私は”アイドル歌手 南野陽子”が大好きです。
ハッキリとした音程と発音、可愛らしくキレのある歌声、女性の微妙な心理を歌の乗せる感情表現など、もし南野陽子さんの声が楽器なら名器として多くの人に愛され続けていったように思います。
私は南野陽子さんと同世代で、リアルタイムで南野陽子さんの活躍を見ていましたが、当時はほぼ歌番組で歌っている南野陽子さんしか知らず、数多くリリースされた南野陽子さんの楽曲を大好きになったのもずっと後のことでした。
今回は「まるごと南野陽子BOOK」という本を読んで感じたことを含め、紹介したいと思います。この本には幼少期から人気絶頂期までの事柄がたくさんのプライベートな写真と共に事細かに書かれていて、読み進めていくと南野陽子という素の人間像が何となく見えてくる気がします。
かわいい南野陽子満載!「まるごと南野陽子BOOK」レビュー
南野陽子と高校生の頃の思い出
「まるごと南野陽子BOOK」の紹介の前に、私の記憶にある当時の南野陽子さんに関する事柄について書いておきます。
南野陽子さんがデビューしたのは私が高校生の頃。
当時、私は「北斗の拳」や「シェイプアップ乱」というマンガが好きで、少年ジャンプばかり買っていて、少年マガジンなどその他の雑誌はかわいい子が表紙になっている時にグラビアページをパラパラと立ち読みする程度。南野陽子さんのことを初めて見たのはたぶんテレビではなくて、こういった雑誌をチラ見した時だったと思います。
木曜日の19:00からフジテレビのアニメ「北斗の拳」は欠かさず視聴。その流れで19:30からの「スケバン刑事」も見ていました。「スケバン刑事Ⅱ」が始まった頃から南野陽子さんの人気は急上昇。私の周りの友達にも南野陽子さんファンが何人かいて、みんな「ナンノ」って呼んでました。
ある時、友達が本屋さんで南野陽子さんの1st写真集の告知カードみたいなものをたくさんもらってきたみたいで、みんなに配っていたので私ももらいました。テレホンカードぐらいの大きさで、ゴールドの水着を着た南野陽子さんのやつ。
この頃、私はTHE ALFEEが大好きになってアイドルに関してはちょっと卒業気味で、時々、斉藤由貴さんや岡田有希子さんのレコードを買うぐらい。その他のアイドルは、「新曲はこんな感じなんだ…」ぐらいのテンションで聴いていて、気に入った曲は買うかレンタルするかという程度。南野陽子さんもその内の一人で、でも「秋からもそばにいて」は物凄く気に入って、この曲はよく聴きました。
「スケバン刑事Ⅱ」以外でテレビで覚えているのは、「吐息でネット」の化粧品のコマーシャル、「ザ・ベストテン」で「秋からもそばにいて」で歌詞が飛んでしまったシーン、「とんなるずのみなさんのおかげです」での「熱っぽいの!」のコントぐらいかな…
その後は、根拠や話の出どころの分からない「ナンノは生意気!」っていう噂が流れたり、「ザ・ベストテン」等の音楽番組が一斉になくなったこともあって、以前ほど南野陽子さんを見かけなくなりました。
久々に南野陽子さんが話題になったのは、「寒椿」と「私を抱いてそしてキスして」という映画の時で、「ナンノちゃん、体当たりで頑張ってるんだな」と思ってました。その後の女優活動に関しては、私はほどんど見ておらず、2002年に放送された「一攫千金夢家族」というドラマを時々見るぐらいで。
90年代の終わり頃、中古CDショップに行くと80年代アイドルのCDの多くは投げ売り状態で、陳列棚の脇のワゴンの中で数百円程度で売られているのをよく目にし、その中でも南野陽子さんのCDは上記のような噂があったせいか、どのお店にも大量にあったので、試しに何枚か買ってみたら私の感性にビンゴ。かわいらしくもセンチメンタルな素晴らしい曲ばかりで感動し、置いてある全種類のCDを買って一時期は南野陽子さんのアルバムばっかり聴いてました。
冒頭に”アイドル歌手 南野陽子”が大好きと書いたのは、アイドル歌手としての南野陽子さんしか知らなかったから。でも、「まるごと南野陽子BOOK」を読んでみたら南野陽子という人物像が見えてきて、南野陽子さんの歌の魅力がさらに深まりました。
「まるごと南野陽子BOOK」レビュー
この本はA5サイズの約160ページ、初版1987年9月5日、定価980円。過去にDELUXEマガジン、DELUXEマガジンOREに掲載されたフォトやインタビュー記事に未公開フォトを加えた非常に密度の濃い内容で、本のタイトル通り、幼少期から1987年までの南野陽子さんがまるごとギッシリ詰まっています。
インタビュー記事だけでなく、たくさん掲載されている写真の脇にもそれぞれコメントがついていて、こういった細かい部分まで読んでいると、読み終わるまでに結構な時間がかかる分量です。
大まかな内容は、グラビア、プライベートフォト、TVドラマ・CM・レコーディング時のオフショットと裏話、コンサートの様子、ラジオ「ナンノこれしきっ!」のおもしろトーク、そして南野陽子さんが描いたかわいいイラストもページのあちらこちらに載っています。
アルバム「ヴァージナル」のレコーディング風景のフォトで、「私の中のヴァージニア」の譜面を口に当ててこちらを見つめている写真がありますが、そのかわいらしくも茶目っ気のある眼差しに、ちょっとドキッとしてしまいました。
撮影秘話は、例えばこんな感じの話が載っています。スケバン刑事Ⅱでの相楽ハル子さんの話。
ビー玉投げた後、拾うのがタイヘンで、なくなった時は買ってくるの。1袋150円アハッ!
