
締まった低音のため、ウッドベースのボーンといった深く重い響きの再現性はイマ一つですが、ベース、ドラムのキック、ロータム、スネアなどは重みのある音を出します。
ボーカル、シンバル、左右で鳴っている細かいパーカッションやシンセサイザーの音は繊細でハッキリと聴こえます。
エッジ(音の輪郭)もキツくなく、滑らかでスカーッとした清涼感のある音。
ボーカルの音像(音の面積)は大き目で、顔面から近すぎず遠すぎずといった適度な距離があります。
透き通るような女性ボーカルは、よりクリスタルな輝きを増して聴こえます。
ハードロックも色々聴いてみましたが、アナイアレイター、メガデス、ドリームシアターといった音キレがあり、低音に重みのある曲が合うように思えました。
音場(空間)は広めで、左右のセパレーション(分離)が良く、奥行きもあるため、聴く曲によってはハイレゾでなくとも、ハイレゾのような立体的な空間を感じることが出来ます。
解像度は価格なりと書きましたが、現在のイヤホンは、価格が1万円以内でも解像度は高く、概ねどのイヤホンで聴いても細かい音は良く聴こえます。
ただ、5万円を超えてくるような機種と比べると…という意味で価格なりと書きました。
解像度に関しては、必要十分な能力を持っていると思います。
まとめ
Tumuriは、重低音モデルではありませんが、清涼感と力強い低音が同居した質感の高い音で、安定感のあるMMCX接続部等、製品自体の質感も高いです。
イヤホンコードを耳に掛ける、いわゆるSHURE掛けにより、歩行時のタッチノイズは軽減されること、汎用性の高いMMCX端子を使用した幅広いリケーブル製品を試すことが出来ることなどからも非常におすすめのイヤホンです。
音質の好みが合うなら、試聴なしで突撃しても良いイヤホンです。