2016年5月、FENDER(フェンダー)から、DXA1、FXA2、FXA5、FXA6、FXA7という5機種のイヤホンが発売されました。
FENDERというと楽器のイメージがありますが、一体どんな音がするのでしょう。
全機種試聴してみたので、簡単ではありますが、レビューを書いておきます。
FENDER イヤホン DXA1 FXA2 FXA5 FXA6 FXA7レビュー
各イヤホンの概要
細かいスペックについては、公式サイト等でチェックしてみてください。ここでは簡単な紹介のみにさせていただきます。
- DXA1(チタン製DD)約13,000円
- FXA2(レア・アース製DD)約27,000円
- FXA5(BA2基(高音&低音))約41,000円
- FXA6(DD1基、BA1基)約54,000円
- FXA7(DD1基、BA2基)約68,000円
上記の「DD」はダイナミックドライバー、「BA」はバランスド・アーマチュアのことを指します。
価格は発売当時の価格なので、あくまでも目安として見てください。
DXA1のDDは8.5㎜、それ以外のDDは9.25㎜の大きさとなっています。
細かい再生周波数帯域については書きませんが、いずれのイヤホンもハイレゾ対応ではありません。
試聴環境
試聴に使用したDAPはSONY NW-ZX2で、音響エフェクト等は全てオフの状態です。
試聴曲は以下の曲を1コーラス程度、何度か聴きました。ファイル形式は全てflacです。
- 淋しい熱帯魚(Wink)
- LA Vie En Rose(手嶌葵)
- ギミチョコ(BABYMETAL)
- 卒業(斉藤由貴)
- みずいろの雨(八神純子)
- 石鹸色の夏(斉藤由貴)
- インフルエンサー(乃木坂46)
ギター譲りのロゴとカッコいいカラー
DXA1
形はオーソドックスな耳かけ式で、SHUREのイヤホンの装着感とさほど違いはありません。
イヤーピースは、少し変わった感触で、ツルッとした感じではなく、ウェットな感じがあります。
厚みはある方ですが、柔らかく、耳の穴に吸い付くようにフィットし、遮音性は高く感じました。
さて、DXA1の音質ですが、低音の強さが物凄く印象的でした。
この価格帯で似たようなスペックのイヤホンとして、SHURE SE215speがありますが、SE215speとはかなり違った音の印象を受けます。
音のバランスはSE215speに似ていますが、中低音の質感が違います。
SE215speは少し低音が強いバランス重視で、ボーカルは若干カサついてはいますが、音圧も適度でリスニングイヤホンとして聴きやすいという感じです。
DXA1は、低音の芯が太く、かなりの圧力を感じますが、ボーカルも大きな音像で、低音に埋もれてはいません。
バスドラムとボーカルは、非常に生々しく、まるでスピーカーのそばで音楽を聴いているような感じがします。
迫力がありながらも、バスドラムとベース、ボーカルはきちんと分離して聴こえます。
ただ、音色は全体的に暗めで、音圧も強いせいか、今一つキレに欠けます。
今回、試聴した曲の「ギミチョコ!」は、ツーバスの連打に迫力を感じましたが、キレが今一つなので、爽快なスピード感は感じ難かったです。
ハイハットやシンバルといった高音部に関しては、暗めの空気が漂っているせいか、引っ込んで聴こえます。
音場は左右は狭い感じですが、奥行きはあります。
DXA1の音を総評すると、ツイーターのないスピーカーの音をイヤホンで聴いているという感じでした。
DXA1は、オールジャンルというよりは、JazzやBlack Sabbathのようなドッシリとしたハードロックに合うのかなと思いました。
FXA2
FXA2は、DXA1と同じDD1基のイヤホンですが、振動板の素材がレア・アースになっているためか、その音はDXA1とは大分違いました。
形状もDXA1とは違い、イヤホン本体を寝かせて装着するのではなく、少し立たせて装着する感じ(FENDERの文字がきちんと横に並ぶ位置)になるので、SHURE等のイヤホンに慣れている方は、少し違和感を感じるかもしれませんが、慣れれば特に問題はなく、装着感自体は良好でした。
ただ、DXA1に比べると本体が大きくなるので、装着感が人によって合う合わないは出てくると思います。
さて、FXA2の音ですが、低音の力強さはそのままに、モヤっとしていた空気が晴れ、DXA1よりはリスニング向けになったように感じました。
まず音場ですが、奥行きはそのままに、左右が広がりました。
引っ込み気味だった高音部が出てくるようになりましたが、若干耳に付く音色です。
シャリ付く訳ではありませんが、少し硬めの印象です。
ボーカルはカサつかず、少し艶が出てきたように感じます。
FXA5
FXA5は、BA×2(高域&低域)のイヤホンです。
BA(バランスド・アーマチュア)ということもあり、ボーカルに艶を感じます。
音場は、左右はあまり広くありませんが、上下に広く、立体感があります。
音色は、エッジがきつくなく、柔らかめで、ボーカルが一歩前に出る印象です。
重みのある低音もしっかりと出ています。
エッジがきつくないことと音色が柔らかいことから、キレは今一つで、ハイハット等の高音部は、鳴り方が大人しく感じました。
ただ、BABYMETALの「ギミチョコ!」のようなステレオに振られたギターバッキングは、重く、非常に気持ち良く聴くことが出来ました。
FXA6
FXA6は、DD×1,BA×1のハイブリッド型イヤホンです。
DD(ダイナミックドライバー)には、FXA2で採用されているレア・アースという素材が使用されています。
これまで、DXA1~FXA5までレビューしてきましたが、このFXA6辺りからは、音質がグッとグレードアップして聴こえました。
レア・アースのDDにより、低音は生々しく、力強く鳴ります。
全ての音が鮮明になり、解像度の高さを感じます。
音の不自然さを感じさせないWestoneのイヤホンのような落ち着いた音色で、特に中高音は非常になめらかです。
ボーカルには艶が乗り、暑苦しくなく、すっきりとした清涼感があります。
今まで、若干大人しめに感じたハイハット等の高音部がしっかりとした音で、はっきりと聴こえるようになりました。
これより下位グレードのFENDERイヤホン同様、ギターの音が重く、すっきりとした空間と相まって、リスニングイヤホンとして、ハイレベルな音を聴かせてくれるイヤホンだと思いますした。
FXA7
FXA7は、DD×1、BA×2のハイブリッド型イヤホンです。
このDDにもレア・アースが使用されています。
FXA7の音質は、FXA6と同様の音の鳴り方ですが、より洗練された音になった印象です。
空間に奥行きが増し、音場に余裕を感じるため、激しい曲でもリラックスして気持ち良く聴くことが出来ました。
これまでレビューしてきたFENDERイヤホンの中で、一番音にキレがあり、一音一音非常に鮮明に聴こえます。
まとめ
FENDERイヤホン全体に共通することは、低音が強めでありながら、その質感が高いということ。
楽器メーカーだけあって、ドラムや重低音のギターが、非常に生々しく聴こえます。
フェイスプレートのカラーも、ギターの塗装のようで、非常に美しいです。
翌年リリースされたFENDERイヤホンのエントリーモデルのCXA1とフラッグシップのFXA9については別記事で書いています。
★Amazon FENDERイヤホン商品紹介ページはこちら