DAPスパイラルの話から始まったポータブルオーディオスパイラルについてのお話はこれで最後です。
最後はポータブルアンプ(以下、ポタアン)に興味を持ち始めてから興味をなくすまでの話と全体のまとめをして終わりにしたいと思います。
タイトルのウォークマンにポータブルアンプは必要か?の結論を先に言うと、私にとっては必要なしでした。
以下でポタアン不要と感じた経緯を書いてみたいと思います。
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ポタアンの購入とウォークマン+ポタアンの音質変化の度合い
私は、カセットウォークマンからポータブルオーディオを使い始め、外出時に気軽に音楽を聴くことが出来るという意味から、壊れては買い換えという行為を繰り返してきました。
Walkmanとipodの音質論争
MP3プレイヤー(以下DAP)を使い始め、SHURE E4Cという高額なイヤホンを購入したことによる音質の向上に驚き、それ以来、ポータブルオーディオに「気軽に音楽を聴く」ということだけでなく「高音質」ということも追求するようになっていきました。
私がDAPの音質について興味を持ち始めた当時、ネット上ではWalkmanとipodはどちらの方が音質が良いかという論争が多く見られました。
多くの意見は、DAP直差しではWalkman、ポータブルアンプ(以下、ポタアン)を繋げればipodの方が音質は良いというものでした。
私は、それならWalkmanにポタアンを繋げれば、もっと音質がよくなるのではないかと思いましたが、Walkmanをポタアンに繋げた場合、Walkman側のアンプをキャンセルすることはできず、Walkmanとポタアンのアンプを2重に通すことになり、逆に音質は劣化するが、ipodの場合は、ipodのアンプをキャンセルして純粋にポタアンのアンプを使用することができるため、音質が向上するというものでした。
正直なところ、あまり意味がわからなかったのですが、ポタアンを使うならipodと理解し、ポタアンを使うために、使い慣れたWalkmanからipodに買い替えることはしたくなかったことと、ポタアンを購入してもかさばる等の理由から、常に持ち歩いて使用することは考えられず、直差しで使用する頻度が多いと予想されることから、とりあえずはWalkmanでいいやと思っていました。
Walkman用Dockケーブルの登場
ipod+ポタアンが気になりつつも、しばらくの間、Walkmanやイヤホンを買い替えながら音楽を楽しんでいました。
こうしている間にWalkmanポート(Walkmanを充電する時に刺す端子)からポタアンにつなぐDockケーブルなるものが続々と発売されるようになりました。
しかし、Dockケーブルの効果については、Walkmanのアンプはキャンセルされない、いやキャンセルされると意見が分かれており、SONYがこの件について公式に発表していなかったため、結局良く分かりませんでした。
Walkman用Dockケーブルを使ってポタアンを使用し、それなりの音質向上が見られるという口コミも増えてきたため、一度試してみようかなと思い始めました。
MDR-Z1000を鳴らす為にポタアンを探し始める
当時、私はSONY NW-A867というポータブルプレイヤー(以下、DAP)を使用しており、音のクリアさにはそれほど不満はなかったのですが、音の力強さが足りないというか、音の芯がしっかりしていないというかそういうところに不満を持っていました。
特にSONYのヘッドホンMDR-Z1000等を使用した時にそれを顕著に感じていました。
自宅のプラズマテレビにMDR-1000をつないでライブDVDの音を聴いたところ、ノイズはテレビの方が多いものの、音はどっしりとして力強く、空間の広がりもあり、こんな音がDAPでも出て欲しいと思いました。
それで、クリアさはそのままに、音に力強さが出るようなポタアンを購入すべく、ネットの口コミを頼りにいろいろ探し始めました。
ポタアンを購入するからには確実に音質が向上して欲しいので、中途半端なポタアンを購入するのは止めようと思いました。
