今回紹介させていただくハードロックの名盤は、1996年に発表されたDizzy Mizz Lizzyの2nd ALBUM「ROTATOR」。
Dizzy Mizz Lizzyは、非常にメロディアスで、かつ独創的な唯一無二のバンドです。
Dizzy Mizz Lizzyと「ROTATOR」
Dizzy Mizz Lizzyについて
バンド名は、ディジー・ミズ・リジーと読みます。
デンマークの3ピース(ドラム、ギター、ベース)バンドで、1994年に1st ALBUM「Dizzy Mizz Lizzy」でデビュー。
1996年に2nd ALBUM「ROTATOR」のリリース後、1998年に解散、2014年に再結成し、2016年4月にはNEW ALBUM「FORWARD IN REVERSE」をリリースしました。
Dizzy Mizz Lizzyの特徴は、ビートルズをリスペクトしたようなポップで美しい歌メロ、余計な音を排除し、シンプルかつ独創的なハードロック的アプローチ。
とにかくメロディー作りがうまく、どの曲を聴いても単純にいい曲だなと思わせるソングライティング能力にあふれています。
しかし、それだけならただのポップスになってしまいそうですが、独特なアレンジや楽器の音を巧みに操る才能により、Dizzy Mizz Lizzyの楽曲は個性あふれるサウンドとなっています。
Dizzy Mizz Lizzyは3ピースのバンドですが、曲を聴くと、
本当に3ピース?
と思ってしまう程、分厚く、隙のない音に驚かされます。
かつて、Dizzy Mizz Lizzyのライブを見に行ったことがありますが、
何で3人だけなのに、こんなに隙のない分厚い音が出るんだ!?
と疑問に思うぐらい迫力満点でした。
2nd ALBUM「ROTATOR」について
- Thorn In My Pride
- Run
- Rotator
- 11:07 PM
- Back-Bone-Beat
- When The River Runs Dry
- Break
- I Like Surprises
- Riff Sang
- Take It Or Leave It
- Find My Way
- Two Of You
- Rise And Fall
1st ALBUM「FORWARD IN REVERSE」も同傾向のアルバムですが、Dizzy Mizz Lizzyの曲は、ひたすら美しいメロディーを聴かせるタイプの曲と、激しく、そして転調や変拍子を入れ込んでオリジナリティーをアピールするといった2つのタイプの曲があります。
「11:07 PM」や「Rising And Fall」が前者、「Rotator」「Break」が後者の典型的な曲です。
そして、3ピースバンドであるにも関わらず、どのアルバムのどの曲も同じように聴こえない工夫がされています。
このDizzy Mizz Lizzyというバンドに関しては、アルバム収録曲の説明をするより、Dizzy Mizz Lizzyのサウンド作りについて説明したほうが、アルバムの全体像が見えると思いますので、その点についての話をさせていただきます。
彼らが3ピースバンドであるにもかかわらず、各楽曲が個性的で、分厚く、隙の無いサウンドを出せるのは、それぞれの楽器の使い方にあります。
まず、全楽器に対して言えるのは、楽器の持つダイナミックレンジを最大限に使っていること。
楽器の弾き(叩き)具合を絶妙に調整し、曲の場面に合うように小~大の音量を巧みに使い分け、曲の表情を巧みにコントロールしています。
特にギターについては、コンプレッサー等の音量調整エフェクトに頼らず、手動で音の強弱や音色の変化を出している様子が聴いて取れます。
次に、楽器の奏でるフレーズですが、これは相当練り込まれています。
例えば、普通3ピースでバンドをやる場合、ギターソロの時、バックの演奏が薄くなってしまうことがありますが、Dizzy Mizz Lizzyに関しては、全くそういうことはなく、音が薄くなりそうな場面では他の楽器がダイナミックな演奏をしたり、隙間を埋めるために複雑なフレーズを奏でることで3ピースならではの欠点を補完しています。
特にギター兼ボーカルのティム・クリステンセンは、複雑なフレーズを弾きながら歌っているので、かなり負担が大きいと思われますが、ライブでも涼しい顔をしてやってのけていました。
まとめ
Dizzy Mizz Lizzyは、メロディーの秀逸さと楽器演奏の巧みさから、聴く専門の人、バンドをやっている人のどちらにも受け入れられる音楽だと思います。
ギターの低音弦をズンズン弾くだけのハードロックとは違うDizzy Mizz Lizzyの世界に是非触れてみてください。
特に3ピースバンドで「人数が足りないからハードロックの分厚く迫力のある音は出せない」と思われている方には参考になると思います。