こんにちは、まちろです。
私はDENON DP-450USBというレコードプレイヤーを使っていて、久しぶりにレコードを聴こうと思ったら何故だか針が折れていた…
そろそろ他社メーカーのレコード針の音も聴いてみたかったし、今のエントリーモデルのレコード針はどのぐらいの実力があるのか知りたかったので、オーディオテクニカのAT-VM95Cのレコードカートリッジを買ってみました。音質を中心にどんな製品なのかレビューします。
カートリッジ交換のやり方が分からないという方は別記事で解説しているので、そちらを参照してみてください(記事はこちら)。
AT-VM95Cの仕様と音質
AT-VM95C カートリッジの封入品
箱の中に入っているものは、
- カートリッジ本体(カバー付き)
- ビス✕4、ワッシャー✕2
- 保証書
- 環境関連注意書き
- 取扱説明書
ビスは長めと短めのものがあって、これはどちらを使ってもいいと思いますが、交換前のビスに近い長さのモノを使うと収まりがいいと思います。
カートリッジのビス受け口はネジ切りになっているため、別途下でビスを受けるナットは必要ありません。
AT-VM95Cの仕様
AT-VM95Cの主な仕様は以下の通り。購入の際には針圧とカートリッジの重さがお使いのレコードプレイヤーの適正範囲内にあるか確認しておいてください。
- 型式:VM 型
- 再生周波数範囲:20 ~ 20,000Hz
- 出力電圧:4.0mV(1kHz、5cm/sec.)
- チャンネルセパレーション:18dB(1kHz)
- 出力バランス:2.5dB(1kHz)
- 針圧:1.8 ~ 2.2g(2.0g 標準)
- コイルインピーダンス:3.3kΩ(1kHz)
- 直流抵抗:485Ω
- 推奨負荷抵抗:47kΩ
- 推奨負荷容量:100 ~ 200pF
- コイルインダクタンス:550mH(1kHz)
- スタチックコンプライアンス:17×10 - 6 cm/dyne
- ダイナミックコンプライアンス:6.5×10 - 6 cm/dyne(100Hz)
- スタイラス:接合丸針
- 先端曲率半径:0.6mil
- カンチレバー:アルミニウムパイプ
- 垂直トラッキング角:23°
- 外形寸法:17.2mm×18.9mm×28.3mm (H×W×D)
- 質量:6.1g
AT-VM95Cの音質
私がこれまで使っていた交換針は、DENON DP-450USBに付いていたDSN-85。交換針だけの価格で言ったら、AT-VM95Cと大して変わりません。アンプはYAMAHA RX-A1080、フォノイコライザーはアンプのものを使用。レコードは泰葉、来生たかお、松田聖子、河合奈保子など昭和歌謡を中心に10枚ほど聴いてみました。で、DSN-85と比べてAT-VM95Cの音を一言で言うと、
中域が充実したまろやかな音
そもそものレコードの録音状態によって印象がちょっと異なる部分もあるんですが、大体こんな印象です。DSN-85とAT-VM95Cは価格的にも同じようなものなので、そんなに変わらないかなと思いきや、キャラクターは結構違いました。
決定的な違いは高域。DSN-85は輪郭がハッキリしていて高域が意識せずとも耳に飛び込んでくるのに対して、AT-VM95Cは引っ込み気味。そのせいか空間の上方向への広がりはDSN-85の方が感じやすいです。
DSN-85の中域は高域同様、輪郭が立ち気味で明瞭だが潤いを感じ難く、若干かすれが気になるのに対し、AT-VM95Cは潤いがあるとは言えないものの、まろやかな音色のせいか音のかすれはあまり気になりません。厚みや実態感はAT-VM95Cの方があって、ボーカル以外のカウンターメロディーやリムショットなどDSN-85よりも力強くハッキリと聴こえてきます。
低域はどちらも力強く、解像度もそこそこといった具合にさほど違いは感じませんが、しいていうならAT-VM95Cの方が若干ふくらみが抑えられて聴きやすい…かな。
まとめ
DSN-85のような中高域が明瞭なレコード針の方が解像度・分解能は高く感じるかもしれませんが、音場などの空間表現も含めて基本的な性能は大差ないと思います。ただ、キャラクターは結構違うので聴き比べてみると、DSN-85は高域に、AT-VM95Cは中域にこんな音が入ってたのか~っていうそれぞれの気づきがあって面白いです。
じっくり音楽鑑賞するにはDSN-85みたいに中高音が明瞭なタイプの方が高音質と感じやすいと思いますが、その分、スクラッチノイズなんかも神経質に聴こえてくるので、何かをしながらBGM的にレコードを聴くという習慣の方は、AT-VM95Cみたいな音色の統一感のあるまろやかな音質の方が聴きやすくていいんじゃないかなって思います。
とにかく、AT-VM95Cの特徴は中域。これだけ色々な中域の音が聴こえてくると同じ音源を聴いていても、また違った印象を受けます。初めてのレコード針交換でこういった音が好きな方は是非体感してみてください。