ただ、あまり本体が大きかったり、電池の持ちが悪いと使用頻度が落ちると思ったので、なるべくコンパクトで電池の持ちが良いポタアンを探し始めました。
ポタアン第1号 VORZUGE VorzAMP Pure
当時口コミで評判が良かったポタアンは、本体が大きかったり、電池の持ちがよくなかったり、購入するのに個人輸入しなければならなかったりと、ポタアン初心者である私の希望にピッタリ合うポタアンはあまりありませんでした。
そんな中、VORZUGE(ヴォルズーゲ) VorzAMP Pureというドイツ製のアンプの発売を知りました。
非常にコンパクトで電池の持ちも良く、私の希望にぴったりでした。ただ、どんな音がするのか分からなかったので、レビューが上がるまでしばらく待っていました。
ぼちぼちとレビューが上がってきて、それによると、このアンプはクリアで音の押し出し感が強いということでした。
押し出し感という意味が良く分かりませんでしたが、私は澄み渡るような音と高い解像度、力強い低音というように理解し、通販でセールをやっている時を狙い、購入しました。
Dockケーブルを専門店でオーダー
Dockケーブル購入に当たってもネットで色々調べ、Dockケーブルには音量固定式と音量可変式があることや線材による音の違いがあることを知りました。
音量固定式はWalkman側の音量が最大で出力され、ポタアンの一番音質が良いボリュームゾーンが使用できないとか、ポタアンの音量をあまり上げることができないので、片方から音が出ないというギャングエラーといったものが出る恐れがあるといったネガティブな意見が多かったので、音量可変式にすることにしました。
しかし、音量可変式はあまり販売されておらず、口コミで評判の良いケーブル専門店で注文し、購入することにしました。
この時に購入したのは、クリアーさと力強さを兼ね備えるらしいオーグラインという線材を使用した5000円程度のものでした。
ポタアン+注文Dockケーブルの音
ポタアンとDockケーブルが揃い、やっと音を聴く環境が整いました。
口コミによると、ポータブルアンプのおいしいゾーンは、12時辺り(5割ぐらいのボリューム)とあったので、その位置にボリュームを設定し、Walkman側の音量もその設定で丁度良い音量に調整しました。
第一印象は「直差しと全然変わらない!?」でした。
一瞬アンプが壊れているのではないかと思いましたが、まずはアンプの鳴らし込みをしようと思い、音楽を流しながらアンプをつけっぱなしにしてみたりしましたが、音の変化を感じることができませんでした。
Dockケーブルスパイラル
音質に変化が見られないのは、Dockケーブルのせいかもしれないと思い始めてから、いくつかDockケーブルを購入してみました。
まずは、初めに購入したDockケーブルとは全く違うものにしてみようと思い、Bispaというメーカーの音量固定式で、線材が銅線の1万円越えのDockケーブルを購入してみました。
気のせいかもしれませんが、こちらの方が若干音が力強くなった気がしました。
少し変化が見られたため、音量固定式でもう少し値段の高いオーグラインを使用したらどうなるのかも確かめたくて、初めに注文した専門店で、1万円越えの音量固定式の導線が三つ編みになっているオーグラインのDockケーブルを注文購入しました。
これも気のせいかもしれませんが、音の厚みは損なわず、クリアーになった気がしました。
SONYのポタアン PHA-1を追加購入
若干の音の変化を感じた私は、もしかするとアンプが自分の希望と合っていないのではないかという思いから、もう一つアンプを購入してみようと思いました。
今回は本体の大きさというこだわりは捨てました。お店に行って自分のVorzAMP Pureと交互に聴き比べ、一番変化を感じたアンプはSONY PHA-1でした。
音楽を楽しめない日々が始まる
2つのアンプと数個のDockケーブルを所有することになりましたが、これ以後、悶々とする日々が続きました。
毎日これらのアンプに色々なDockケーブルをつなぎ、どの組み合わせがベストか聞き比べをしていましたが、ある時はこれがベストだと思っても、また別の日にはこっちの方が良いと思ったり、なかなか落ち着きませんでした。