一番の見どころは幼少期から松陰学院高校時代のプライベートフォトで、結構な枚数が掲載されています。写真の中には日付がプリントされているものもあって、脇に書いてあるコメントを読みながら見ていると、南野陽子さんの部屋に遊びに行って、南野陽子さんから「この写真はね…」と説明を受けながら写真を見ている気分になります。
このプライベートフォトには、両親、親戚、弟、友達も写っています。かわいらしい弟さん、みんな美人な親戚、両親に挟まれて微笑む南野陽子さん、友達との交流が楽しくてしょうがない南野陽子さんなどを見ていると、後のバッシングで心を痛めた南野陽子さんを思うと、芸能界に入らない方が平穏に暮らせたのかな…なんてちょっと思ってしまいました。
あと、この本の記事を見ていて一つ思い出したことがあります。それは春の大雪で屋上での新曲発表が中止となってしまったという「悲しみモニュメント」の池袋でのイベントの記事。
私はこの日、THE ALFEEのチケットを池袋西武で入手すべく、雪の中、始発電車に乗って池袋に行きました。どこに並ぶのかなとウロウロしていた時に、私と同じぐらいの年の人から「南野?」と声を掛けられ、「違います」と言った覚えがあります。
あの人たちは、南野陽子さんの「悲しみモニュメント」のイベントのために朝早くから来てたんだなっていうことがこの本を読んで分かりました。
南野陽子という人
本の中では、インタビュー等で南野陽子さん自身が語っている部分がたくさんあります。
雑誌というものは本人が語ったことをデフォルメしたりニュアンスの違った書き方をすることも多いので、完全に本人の意思を表しているとは言い難いですが、DELUXEマガジンとの付き合いも長く、スタッフと打ち解けている様子を見ると、それ程歪曲した書き方はしていないと思います。
幼少期からの1987年までの本人の語った文章を読んでいると、南野陽子さんの人柄・性格などが何となく見えてくる気がします。
- 幼い頃、バレエを習っていたけどおせっかいやいたりしてやめさせられちゃった
- 授業中先生の持ってるアンチョコと違う答えを言ったりして随分先生と衝突した
- 友達のラブレターを届けたりと恋のキューピット役を務めていた
- 小6から日記をつけていて長い時には大学ノート5~6ページにもなる。電話する時も「○○さんのお宅ですか?」とメモしてからでないと落ち着かない。
- 小学生の頃、好きな子の事を素直に好きと言えなくて「あの子嫌い!」「ちょっとモテるからってバカみたい!」なんて言っていた
- 時々バカなことを大声で言うが、それはツンツンタイプに見られがちで暗いと思われるのが嫌だから
- 口下手なのに場を盛り上げようと口が勝手に動いてしまうので帰宅すると1時間ぐらいボーっとしてしまう
- 芸能界に入る時、水泳大会と運動会は絶対にイヤと言っておいて、デビュー後はドッキリも絶対にやりたくないとお願いしたが、ドッキリに出るとちょっと芸能人ていう感じがするのでちょっと出てみたいかも
- デビューからずっとスタッフの1人みたいに中に入れてもらって1つ1つ納得しながらやって来た感がある
- スターどっきり㊙報告で友達の相楽ハル子ちゃんがアポなしで寝起きドッキリされているのを見て、ハル子ちゃんに電話して「私なら抗議しにテレビ局に乗り込んでいくわっ!」なんて二人で話していた
- 雑踏が苦手だが、理由はこんなに人がいるのにどうして話が出来ないんだろうと思うから
- 初舞台(若草物語)の稽古は毎日地獄のようで帰りの電車で泣いて帰宅したら鞄を投げつけたりと発狂寸前だった
- 大切にしているのは写真とお守り
- 亭主関白っぽい人が好き…etc
1号も欠かしたことのないファッション雑誌を部屋にキレイに並べている写真、ブルーで統一された整理整頓が行き届いている部屋の写真、オールジャンルから好きな音楽を集めてカセットテープを作ることが好きといった趣味の話なども合わせて読んでいると、南野陽子という人は、まじめで実直・寂しがり屋・世話好き・好きなものにはとことんこだわる・自分の考えをはっきり言える分、心の安らぎを求めている…ちょっぴり淋しがり屋の姉御肌といった感じでしょうか。
当時は緊張しながら歌っている様子ぐらい印象に残っていなかったため、南野陽子さんのことを単にガラスのハートの女の子と思っていましたが、大分イメージが変わりました。
ブレずにまっすぐ伸びてゆく歌声、喜怒哀楽の表現に長けた歌唱法は、こういった南野陽子さんの性質から来るものだと思うと合点が行きました。
まとめ
南野陽子さんファンの方々は、テレビドラマのNG集、バラエティ番組、ラジオ、イベントなどで時々見せる南野陽子さんの素の様子を知ることが多分に出来たと思いますが、私のように当時それほど南野陽子さんのことを知らない人や後追いの人でも、この「まるごと南野陽子BOOK」を読むと南野陽子さんのことを多角的に知ることが出来ます。
番組収録の写真で「あのミソラ…発言の生方さんとコンビ」みたいなコメントを読んでいると、南野陽子さんのことだけでなく、当時の色々なことを思い出すと思うので、気になったら是非読んでみてください。