【レビュー】水月雨 DISCDREAM~令和の高音質ポータブルCDプレーヤーはSONYを越えたか?~

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こんにちは、まちろです。

2023年9月に中国・新センのオーディオショーにて出品された令和の高音質ポータブルプレーヤー「水月雨 DISCDREAM」が、ようやく発売されました。CDのみならず、DAP、USBDACとしても使えるマルチメディアプレーヤー。しかし、2024年2月2日に発売告知・予約開始、2月9日に発売というなんとも強行スケジュール。発売日2日前頃には既に完売。

今でもアマゾンなんかでたくさんのポータブルCDプレーヤーが売ってますけど、「語学学習」なんてワードが入ってるのを見ると、音質には期待できないんだろうなって興ざめで、そういった令和の今の時代に高音質ポータブルCDプレーヤーを求める人がDISCDREAMに殺到したんでしょうね。

量産化が難しい製品だけにセカンドロッドがあるかどうかは分かりませんが、もしあったら買いたい、中古でもいいから手に入れたいと思っている方に向けて、DISCDREAMのレビューをしたいと思います。2001年に買ったSONYのポータブルCDプレーヤー「SONY D-EJ1000」も手元にあるので、これとの比較もしてみます。

 

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水月雨 DISCDREAMのデザイン・仕様・付属品

付属品

本体以外に付属しているものは、取扱説明書とUSBケーブル。取扱説明書は開くタイプで新聞紙のような大きさ。裏面には何かのキャラ?のような凝った絵が描いてあります。取扱説明書は三枚入っていて、それぞれ日本語、英語、中国語ver。裏面は同じです。

 

USBケーブルは、片方がtypeA、もう片方がtypeC。長さ約1m。

 

 

本体のデザイン・規格

DISCDREAMの企画から製造販売まで1年越えの時間がかかったのは、デザインに凝ってしまったためとのこと。全体的にカクカクしたデザインは、SONYの初代ディスクマンを彷彿させます。ボディの材質は分かりませんが、触るとひんやりとした感じ。操作パネルは前面に集中していて、小さなディスプレイで曲順や時間の確認できます。ボタンの推し心地はコクッ。再生モードは通常の他に、1曲リピート、全曲、シャッフル。

 

クリア仕様の蓋からはCDが回転する様子が見えて、音楽を聴くテンションを上げてくれます。蓋はボタンを押すとガチャンと跳ね上がるんじゃなくて、手で持ち上げて開くタイプ。可動部分がシックリしっかりしているので、好きな位置で止めおくことが出来きます。

 

側面にラインアウト、ヘッドホンアウトの2つの3.5mmステレオミニ出力ジャック、microSD差込口。

 

裏面に電源スイッチ、USB差込口(充電とUSBDAC接続)。

 

主な仕様

最大使用時間:CDモード約10時間

充電コネクタ:USB Type-C

対応ディスク:CD/CD-R/CD-RW

対応フォーマット:microSD モード(MP3、WMA、LC-AAC、OGG(オグ)、FLAC、APE)

PC モード(dac仕様):PCM:サンプリングレート(最大384kHz)、DSD256(最大11.2MHz)

 

 

高音質を実現するためのパーツ

引用元:ASCII.jp✖デジタル

 

音楽CDを高音質で再生するため、内部はこだわりのパーツがたくさん組み込まれてます。

●オーディオ専用ドライブチップ・レーザーヘッド

電子キャッシング&弾性ダンピング物理バッファーによる音飛び防止

●DACチップ:シーラス・ロジックのフラッグシップ32bitチップ「MasterHF1」

●6基のリニア電圧レギュレーター・チップで独立電流を供給

●オートモーティブグレードのルビーオーディオ用アルミ電解コンデンサーをフルセットで採用

●3基のNDKオーディオグレードの水晶発振器制御クロック

デジタル処理とアナログパーツの組み合わせによる音飛び防止機能は強力。CDを再生しながらかなり激しくプレーヤーを振ってみましたが、全く音飛びしません。

あと、ギャップレス再生も大丈夫。曲間の途切れが気になるライブ盤でもシームレスに再生出来てます。

 

 

microSDでの再生について

microSDを使う場合、フォーマットはFAT32にしてください。他のフォーマットだとエラー表示だ出て認識しません。でも、現在のバージョンのWindows10(11)だと標準機能でFAT32にフォーマットできないから困っちゃいますよね。やり方は色々ありますが、もし分からなかったら別記事に書いておいたので参照してみてください。

microSDにはどんな感じでファイルを放り込んでも再生できます。ファイルをそのまま入れてもいいし、アーティストごとフォルダを作って入れてもいいし。ただ、任意のフォルダを選択することは出来ず、フォルダネームのabc順みたいな感じで順次再生されるので、任意の曲を探すには曲を送っていくしかありません。

再生モードをシャッフルにすると、フォルダをまたいでシャッフル再生されます。例えば歌手A・歌手Bというフォルダを作って、Aの曲が流れている時にシャッフルモードをオンにすると、歌手A・Bのフォルダを行ったり来たりします。

ディスプレイにはファイル名は表示されないので、全体的にmicroSDを本格的なDAPとして使うのはちょっと難ありかも。あくまでポータブルCDプレーヤーについているおまけ程度に思っておいた方がいいと思います。ただ、音質はいいです(後述します)。

 

 

水月雨 DISCDREAMの音質とディスクマンとの比較

水月雨 DISCDREAMの音質

では、実際に音について。ヘッドホンはSONYのモニターヘッドホン MDR-Z1000を使用、CDはリマスターされた昭和ポップスのアルバムを何枚か聴いてみました。

聴いた瞬間に思ったこと。

凄ッ!違う!