私は眠る前に音楽を聴くことも多いのですが、アンプを使用している当時は音質が気になって、起き上がってはDockケーブルやアンプを変えてみたりとなかなか眠れない日もありました。
その大きな原因は、アンプを通した音とDAP直差しの音の差や、Dockケーブルの変更による音質の差があまり大きくないことによるものでした。
終いには、もっと高価なアンプを買うべきかとか、DAPをipodにかえて3段重ねのアンプ環境にしてみようかとか思ったりもしました。
こういう感じだったので、この間は音質チェックばかりで、音楽を楽しく聴くということができなくなっていました。
デジタルアウトできるウォークマンの登場
騙し騙しNW-A867+VorzAMP Pureという組み合わせで音楽を聴いていましたが、やっと満足できる環境を整えることができました。
それはデジタル出力の出来るウォークマンNW-ZX1,NW-F880シリーズと、その受け口となるSONYのポータブルアンプPHA-2の発売でした。
毎年のようにDAPを買い替えてきた私は、試聴のためにソニービルへ行き、NW-ZX1、NW-F880の音を聴きましたが、共に直差しではNW-S867+VorzAMP Pureよりも音質が良いとは思えず、今回は見送ろうと思いました。
しかし、NW-F887のそばに置いてあったPHA-2をデジタル接続して試聴してみたところ、自分の思い描いていたクリアで力強い音が出てびっくり。
これを機に自分の持っていたDAP、Dockケーブル、ポタアンを全て売り払い、NW-F887とPHA-2という環境に落ち着きました。
Walkmanとポタアンを外に持ち出すという行為に不便を感じ始める
この環境で満足し、当面外出時にもDAP+ポタアン+ヘッドホン(イヤホン)を使用していました。
しかし、この環境を外に持ち出すことがだんだん面倒になってきました。
かさばるし、重いし、外出時に合わせてポタアンの充電をするのが面倒、Dockケーブルに変な圧力がかからないようにバッグへの入れ方にも気を遣う…
そして、ヘッドホンよりイヤホンの方が遮音性が高いため、外出時はイヤホンを持ち出すことが多くなりました。
イヤホン使用時にポタアンがないと満足できないかというと、NW-F887にDAPを変更してからは、そういうこともなく、ポタアンなしでもいいやという感じになり、ポタアンはあまり使用しなくなりました。
以後、ポタアンを使用するのはDAPでヘッドホンを使用する場合と、パソコンで音楽を聴く時のみに限られていきました。
DAPをNW-ZX2に変更
DAPをSONY NW-ZX2に変更してから、ヘッドホン使用時でもそれ程不満を感じなくなり、さらにポタアンを使用する頻度が減少してきました。
厳密に言うと、ヘッドホンやドライバーをたくさん積んだイヤホンを使用するならポタアンを通した方が音の力強さや空間の立体感が増します。
でも、NW-ZX2直差しで聴けないぐらい差は激しいかというと、それはその時の気分にもよりますが、疲れて諸々セッティングが面倒な時は、個人的には直差しでも音楽を楽しめるレベルにあったため、ポタアンを使ったり使わなかったりという生活を繰り返しているうちに、ポタアンを使おうと思った時には充電が切れていて、何だか面倒くさくなって音楽を楽しむのにポタアンはなくてもいいかなという気持ちになってきました。
それからポタアンへの興味は薄れ、以前のようにポタアンの新商品を追うようなことはほとんどしなくなりました。
最後に
その後、公共交通機関を使用した通勤手段を取らなくなったという自身の環境の変化もあり、DAPとイヤホン・ヘッドホンで音楽を聴く時間が減少しました。
車で音楽を聴く時は、スマホやDAPの音をBluetoothで。
最高音質で集中して音楽を聴きたいと思った時は、TEAC UD-505という据え置きヘッドホンアンプとヘッドホンと組み合わせて音楽鑑賞しています。
結局のところ、私の各ポータブルスパイラルが終わったのは、外で音楽を聴くツールに音質を求めるのはコストパフォーマンスと可搬性の悪さから止めることにし、中途半端な高音質でなくて最高音質で聴きたいなら自宅でと割り切ったから。
皆さんもそれぞれの事情があると思うので、自身にとって最適な音楽ライフが送れますよう願いつつ、このエッセイを終わりにしたいと思います。