前回は、UWFが新日本プロレスに戻った後、アントニオ猪木vs前田日明が実現しないというところまで書きました。
今回は、誰もが仮想猪木vs前田として見ていたと思われる、藤波辰爾vs前田日明の辺りから書いてみようと思います。
ちなみに、プロレスラーの入場テーマ曲で私が一番好きなのは、前田日明の入場テーマ曲「キャプチュード」。
もちろん、このシングルレコードを買いました。
プロレスのレコードって、時々会場で使われているものとアレンジが違うものや、中には全く違う曲が収録されていて、ハァ~となる時が多々ありましたが、この「キャプチュード」は会場で流れているものと同じで安心しました。
新日本プロレス~新生UWF崩壊までの前田日明の印象
激闘!藤波辰爾 vs 前田日明
この試合が決まった時、藤波辰爾は他のレスラーと違って、前田日明と真っ向から勝負して雌雄を決してくれるだろうと期待していました。
その試合は、期待通り。
藤波辰爾は前田日明のキックを真っ向から受け、ひるむことなく勝負を仕掛けていきました。
前田日明のキックを限りなく浴びた藤波辰爾は、全身真っ赤になりながら、ダウンしても立ち上がり、その闘志は落ちることはありませんでした。
最後は、前田日明のニールキックで額を切り、大流血した藤波辰爾と前田日明が空中でキックの相打ち。
両者はマットに叩きつけられ、両者ノックダウンという今一つ納得のいかない結果でしたが、前田日明の強さと藤波辰爾の勇猛果敢さに感激した試合でしたた。
新日本プロレスでの立場が微妙になってきた前田日明
その後の試合で前田日明の強さが光ったのは、ドン・中矢・ニールセンとのシングルマッチや高田延彦とのタッグで、ストロングマシン、越中詩郎がらみの試合ぐらいでした。
その他、前田日明は、色々な選手と試合をしますが、特に外人選手との試合は、やはり今一つ試合が噛み合わず、反則負け等の消化不良の試合が多かった気がします。
なかなかアントニオ猪木とのシングルマッチが実現しないうちに、長州力が全日本プロレスから新日本プロレスに戻ってきました。
それを期に、注目が前田日明から長州力に移っていき、アントニオ猪木vs前田日明というより、アントニオ猪木vs長州力という感じになってきてしまいました。
一番めんどくさい展開になったなと思ったのは、ある試合をきっかけに、前田日明・藤波辰爾・長州力らのNEWリーダーvsアントニオ猪木・坂口征二・マサ斎藤らのNOWリーダーという図式が出来上がってしまったこと。
これはもう当面タッグマッチばかりで、シングルはないだろうなとガッカリしました。
あと、これによって私が見たいと思っていた長州vs前田のシングルマッチも実現しないだろうなと思いました。
その後、前田日明と長州力が敵味方に別れてタッグで試合をした時、長州力が前田日明のタッグパートナーにサソリ固めを決めている背後から、前田日明がカット行為として長州力の顔面へキック。
これが原因で、前田日明は新日本プロレスから無期出場停止処分を受けました。
この件については、週刊プロレスや週刊ゴング等で知りましたが、長州力は顔面を骨折し、信じられないぐらい顔面が腫れ上がっていました。
新日本プロレスは、この前田日明のカットプレーを選手としてあるまじき行為みたいなことを言っていましたが、こんなカットプレーはよくあることで、どうして今回だけ処分が重いのか理解できず、新日本プロレスって嫌な団体だなと思うようになりました。
新生UWFにおける前田日明の印象
しばらくの沈黙期間を経て、前田日明は高田延彦、山崎一夫らと共にUWFを再度立ち上げました。
この新しいUWFは、プロレスにおける??の部分を極力排除した格闘技色の強いスタイルで、その宣伝の仕方も時代のトレンドを取り入れた斬新なものでした。
大会のネーミングもカッコよかった。
新日本プロレス等は「新春黄金シリーズ」等のネーミングでしたが、UWFは
FIGHTING NETWORK
こんなおしゃれな横文字。
こういった斬新さがマスコミから注目を浴びることになり、UWFは多くのメディアに取り上げられ、UWFは社会現象に。
時々テレビで放送されるUWFの番組は必ず見ていました。
番組の解説には片岡鶴太郎さんなど、多くの著名人が出演されていました。
この頃の前田日明が一番輝いていたように思います。
高田延彦、山崎一夫らといった日本同士の戦いや、ジェラルド・ゴルドー、クリス・ドールマン・ウィリー・ウィルヘルムらとの異種格闘技戦など、試合内容も素晴らしいものばかりでした。
特にジェラルド・ゴルドーとの戦いは、緊迫感がたまりませんでした。
ジェラルド・ゴルドーは見るからにかなりヤバそうな選手で、グローブこそ付けていましたが、ほとんど喧嘩ファイト。
最後は苦戦しながらも前田日明が裏アキレス腱固めでジェラルド・ゴルドーを仕留め、私も歓喜しました!
私は2回だけですがUWFの試合を見に行きました。
初めて見に行ったのは、U-COSMOSと題された東京ドームでの試合。
U-COSMOSっていうタイトルもかっこいいですよね!
私は生でUWFの試合を見たことがなかったので、UWFのメインテーマや前田日明の入場テーマ「キャプチュード」が会場に鳴り響いた時、まるでハードロックのライブを見に来たかのような感覚に。
U-COSMOSは全試合、見どころ満載でした。
中野龍雄vs宮戸成夫のバチバチの戦いや、その他全ての異種格闘技戦、一体どんな試合になるのか全く予想がつきませんでした。
東京ドームの試合で私の一番印象に残ったのは、実は前田日明の試合ではなく、鈴木みのるとモーリス・スミスの試合。
白いコスチュームで若武者のごとく試合に望んだ鈴木みのるは試合に負けてしまいましたが、モーリス・スミスのパンチを受け、10カウント以内に泣きながら必死に立ち上がろうとする姿に感情移入してしまいました。
次に見に行った試合は、武道館での高田延彦vs前田日明の試合。
この日は雪が降っており、とても寒い日でした。
この日は初めて高田延彦が逆エビで前田日明からギブアップ勝ちを納め、会場は真夏のような熱気と歓声で溢れ返っており、自分も興奮しっぱなしで、会場を後にしました。
順風満帆に見えたUWFでしたが、設立後わずか2年程度で分裂。
これは、週刊プロレスや週刊ゴングの記事で知りました。
その前兆となる話も全くなかったので、急に分裂したという感覚でした。
船木優治という新しいスターも育ちつつあり、新生UWFの新しい幕開けを感じていた矢先だったので訳が分かりませんでした。
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