 

普段、TEAC UD505っていうヘッドホンアンプを使ってパソコンに取り込んだデジタルファイル(flac)を聴いてるんですが、それと全然違う音。UD505はモニター寄りのヘッドホンアンプなので、すっごくキレイに音を鳴らすんですね。山の上流から流れてくる清流みたいなとってもクールな音。それに対して、DISCDREAMはデジタル音源特有の冷たさを感じさせないウォームな音、モニター系じゃなくて音楽鑑賞用のチューニング。

解像度は高く、細かい音までしっかりとした芯が通っていて、かつ、それぞれの音像が大きいので、どの音にも存在感があります。

音場は上下左右均等に広くて、球体のような音場を感じます。

音場の広さはUD505とあんまり変わらないんですが、UD505より大きな音像で音が鳴ってるので、空間の中に音がみっちり詰まっていて、その密度の高さから音の圧を強く感じます。低音がどうのこうのっていうレベルではなく、全体的に力強い音。

CDというデジタルの音を聴いてるのに、この音圧、迫力。その音はアナログレコード特有のまろやかな音質と音の厚みに近いものがあって、それでいてノイズがない。なんかノイズを完璧に除去したアナログレコードを聴いてるみたいな感動的な音です。microSDやUSBDACも同じオペアンプを通った音なのでCDと同じです。

まあ、音質についてはこんな感じなんですが、1つ気になる点としてはパワーがありすぎてそれをボリューム調整でうまく制御出来てないと感じるところ。音量レベルは50まで上げられるんですが、ヘッドホンで聴いて3~5ぐらいで丁度いいレベル。SHURE SE846(イヤホン)で聴いたら、1でもちょっと音大きいなって感じるので、インピーダンスの低いBAイヤホンで聴く場合はアッテネーターを噛ませないとちょっと聴きづらいかもしれません。

 

ポータブルCDプレーヤー対決!水月雨 vs SONY

では、私が2001年に買ったSONYのCD WALKMAN D-EJ1000との音質比較をしてみます。D-EJ1000はこの頃のフラッグシップ的な立ち位置だったので、当時のポータブルCDプレーヤーが目指した高音質ってどんな感じなのか、それを知るのも面白そうです。

型番:SONY D-EJ1000

発売日:2001年10月10日

世界最長 115時間連続再生

業界初対応 CD-R/RW対応

その他:アンチショックピックアップ、G-PROTECTION(2mode搭載)。携帯電話感覚で充電できる充電スタンド付属。

 

まず、SONY D-EJ1000の音。イコライザー等の音場効果は全てオフにしてます。で、久しぶりに聴いてみて、結構いい音だなって思いました。端的に言うとパワフル。角の取れたまろやかな音質でデジタル臭さはなく、レコードやカセットで音楽を聴いてる気分。各音の音像は大きく、上下左右均等に広がった空間に音がみっちりとつまっていて、その高密度から放たれる力強い音に圧倒されます。シンバル、ハイハットといった高音は大人しめ。音場に奥行きはさほど感じません。

次に、水月雨 DISCDREAMを聴いてみると、SONY D-EJ1000との違いが結構ハッキリと分かりました。音の力強さ・迫力といった点ではほぼ変わらないんですが、違いは解像度と静寂さ。D-EJ1000より細かい音がよりクリアにハッキリ聴こえます。D-EJ1000では大人しく聴こえた高音もリアル。あと、音の鳴っている空間に存在する無音部分がものすごく静かで、それとの対比が強烈。それゆえ、音場全体に余裕があって立体感あり。解像度の高さと力強さ、巧みな音場表現。きっとこの2機種を聴き比べたら、誰もがDISCDREAMの圧勝って思うんじゃないかな…。

ただ、ポータブル機としては、CDケース1枚分程度の厚み、DISCDREAMの半分以下の重さ、115時間の連続再生、使いやすいリモコンといった点でSONY D-EJ1000の勝ち。

 

 

まとめ

ということで、水月雨 DISCDREAMは「高音質」という謳い文句に偽りのない想像を超える音質のポータブルCDプレーヤでした。音質とデザインにこだわった企画制作した人の思いがすっごく伝わってきます。

今はアナログレコードの人気があって、やっぱCDよりもレコードでしょ!って思われてる方も、これでCD聴いたら、ちょっとCDの印象が変わると思います。

まあ、細かいことを言えば、microSDの再生のしにくさとか、光出力がないとかありますけど、この製品欲しいって思ってる方は、そういったマルチメディアプレーヤーが欲しいんじゃなくて、今の時代に音のいいポータブルCDがないから、どこかのメーカさん、出してよー!ってニーズに答えた製品だと思うんですね。

だから、次に出すときは、microSDとかは取っ払って完全にCD再生に特化して、その分、値段を安くして、あと、もう少し本体を薄くするとか、持ち運びながら使いやすいようにボタンの誤差移動防止のためのロック機能を付けるとか、ヘッドホンジャックの位置を工夫するとか、そういう部分に拘って欲しいと思います。

ちなみに、DISCDREAMの価格はオープンプライスで、店頭予想価格は37,500円前後ってことだったんですが、実売価格は33,750円でした。アマゾンなんかで売られてるポータブルCDプレーヤーと比べたら高いと思うかもしれませんが、比べるのはそこじゃなくて、高音質のDAP。ソニーとかAKとかfiioの。そう考えると、この価格はメチャクチャ安いと思います。少量しか生産できないのに、よくこの価格で販売してくれたっていう、水月雨に対する感謝の念がふつふつと湧いてきます。

セカンドロットあるといいですね。あったとしても入荷情報出た直後に完売になると思うので、DISCDREAM狙ってる方は、e☆イヤホンとフジヤエービックは毎日チェック!

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