この「バランス」というアルバムを初めて聴いた時、私の知らない伊藤つかささんの曲かな…と思ってしまいました。
それ程、このアルバムのボーカルの女の子の声は、伊藤つかささんに似ています。
今回は、アーティスト名「銀色夏生プレゼンツⅠ」アルバムタイトル「バランス」というCDについて紹介したいと思います。
このアルバムは1989年にリリースされました。
どんなアルバム?アイドルのアルバムなの?と疑問に思われるかもしれませんが、紛れもなく80年代アイドルのアルバムとカテゴライズしても良いアルバムです。
ただ歌を歌っている女の子の正体は…
作詞家 銀色夏生プロデュースのアイドルアルバム
銀色夏生とは
有名な方なので、ご存知の方も多いと思いますが、読み方は「ぎんいろ なつお」と読みます。作詞家、詩人、写真家等、多彩な活動をしている女性です。
たぶん、私が最初に銀色夏生さんを知ったのは、斉藤由貴さんのファーストアルバム「AXIA」に収録されている「AXIA~かなしいことり~」だったと思います。
このアルバムには、この「かなしいことり」がリアレンジによって収録されています。
アルバム「バランス」について
収録曲は以下の通り。全曲の作詞作曲は銀色夏生さんです。
- 瞬間の片想い
- それは渚でプラトニックで
- 僕たちの恋
- 涙のわけ
- サーチライト~明かりをさがす~
- バランス
- アマリリス
- ラララ
- かなしいことり
- JIMMY BOY
このアルバムは、銀色夏生さんが手がけた唯一のアルバム。
好きな人といる時にふと流れてきて耳に残ったもののそのまま通り過ぎてしまう曲、喫茶店で友達と話をしている時にさりげなく流れていた曲…
こういった様々なシチュエーションの中で、さりげなく流れて来る誰の歌かも分からないけど印象的な曲を作ってみたいという構想が銀色夏生さんの頭の中にありました。
ある程度構想が出来上がったところで、銀色夏生さんの詩と写真を掲載している「Pee Wee」という雑誌の隅っこに、銀色夏生さんはこんな歌手募集の記事書いて掲載してもらったそうです。
「高校生くらいのせつない恋心のレコードを作りたいのです。アルバイトで歌ってください。簡単に作りたいんです。」
これに200人ぐらいの応募があり、その中に銀色夏生さんがイメージする声の持ち主がいて、その子がこのアルバムの歌手に選ばれました。
CDのクレジットには「Nanami Ito」と記されています。当時、女子高生だったそうです。
力を抜いたフワッとしたあどけないその歌声は、伊藤つかささんのよう。
このアルバムの歌詞は、難しい表現や比喩表現等は使われておらず、比較的ストレートな歌詞なので、さりげなく聴いたとしても歌詞がスーッと頭に入ってくると思いますが、幼げな少女の声とこういった歌詞よって、どの曲も等身大の女子高生の恋心をリアルに感じさせてくれます。
アルバムの全体的なイメージを例えるなら、斉藤由貴さんの1stアルバム「AXIA」から3rdアルバム「チャイム」辺りのフワフワした雰囲気と、佐野量子さんの歌う哀愁ソングを合わせたような雰囲気もあります。
このアルバムは、日常生活の中でさりげなく流れて来る曲というコンセプトから、あまり時間をかけず、さらっと作成されたようですが、そのコンセプト通り、爽やかでノリの良い曲、恋人を見守るような優しいバラード、不安な心を象徴するかのようなせつなソング等、バラエティに富んでいます。
しかし、サウンドには統一性があって、どのタイプの曲も非常に耳当たりの良い音になっています。
もし、このアルバムに興味を持たれたなら、百聞は一見に如かずということで、動画サイト等で「瞬間の片想い」「僕たちの恋」「バランス」辺りを聴いてみてください。
まとめ
もしこのアルバムが、人気アイドルのアルバムの一枚であったなら、人気の出たアルバムだったと思います。
このアルバムの歌手「Nanami Ito」(伊藤七美)さんは、現在どこで何をしているのか分かりません。
銀色夏生さんのアルバムもこれ一枚で終わっています。
少しもったいない気もしますが、銀色夏生さんのアルバム作成のコンセプトを思うと、これ一枚で歌手も謎のまま終わったことは、ある意味、狙い通りだったのかもしれません。
80年代アイドルファンの方ならこのアルバムの良さが理解できると思いますので、もし未聴でしたら、是非聴いてみてください。
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